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片瀬那奈 as マリア
今年(2012年)2月に公開された映画「荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE」が、Blue-rayとDVDで発売されました。通常版DVDの他に、二枚組の「完全生産限定版」Blue-rayとDVDの三種仕様となっております。注目の「映像特典」は「メイキング映像」、「舞台挨拶映像」、「ナビ番組(24分)」、「予告編(特報)」で、ナビ番組と云うのはTBSでは2月8日に放送された「映画「荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE」ナビ」でしょう。
此の作品は、2011年7月から9月まで連続ドラマとして放送され、映画が完結篇となりました。然し、元々ドラマと映画は同時進行で撮影され、片瀬那奈ちゃんの撮影時期は「2011年3月6日〜5月18日」だと思われます。ドラマはオムニバス形式で様々なエピソードを断片的に提示し、結局なんのオチもつけずに終了してしまいました。映画は、ちゃんとストーリーが進んでオチもありますので、ドラマよりも普通に楽しめると思います。
但し、既にドラマ版を観てしまった後ですと、映画にドラマと同じ場面が余りにも多く流用されている点が気になるでしょう。一本の映画として成立させる為には致し方ないのですが、其れではドラマとは何だったのか?と思えてしまいます。あたくしが気になったのは、ドラマと被るエピソードで映画ではオチが違っている事です。よーするに同じ場面を複数テイク撮って、ドラマと映画でヴァージョン違いにしているのです。其れはマニアックな楽しみ方をするには面白いかもしれませんが、結局は制作陣が楽しんでいるわけですよ。其れによって、ドラマと映画の整合性がなくなってしまいました。
ハッキリ云ってしまえば、映画を観ればドラマはいらないです。ドラマ版は映画のオマケでありまして、副読本と云うべきものです。前述のお遊びは「どちらかがアウト・テイク」を意味していますが、完成度から云って映画の方が上ですので、ドラマは「ボツ映像集」としか思えません。映画を観なければストーリーが完結しないどころか、ドラマではストーリーがそもそもないのだ。そして、もしもドラマのシュールな感じが好いと云うのなら、映画で普通にストーリーがベタに展開する事にドッチラケになりますよ。片瀬那奈ちゃんが演じたマリアは、キャスティングが最初に決まったと云うだけあって適役ですが、ドラマは駄作ですし、映画も凡作です。コスプレをした俳優陣の迷いがない怪演は面白いけれど、ただそれだけです。ま、現場の雰囲気もよく、舞台挨拶は楽しいし、ファンにとっては嬉しい商品化ではあります。
コアな片瀬那奈ちゃんファンとしての此の映画での最大の見どころは、クライマックスでリクに対してマリアが云うセリフです。其れは、役柄上では当然至極の内容ですが「怪優・片瀬那奈」にとっては「自己否定」とも云うべき重過ぎるコトノハです。完全に「ネタバレ」しちゃうけど、マリアは「土下座しようとするリク」に「リク!そんなみっともないまねはやめなさい!」と忠告するのです。正直に云いますと、那奈ちゃんには云って欲しくなかった。でも、たぶん、那奈ちゃんは「ケント!土下座はあたしの必殺技なんだから、やめなさい!」と含みを持たせていたのかもしれませんね。
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「荒川アンダー ザ ブリッジ」INDEX
(小島藺子/姫川未亜)