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2012年08月13日

FAB4-170:LONG, LONG, LONG

Thanks for the Pepperoni... ブロンド・オン・ブロンド(紙ジャケット仕様)【2012年1月23日・再プレス盤】


 w & m:HARRISON

 P:ジョージ・マーティン
 E:ケン・スコット
 2E:マイク・シーディ(10/7-8)、ジョン・スミス(10/9-14)
 録音:1968年10月7日(「It's Been A Long Long Long Time」take 1-67)、
    10月8日(take 67 に SI 「アコーステイック・ギター、歌、ベース」)、
    10月9日(take 67 に SI 「バック・ヴォーカル、ピアノ」)
 MONO MIX:1968年10月12日(take 67 より 1)、10月14日(take 67 より 2-3)
 STEREO MIX:1968年10月10日(take 67 より 1-4)

 1968年11月22日 アルバム発売 (「THE BEATLES」 C-7)
 アップル(パーロフォン) PMC 7067-7068(モノ)、PCS 7067-7068(ステレオ)


ジョージ・ハリスンが書いたワルツ調の楽曲です。レコーディングは、ジョージ・ハリスン(ヴォーカル、アコースティック・ギター)、ポール・マッカートニー(ハモンド・オルガン、ベース、バック・ヴォーカル)、リンゴ・スター(ドラムス)で行われ、クリス・トーマスがピアノで参加しています。つまり、ジョン・レノンが参加していないのです。ジョンは、ジョージ作の「SAVOY TRUFFLE」にも参加しておりません。更に先を急げば、後の「SOMETHING」「HERE COMES THE SUN」「I ME MINE」などのジョージ・ハリスン作品にも、様々な事情でジョン・レノンは演奏に加わっていません。

繊細で美しい曲ですが、何故かジョージが叫ぶと何かがカタカタと音を立て、リンゴのドラムがデカイ音で入る不気味なエンディングとなっています。此れはベーシック・トラックを録音した時に、ポールが弾くハモンド・オルガンの音の振動でレズリースピーカーの上に置いてあったワイン・ボトルが揺れた音を面白がったビートルズが、わざわざ何度も其れを繰り返して録音し、オチをつける為にリンゴのドラムを加えたのです。クリス・トーマスは「ビートルズはアクシデントを上手く利用した」と語っておりますが、偶発的に鳴ったワイン・ボトルが揺れる音をそのまま入れたのではなく、マイクをセッティングして何度も録音し直しているのがビートルズの恐るべきところでしょう。

ジョージは、ボブ・ディランの「ローランドの悲しい目の乙女(Sad Eyed Lady of the Lowlands)」(二枚組アルバム「Blonde on Blonde」のD面(Side 4)に収録された11分を超える楽曲。アナログでは、此の曲しか最終面には収録されていません!)のコード進行からヒントを得たと語っています。そして、歌詞で「ずっと求め愛する」と歌われる「YOU」とは「神」だと明言しております。其の後のソロ作品(「MY SWEET LOAD」や「GIVE ME LOVE」など)へ通じる、ジョージの求道的な想いが伝わってくる内容と云えるでしょう。でも、あたくしがカヴァーしたなら、「YOU」は「片瀬那奈ちゃん」になっちゃいますけどね。


(小島藺子)



posted by 栗 at 00:34| FAB4 | 更新情報をチェックする