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2012年09月18日

FAB4-206:DIG A PONY

Let It Be Let It Be... Naked [Bonus Disc]


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン('69-1/22、24、28、30、2/5、3/10)、フィル・スペクター('70-3/23)
 E:グリン・ジョンズ('69-1/22、24、28、30、2/5、3/10)、ピーター・ボーン('70-3/23)
 2E:ニール・リッチモンド('69-1/24)、アラン・パーソンズ('69-1/28、30、2/5)、
    ロジャー・フェリス('70-3/23)
 録音:1969年1月22日、
    1月24日(アルバム「GET BACK」に収録)、
    1月28日、
    1月30日(アルバム「LET IT BE」に収録)
 STEREO MIX:1969年2月5日、3月10日、1970年3月23日(1/30 のテイクより 1-2)
 
 1970年5月8日 アルバム発売 (「LET IT BE」 A-2)
 アップル(パーロフォン) PCS 7066(ステレオ)


ジョン・レノンが書いたヨーコへのラヴ・ソングです。1969年1月の「THE GET BACK SESSIONS」でリハーサルから演奏され、正式なレコーディングは1月22日(「アンソロジー3」に収録)から開始されました。幻のアルバム「GET BACK」には、1月24日のスタジオ・テイクが収録予定でした。映画「LET IT BE」ではクライマックスとなる「ルーフトップ・コンサート」で演奏され、フィル・スペクターは其のテイクを元にしてアルバム「LET IT BE」に収録しました。但し、スペクターはオーヴァー・ダビングするのではなく、逆に実際にはポール・マッカートニーとジョージ・ハリスンがユニゾンで加えていた「ALL I WANT IS YOU」のコーラスをカットしています。ちなみに、何故か「LET IT BE...NAKED」のリミックスでもコーラスはカットされていました。演奏は、ビートルズの四人にビリー・プレストンが加わった布陣によるライヴです。

リハーサルではかなりスローでかったるく演奏されていて、ベースを弾いてコーラスをつけるポールが思わず欠伸をしております。ジョンは「適当に韻を踏んで遊んだ曲で、ゴミのひとつ」と語っておりますが、「I roll a stoney, Well you can imitate everyone you know.(何でもマネすりゃいいさ)」と云うフレーズは、当時ビートルズの後追いをしていると云われたローリング・ストーンズを皮肉っているのがジョンらしいトコです。ややこしい歌詞を音節にピタリとはめ込んで畳み掛けるように歌うジョンの歌唱法は、イカしています。映画で観ると、ジョンはスタッフに歌詞を持たせて見ながら歌っています。全く、此の人は自分で書いた歌の歌詞を覚える気がありません。「ロックンロール・サーカス」で「YER BLUES」を披露した時も、スタンド・マイクに「ホワイト・アルバム」の歌詞カードを破って貼り付けていました。

アルバム「LET IT BE」は、1969年1月の「THE GET BACK SESSIONS」をフィル・スペクターがまとめた作品で、大半は映画「LET IT BE」で観れる1969年1月30日の「ルーフトップ・コンサート」と翌1月31日の「スタジオ・パフォーマンス」を元にしています。映画の内容と整合性をつける為に、出来る限り映画のクライマックスとなった両日の演奏を採用しました。但し、映画では両日の順番が逆に編集されており、1月30日の「ルーフトップ・コンサート」で終わります。元々、此のアルバムは「GET BACK」として1969年5月に完成しましたが、オーヴァー・ダビングを一切しないとのコンセプト(実は、其の時点で既に「LET IT BE」にはジョージ・ハリスンのリード・ギターを重ねていたのですが)に対して、もうビートルズは興味を失っており却下します。映画の企画が進行したので、1970年1月にグリン・ジョンズが曲を差し替え改訂版を作るものの、またしてもダメ出しされ、フィル・スペクターに委ねられたのです。ゆえに、1970年5月に発売されたアルバムは、実際には一年半近く前に演奏された「膨大なクズ音源(ジョン・レノン談)」を、スペクターが必死で加工し何とか聴ける代物に作り直したものだったのです。此のスペクターの仕事は、もっと評価されるべきだと思います。


(小島藺子)



posted by 栗 at 00:07| FAB4 | 更新情報をチェックする