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2012年08月18日

FAB4-175:REVOLUTION 9

Beatles Live at the Knitting Factory Unfinished Music 1: Two Virgins


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ジェフ・エマリック(5/30-6/25)、ケン・スコット(8/20-26、10/16-17)
 2E:フィル・マクドナルド(5/30-6/10)、リチャード・ラッシュ(6/20-25)、
    ジョン・スミス(8/20-26、10/16-17)
 録音:1968年5月30日(「Revolution」take 1-18)、
    6月6日(「効果音」take 1-12)、
    6月10日(「効果音」take 1-3)、
    6月11日(「効果音」)、
    6月20日(「効果音」take 1-2、SI しマスター・ヴァージョンを編集)、
    6月20日(マスター・ヴァージョンへ SI)
 MONO MIX:1968年8月20日、26日(ステレオ・ミックス 2 編集版をコピー)
 STEREO MIX:1968年6月21日(マスター・ヴァージョン より 1-2)、6月25日(2 を編集)
 (1968年10月16日〜17日に、モノ、ステレオ共に導入部を編集)

 1968年11月22日 アルバム発売 (「THE BEATLES」 D-5)
 アップル(パーロフォン) PMC 7067-7068(モノ)、PCS 7067-7068(ステレオ)


ジョン・レノンが作ったサウンド・コラージュ作品で、ビートルズの楽曲としては最も長い「8分22秒」もあります。然し、此れは楽曲とは云い難く、ビートルズの「ホワイト・アルバム」だけでなく全作品の中で最も問題作とされています。元々は初期「REVOLUTION」として録音されていましたが、そのシングル化を却下され、前半部を「REVOLUTION 1」とし、アップテンポでリメイクした「REVOLUTION」がシングルになります。ジョンは元々の「REVOLUTION」での後半部で行ったフリーキーな部分も気に入っており、多くのサウンド・エフェクトを駆使して此の作品を作ったのでした。ヨーコの影響が強く、声も多く聴こえます。

初期「REVOLUTION」の後半部が使用されているので、ポール・マッカートニーとリンゴ・スターが関わった演奏も加わっているものの、其れは全く聴き取れません。実際に此の作品を作ったのは、ジョン・レノン、ヨーコ・オノ、そしてジョージ・ハリスンです。ポールとリンゴは、初期「REVOLUTION」でのセッションに参加しただけで、其の後に「REVOLUTION 9」と発展してからは全く関与していません。ジョージが協力したのは、前衛志向が共通していたからでしょう。ジョン&ヨーコは「TWO VIRGINS」や「LIFE WITH LION」などのガラクタを発表しますが、ジョージも「電子音楽の世界」などと云うスットコドッコイなクズ音源を出しやがりました。挙句の果てには、ポールまで「ボクも出したかった」なんぞとぬかしやがったわけで、もうビートルズは完全にイカレポンチ状態だったのでしょう。

其れでも、流石にジョン・レノンが「REVOLUTION 9」をシングルにする!なんぞと云い出した事には他のメムバーやスタッフが大反対し、アルバムへの収録にも難色を示したようです。ヨーコがエラソーに「ビートルズは、こーゆー事をやらなきゃダメよ!」なんぞとぬかしやがったのも、怒りを買ったようです。ジョージ・マーティンは、そもそも二枚組にする事に反対しておりましたので、当然この作品なんぞは真っ先に外そうと考えていたと思われていました。ところが、マーティンは「とんでもない!REVOLUTION 9 は、ジョンと私が協力して作り上げた革新的なサウンドだ」なんぞと語っております。確かに、マーティンは「REVOLUTION 9」の制作時に、ずっとプロデューサーとして立ち会ってはいましたし、「9分5秒」もあったものを「8分22秒」に編集したり、最終的に導入部にマーティンとアリステア・テイラーの会話(テイラーがマーティンに、クラレット・ワインを持参しなかった事を詫びている)を加えたりしています。マーティンもかなり変人みたいですから、こーゆーのも好きなのかもしれませんね。

此の作品はステレオ・ミックスしか行われず、モノラルはステレオのコピーです。余りにもグチャグチャなサウンドだった為に、オリジナルの4トラックからモノラル・ミックスを作れなかったからでした。てか、こんなのでステレオとモノラルのミックス違いをやらかされたら、流石のマニアもドン引きしちゃうと思います。印象的な「ナンバー・ナイン」と繰り返される声は、アビイロードのサウンド・ライブラリーから流用されたもので、どこの誰なのか判明しておりません。此の作品は、其の後のジョンとヨーコによる前衛作品に比べれば、まだマシです。其れは、ジョージ・ハリスンやジョージ・マーティンが関わっているからこそなのでしょう。

天下のビートルズがこんなもんを正式音源として発表してしまった事実は、在る意味、彼等に箔をつけたのかもしれません。ジョンは「革命を絵にしたサウンドだ!」とか云っちゃってますけど、こんなもんは、所詮はジョンがヨーコに毒されて遊んだガラクタです。図に乗ったジョンが「TWO VIRGINS」を出した時(なな、なんと、「ホワイト・アルバム」発売の僅か一週間後の1968年11月29日!)には、リンゴ・スターにまで「ジョン、君はいいと思っているのかもしれないけど、こんな事ばっかやられたら、もう俺たちも庇いきれなくなるよ」と忠告されちゃうのだ。


(小島藺子)



posted by 栗 at 00:07| FAB4 | 更新情報をチェックする