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2012年09月08日

FAB4-196:POLYTHENE PAM

All Night Lotus Party Anthology 3 Late Orchestration: Live at Abbey Road Studios


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ジェフ・エマリック、フィル・マクドナルド
 2E:ジョン・カーランダー(7/25-30)、アラン・パーソンズ(8/14)
 録音:1969年7月25日(take 1-39)、
    7月28日(take 39 に SI 「歌、ギター、エレクトリック・ピアノ、ピアノ」、編集し take 40)、
    7月30日(take 40 に SI 「歌、打楽器、ギター」)
 STEREO MIX:1969年7月30日(take 40 より 1)、8月14日(take 40 より 20-32、メドレー編集)

 1969年9月26日 アルバム発売 (「ABBEY ROAD」 B-6)
 アップル(パーロフォン) PCS 7088(ステレオ)


ジョン・レノンが1968年2月から3月に滞在したインドで書いた楽曲のひとつで、1968年5月にジョージ・ハリスン宅で行われた「ホワイト・アルバム」用のデモ・レコーディング(通称「イッシャー・デモ」)で既に披露されています。アルバム「ABBEY ROAD」のB面メドレーは此の曲まで三曲ジョンの作品が続きますが、其の後は「ポール・マッカートニー劇場」が幕を開けます。メドレーを「YOU NEVER GIVE ME YOUR MONEY」から始まると考えれば、8曲中で3曲しかジョンは書いていません。しかも、前曲の「MEAN MR. MUSTARD」と「POLYTHENE PAM」は「ホワイト・アルバム」でお蔵入りになった旧作ですので、ジョンがメドレーに関しては積極的ではなかったと思われます。事実、ジョンは「ABBEY ROAD」のB面メドレーを酷評していました。

楽曲は実在の女性がモデルになっており、ツアー先でジョンを励まそうとポリエチレンの袋を被っておどけた女の子を題材にしたらしいです。メドレーで続くポール作の「SHE CAME IN THROUGH THE BATHROOM WINDOW」とは、最初から続けて演奏され録音されました。そちらも、ファンの女の子を題材にしたと思われます。演奏はビートルズの四人で行われ、ジョンが弾く12弦アコースティック・ギターのカッティングが爽快です。初期ビートルズの代名詞とも云える「Yeah!Yeah!Yeah!」をキメるジョンは、敢えてリヴァプール訛りを強調して歌っています。ポールとジョージがコーラスをつけ、まるで初期ビートルズのセルフ・パロディの様な疾走感が溢れた瑞々しい演奏が展開されます。次の「SHE CAME IN THROUGH THE BATHROOM WINDOW」へ雪崩れ込む部分でのジョンの「Oh!Look Out!」ってセリフがゾクゾクする程にカッコイイ!

当初からメドレーとして構想され、部分的に二曲を続けて演奏されたアルバム「ABBEY ROAD」のB面で、ジョンの曲とポールの曲をレコーディング時から繋いで演奏されたのは「POLYTHENE PAM」から「SHE CAME IN THROUGH THE BATHROOM WINDOW」だけです。云わば、此の二曲のメドレーこそが「最後のレノン・マッカートニー作品」なのです。そして、其れはメドレーで最も高揚感がある部分とも云えます。ポール・マッカートニー&リンゴ・スターの鉄壁なリズム・タッグに、ジョージ・ハリスンのリード・ギターもノリノリで、ビートルズのやる気がビンビンと伝わってくる素晴らしい演奏です。此のアルバムが最後になるとは思えない、四人の気合充分な姿があります。


(小島藺子)



posted by 栗 at 00:07| FAB4 | 更新情報をチェックする