w & m:LENNON / McCARTNEY
P:クリス・トーマス(4/20-5/1)、ザ・ビートルズ(4/26)、ジョージ・マーティン(7/17-8/12)
E:ジェフ・ジャラット(4/20-5/1)、フィル・マクドナルド(7/17-23、8/11-12)、
ジェフ・エマリック(7/22-23、8/11-12)、トニー・クラーク(8/8)
2E:ジョン・カーランダー(4/20、7/22-8/12)、リチャード・ランガム(4/26)、
ニック・ウェブ(5/1)、アラン・パーソンズ(7/17-8/8)
録音:1969年4月20日(take 1-26)、
4月26日(take 26 に SI 「歌」)、
7月17日(take 16 に SI 「何故か別テイクに、歌」)、
7月18日(take 26 に SI 「やっぱり take 26 に戻って、歌」)、
7月22日(take 26 に SI 「またしても、歌」)、
7月23日(take 26 に SI 「何度でも、歌」)、
8月8日(take 26 に SI 「リード・ギター、タンバリン」)、
8月11日(take 26 に SI 「ヴォーカル・ハーモニー」)
STEREO MIX:1969年4月20日(take 26 より 1)、5月1日(take 26 より 2-4)、
8月12日(take 26 より 5-9)
1969年9月26日 アルバム発売 (「ABBEY ROAD」 A-4)
アップル(パーロフォン) PCS 7088(ステレオ)
前曲「MAXWELL'S SILVER HAMMER」に続いて、ポール・マッカートニーが書いた楽曲となります。然し、「MAXWELL'S SILVER HAMMER」を酷評しているジョン・レノンは、「OH! DARLING」を手のひらを返して絶賛しております。但し「ポールが書いた名曲だけど、俺のスタイルに近い曲なんだから、俺に歌わせればもっと良くなったのに、そーゆーセンスがポールにはないんだよナ」と語るのがジョンらしいところでしょう。此の曲も「THE GET BACK SESSIONS」で既に取り上げられ、映画「LET IT BE」でもリハーサルが観れます。そして、リハーサル時にはジョンもポールと一緒に歌っていました。ピリー・プレストンがエレクトリック・ピアノで加わったリハーサル・テイクは「アンソロジー3」に収録されています。
映画ではポールがピアノを弾いていますが、正式なレコーディングは、ポール・マッカートニー(ベース)、ジョン・レノン(ピアノ)、ジョージ・ハリスン(ギター)、リンゴ・スター(ドラムス)で行われました。さて、そこからが問題で、データを御覧になればお分かりの通り、連日リード・ヴォーカルのオーヴァー・ダビングが行われるのです。ポールはアビイロード・スタジオのすぐそばに住んでおりましたので、毎日ひとりでスタジオに早くやって来て、喉を潰すのを覚悟でヴォーカルを録音し直しました。ポール・マッカートニー、27歳の魂の熱唱ですが、ポールは「五年前なら、こんなのは簡単に出来たのにナァ」と自らの衰えを嘆いたそうです。「LONG TALL SALLY」や「KANSAS CITY 〜 HEY,HEY,HEY,HEY」を回顧したのだろうと、アラン・パーソンズが語っています。
ジョンが「自分のスタイルに近い」と云う曲調だけでなく、詩にも「I'll never let you down」と、思いっ切りジョンの「DON'T LET ME DOWN」に対する返答と云うべきフレーズが飛び出します。此の楽曲は、日本でのみシングル・カット(B面は「HERE COMES THE SUN」)されていて人気が高いナムバーです。アルバム「ABBEY ROAD」には、「THE BEATLES(ホワイト・アルバム)」や「THE GET BACK SESSIONS」で既に取り上げられていた楽曲が多く収録されています。然し、「ホワイト・アルバム」が発売されたのは1968年11月22日で、後に「LET IT BE」となる「THE GET BACK SESSIONS」は1969年1月に行われ、2月から録音された「ABBEY ROAD」は1969年9月26日に発売されました。其れは、たった十ヶ月の間に起きた事なのです。
(小島藺子)