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2012年09月21日

FAB4-209:MAGGIE MAE

アンソロジー Servin' Up Seconds 「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」オリジナル・サウンドトラック


 w & m:不詳(traditional song)、arr.:LENNON / McCARTNEY / HARRISON / STARKEY

 P:ジョージ・マーティン('69-1/24、3/13)、フィル・スペクター('70-3/26)
 E:グリン・ジョンズ('69-1/24、3/13)、ピーター・ボーン('70-3/26)
 2E:ニール・リッチモンド('69-1/24)、ロジャー・フェリス('70-3/26)
 録音:1969年1月24日(アルバム「GET BACK」、「LET IT BE」に収録)
 STEREO MIX:1969年3月13日、1970年3月26日
 
 1970年5月8日 アルバム発売 (「LET IT BE」 A-7)
 アップル(パーロフォン) PCS 7066(ステレオ)


アルバム「LET IT BE」のA面最後に、名曲「LET IT BE」の余韻を打ち消すが如く登場する楽曲です。此れはリヴァプールに伝わる春歌で、1969年1月24日に「TWO OF US」をレコーディング中に突発的に歌われました。ゆえに、編成は「TWO OF US」と全く同じで、ジョン・レノン(歌、アコースティック・ギター)、ポール・マッカートニー(歌、アコースティック・ギター)、ジョージ・ハリスン(ギター)、リンゴ・スター(ドラムス)で行われています。ジョンはリヴァプール訛りを強調して歌っていて、此の曲が好きだったのかソロになってからの未発表音源をまとめた「ジョン・レノン・アンソロジー」にも再演ヴァージョンが収録されていました。「MAGGIE MAE」は、映画「LET IT BE」に演奏シーンがないのですが、何故かアルバム「GET BACK」第一版、改訂版、そしてアルバム「LET IT BE」と全てに収録されました。

1970年1月の「GET BACK」改訂版で、グリン・ジョンズはポール作の「TEDDY BOY」(映画で演奏シーンがなく、ポールは既にソロ・アルバム「McCARTNEY」への収録を決めていた)を外し、ジョン作の「ACROSS THE UNIVERSE」とジョージ作の「I ME MINE」を加えます。そして、フィル・スペクターも選曲は其の「GET BACK」改訂版に準じていますが、何曲か外しました。お遊び演奏の「ROCKER」や「SAVE THE LAST DANCE FOR ME」(ビートルズは「HEY JUDE」の元ネタも、いけしゃあしゃあと披露していたのだ!)は兎も角、何ゆえ映画でもハイライト・シーンで歌われる「DON'T LET ME DOWN」を外したのか?なのに何故「MAGGIE MAE」は残したのでありましょうかしらん。更に収録しなかったものの、何故か既に外されていた「TEDDY BOY」もミックスしているのです。「DON'T LET ME DOWN」は全く無視してミックスすら行っていないのに、どーなっとるのだ?

しかも、スペクターは「MAGGIE MAE」に関しては何ひとつ手を加えたとも思えません。いや、そもそも手を加えようがなかったのでしょうけど。スペクターは過剰なオーヴァー・ダビングを施してアルバム「LET IT BE」を仕上げたと云われますが、映画との整合性を保つ為に会話や「DIG IT」と「MAGGIE MAE」を残したのです。よーするに、スペクターは「曲は聴ける様にして、しかもサントラ盤らしくもしてくれ」との無理難題をジョン・レノンとジョージ・ハリスンに押し付けられ、膨大なクズ音源と格闘したのだよ。たぶん「MAGGIE MAE」は、「GET BACK」改訂版にも入っていたから「映画に使われている」と誤認したのでしょう。「THE GET BACK SESSIONS」とは、ジョンが「あんな惨めなセッションはない」と云い、ジョージも「最低最悪」と断じた世紀のクズ音源です。現にビートルズは二度もアルバムの発売を拒否したではありませんか。「DON'T LET ME DOWN」が外されたのは解せませんけど、会話の挿入などは効果的です。

其れに対して「裸のビートルズ!」なんぞと謳われた2003年の「LET IT BE...NAKED」では、フィル・スペクターによるオーヴァー・ダビングだけではなく、会話なども削除し、「DIG IT」と「MAGGIE MAE」も外してしまったのだよ。「DON'T LET ME DOWN」は復活したものの、其れは「ルーフトップ・コンサート」で二度演奏されたものをツギハギしたリミックスだし、他の曲もヒョータンツギみたいに切り張りし捲くったリミックスでした。あたくしは「THE GET BACK SESSIONS」が大好きでおそらく最も身銭も切り捲くった音源ですが、最もつまらなかったのが「LET IT BE...NAKED」です。アンナもんを四半世紀も経ってから出しやがって、フィル・スペクターの1970年の悪戦苦闘の成果を貶すなんて言語道断です。


(小島藺子)



posted by 栗 at 00:07| FAB4 | 更新情報をチェックする