

w & m:HARRISON
P:ジョージ・マーティン(6/2、10/12)
E:デイヴ・シドル('67-5/25-10/12)、ケン・スコット('68-10/16-17)
2E:マイク・ウェイエル('67-5/25-10/12)、デイヴ・ハリーズ('68-10/16-17)
録音:1967年5月25日(「Too Much」take 1-4)、
5月26日(take 4 を編集し take 1-2、take 2 に SI 「歌、コーラス、打楽器、手拍子」)、
6月2日(take 2 に SI 「トランペット、クラリネット」)
MONO MIX:1967年10月12日(take 2 より 1-2)、
1968年10月16日〜17日(take 2 をコピーした take 196 より 1「実質 3」)
STEREO MIX:1968年10月16日〜17日(take 2 をコピーした take 196 より 1)
初出:1969年1月13日 アルバム発売 (「YELLOW SUBMARINE」 A-5)
アップル(キャピトル) SW 153(ステレオ)
1969年1月17日 英国アルバム発売 (「YELLOW SUBMARINE」 A-5)
アップル(パーロフォン) PMC 7070(モノ)、PCS 7070(ステレオ)
ジョージ・ハリスンが書いた傑作で、録音は1967年5月25日から6月2日に行われています。実に全く「1967年のビートルズ」を象徴するサイケデリックなサウンドで、ジョージ本人がハッキリと「LSDの影響で書いた」と明言しています。ジョン・レノンとジョージ・ハリスンは、1965年には既に「LSD」を試していたそうです。そして他の二人にも勧めたのですが、リンゴ・スターはすぐに仲間に入ったものの、ポール・マッカートニーはなかなか参加しなかったのです。ところが、ようやく1967年になってポールも「LSD」を試した途端にマスコミが嗅ぎ付け、ポールに「麻薬をやらかしてるんじゃねーの?」と取材したら、アッサリとポールは「やってるけど、其れを報道するかどーかは、アンタらの責任だぞ!天下無敵のビートルズ様がそんな事をやっているからって、未来あるファンがマネしたらどーするの?」と、まるで片瀬那奈ちゃん演じる小早川妙子に「カナさんを好きになって、カナさんと寝たんでしょ?」と問い詰められた小早川伸木が開き直って「ああ、寝たよ!」と言い放ったが如く応えたのです。ま、そのまんま報道されちゃったわけですけどね。ポールってば、相変わらず「天然」過ぎです。其の経緯を元にして、ジョージは「SEE YOURSELF」と云う曲を書きますが、発表されるのは約十年後のソロ・アルバム「33 1/3(1976年)」まで待たなければなりません。
冒頭のフィードバック・ギターは、ポールがジミ・ヘンドリックスの影響でやらかしたようです。ジョージ・ハリスン(リード・ヴァーカル、ハモンド・オルガン、ギター)、ジョン・レノン(ギター、コーラス)、ポール・マッカートニー(ベース、ギター、コーラス、カウベル)、リンゴ・スター(ドラムス)、のビートルズ四人による演奏にトランペットとクラリネットが加えられ完成されます。ちなみに、トランペットで「PENNY LANE」にも参加したデヴィッド・メイスンも再び参加していますが、「ジョージ・ハリスンが指揮したけど、彼は何をやりたいのか、自分でも分かっていなかったようです」と語っています。最初からアニメ用として録音されていたようで、正式なミックスは1968年10月16日〜17日の「ホワイト・アルバム」最終セッションまで放置されていました。映画ではクライマックスで使われ、其れは公式盤には含まれない歌詞も含む別ヴァージョンになっています。リアル・モノラル・ミックスは、2009年の「MONO-BOX」が初出となります。
ジョージが書いたビートルズの楽曲では最も長い「6分28秒」もあり、前述の通り映画用では更に長くなっています。然し、後半部は混沌とし、ジョンとポールによる悪乗りコーラスが目立ちます。「ALL TOGETHER NOW」や「HEY BULLDOG」でのエンディングにも共通する出鱈目な展開は、セッションでは他の楽曲でも頻繁に行われていました。但し、完成版では其れはカットしてキチンとまとめていたわけです。アニメ用の曲だからと、ビートルズはテキトーに投げ出してしまったから、こんな滅茶苦茶な仕上がりとなったのかもしれません。でも、其れまでは明かされなかった部分が見えてしまった事が、「ボツ音源」四曲を収録したアルバム「YELLOW SUBMARINE」の価値でしょう。端からアニメ用として制作された「IT'S ALL TOO MUCH」での好い加減さは、すこぶる魅力的です。たった四曲しかビートルズの新曲が入っていないのに、やっぱり買わなきゃイカンわけですよ。ま、「MONO-BOX」を買えば「リアル・モノラル・ミックス」で四曲が入っているんですけどね。しかも、アルバム「YELLOW SUBMARINE」で初出の四曲には、ミックス違いは在りません。ん?「YELLOW SUBMARINE SOUNDTRACK」は違うだろって?だから、あんなのは「ど素人がやらかしたリミックス海賊盤」と変わらんざんしょ。
(小島藺子/姫川未亜)
【関連する記事】