w & m:LENNON / McCARTNEY
P:ジョージ・マーティン(2/11)
E:ジェフ・エマリック
2E:フィル・マクドナルド(2/11)、グレアム・カークビー(10/29)
録音:1968年2月11日(take 1-10)
MONO MIX:1968年2月11日(take 10 より 1-2)
STEREO MIX:1968年10月29日(take 10 より 1-3)
初出:1969年1月13日 アルバム発売 (「YELLOW SUBMARINE」 A-4)
アップル(キャピトル) SW 153(ステレオ)
1969年1月17日 英国アルバム発売 (「YELLOW SUBMARINE」 A-4)
アップル(パーロフォン) PMC 7070(モノ)、PCS 7070(ステレオ)
ジョン・レノンが書いた作品で、録音は1968年2月11日に「LADY MADONNA」のプロモーション・フィルムを撮影時に行われました。ポール・マッカートニーの提案で「時間が勿体無いから、新曲をレコーディングしよう」と云われたジョンが、書きかけていた「She Can Talk To Me」を発展させ、スタジオで曲を完成させ、録音からモノラル・ミックスまで一気に行ってしまったのです。元々は歌詞に「Bullfrog」が出て来るのですが、ポールが犬の鳴きマネをした事でジョンもノリノリになり「HEY BULLDOG」と最後に連呼し、其れがタイトルになりました。ジェフ・エマリックによれば、ビートルズが四人で一丸となって共同作業を行った最後の曲が、此の「HEY BULLDOG」だったそうです。
アニメ映画「YELLOW SUBMARINE」に回された曲ですが、長らく映画で使用された場面がカットされた米国編集版のフィルムが一般的でした。現在では、しっかりと「HEY BULLDOG」が使われた場面も復刻した映像で市販されています。「LADY MADONNA」のPV用に撮られた映像の完全版を元にして、実際に演奏されていた「HEY BULLDOG」のPVも1999年に制作されました。ジョンとポールが仲良く悪乗りしてゆく様子は、実に微笑ましく幸福だった時代のビートルズを感じさせます。ジョンの曲ですが、アレンジは完全にポールが主導権を握っていて、ポールが弾くベースがガンガンと曲を引っ張っています。間奏のリード・ギターは諸説ありますが、たぶん、ポールが弾いていると思いますし、PVではジョンがピアノを弾いていますが、レコードで聴けるピアノはポールが弾いているようなタッチです。
1999年の「YELLOW SUBMARINE SOUNDTRACK」では定位を変えたリミックスが発表され、発売当時には衝撃を受けました。でも、やっぱりオリジナルの方が好いのですよ。当時は未だビートルズの音源がリマスターされていなかったので、「YELLOW SUBMARINE SOUNDTRACK」のクリアな音にビックリしただけでした。リアル・モノラル・ミックスは、前述の通り2009年の「MONO-BOX」が初出です。ジョンは1968年2月のシングル用のセッションで「ACROSS THE UNIVERSE」と「HEY BULLDOG」を提供したにも関わらず、どちらもボツにしてしまいます。俄かに信じられない事ですが、其れを決めたのは他ならぬジョン・レノン本人でした。「ACROSS THE UNIVERSE」は文句なしの名曲ですし、「HEY BULLDOG」も最高のロケンロールでジョンとポールが躍動しています。其れでも、ジョン・レノンは納得しなかった。いや、ジョージ・ハリスンにB面を譲る為に、アッサリと自作を捨てたのです。実に、リーダーらしくて、立派ですね。とても、ポール・マッカートニーにはマネ出来る事ではありませんよっ。
(小島藺子)
【関連する記事】
- 「ポールの道」#496「FAB4 GAVE AWAY」#40 「RAVI SHA..
- 「ポールの道」#495「FAB4 GAVE AWAY」#39 「STRAIGHT..
- 「ポールの道」#494「FAB4 GAVE AWAY」#38 「BACK OFF..
- 「ポールの道」#493「FAB4 GAVE AWAY」#37 「NO DICE」..
- 「ポールの道」#492「FAB4 GAVE AWAY」#36 「IT DON'T..
- 「ポールの道」#491「FAB4 GAVE AWAY」#35 「GOD SAVE..
- 「ポールの道」#490「FAB4 GAVE AWAY」#34 「GIVE PEA..