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2012年08月17日

FAB4-174:CRY BABY CRY

Dish of the day Hampton Comes Alive


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ジェフ・エマリック(7/15-16)、ケン・スコット(7/18、10/15)
 2E:リチャード・ラッシュ(7/15-16、18)、ジョン・スミス(10/15)
 録音:1968年7月15日(リハーサル)、
    7月16日(take 1-10、take 10 を編集して take 11-12)、
    7月18日(take 12 に SI 「歌、コーラス、ハーモニウム、タンバリン、効果音」)
 MONO MIX:1968年10月15日(take 12 より 1)
 STEREO MIX:1968年10月15日(take 12 より 1-3)
 (1968年10月16日〜17日に、モノ、ステレオ共に「CAN YOU TAKE ME BACK」を加える)

 1968年11月22日 アルバム発売 (「THE BEATLES」 D-4)
 アップル(パーロフォン) PMC 7067-7068(モノ)、PCS 7067-7068(ステレオ)


ジョン・レノンが書いた楽曲で、新聞広告の赤ちゃん用品のコピー「Cry baby cry, make your mother buy.」からヒントを得たと云われています。内容は寓話風でマザーグースやルイス・キャロルの影響も感じられます。レコーディングされた時のビートルズの関係は険悪で、ジェフ・エマリックは1968年7月16日のセッション中にスタジオを飛び出し、約一年後にビートルズが説得しアップルに引き抜き、「ABBEY ROAD」のセッションに参加するまで戻って来ませんでした。然し、前述の通りエマリックが辞めた直接のキッカケは、7月15日の「OB-LA-DI, OB-LA-DA」のセッションで「ポール・マッカートニーが、ジョージ・マーティンに悪態をついた」事だったと云われています。

最悪な状況だったにも関わらず、演奏は、ジョン・レノン(リード&バック・ヴォーカル、アコースティック・ギター、ピアノ、オルガン)、ポール・マッカートニー(ベース、コーラス)、ジョージ・ハリスン(リード・ギター)、リンゴ・スター(ドラムス、タンバリン)、のビートルズの四人に、ジョージ・マーティン(ハーモニウム)を加えた「初期からの完璧な布陣」で行われております。そして、最後にポールがアコースティック・ギターの弾き語りで歌う「CAN YOU TAKE ME BACK」がノン・クレジットで挿入されています。此れは、9月16日の「I WILL」のセッション中に即興で演奏された曲で、10月16日から17日に掛けて24時間を費やした「ホワイト・アルバム」の曲順を決めた最終セッションでミックスされました。

其の最終セッションに立ち会ったビートルズのメムバーは、ジョン・レノンとポール・マッカートニーの二人だけです。よーするに、「ホワイト・アルバム」の曲順を決めたのは、ジョンとポールなのです。曲間をなくしクロスフェイド処理をしたり、ジョージの曲を四面に一曲ずつにしたり、ジョンとポールの曲も二曲以上は続かない様にしたりと、細かく計算して二枚組30曲全体で「レノン・マッカートニー」の作品へと持って行ったわけですよ。シングル曲の「HEY JUDE」「REVOLUTION」も入れず、ジョンの「WHAT'S THE NEW MARY JANE」とジョージの「NOT GUILTY」も捨て、更に多くの名曲(ジョンの「CHILD OF NATURE」や、ポールの「JUNK」、さらにジョージの「SOMETHING」など!)を正式レコーディングすらせずに、其れでも「二枚組で30曲」なのだ。挙句に、「CAN YOU TAKE ME BACK」は、ノン・クレジットなのです。これぞ、ビートルズ!「THE BEATLES」と云うタイトルに、偽りなし!


(小島藺子)



posted by 栗 at 00:07| FAB4 | 更新情報をチェックする