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2012年07月24日

FAB4-150:OB-LA-DI, OB-LA-DA

Reflections Of: The Anthology Ob_la_di_Ob_la_da_single_cover.jpg


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ジェフ・エマリック(7/3-15)、ケン・スコット(10/12)
 2E:リチャード・ラッシュ(7/3-9、7/12-15)、フィル・マクドナルド(7/11)、ジョン・スミス(10/12)
 録音:1968年7月3日(take 1-7、take 7 に SI を中断し、take 4 に SI 「ギター」)、
    7月4日(take 4 に SI 「歌、コーラス」、編集した take 5 に SI 「歌」)、
    7月5日(take 5 に SI 「サックス、ボンゴ、ピッコロ、ギター」)、
    7月8日(リメイク take 1-12、take 12 を編集した take 13 に SI 「歌、コーラス、打楽器」)、
    7月9日(再リメイク take 20-21 をボツにし、リメイク take 13 に SI 「歌、コーラス」、
    編集した take 22 に SI 「手拍子、ヴォイスパーカッション」)、
    7月11日(take 22 に SI、編集し take 23-24、take 23 に SI 「サックス、ベース」)、
    7月15日(take 23 に SI、編集し take 23-24、take 23 に SI 「歌」)
 MONO MIX:1968年7月8日(take 13 よりラフミックス)、7月12日(take 23 より 10-11)、
        7月15日(take 23 より 12-21)、10月12日(take 23 より 10、実質 22)
 STEREO MIX:1968年10月12日(take 23 より 1-4)

 1968年11月22日 アルバム発売 (「THE BEATLES」 A-4)
 アップル(パーロフォン) PMC 7067-7068(モノ)、PCS 7067-7068(ステレオ)


ポール・マッカートニーが書いた陽気なノヴェルティ・ソングですが、曲調とは違ってレコーディングは最悪の展開となりました。タイトルはレコーディングにも参加したコンガ奏者のジミー・スコットの口癖(造語らしい)をポールが拝借したらしく、色々と揉めました。ジミーが「共作だろ!印税をくれ」と要求したものの、ポールが拒否し、後にジミーが逮捕された時に法廷費用をポールが肩代わりして決着となりました。スカ・ビートを使った為にビートルズがレゲエを導入した唯一の楽曲と云われておりますが、既に1964年の「I CALL YOUR NAME」の中間部でスカを試みております。

例によって「ポールのリメイク癖」が爆裂し、最初のテイクに外部ミュージシャンまで加え完成させたのにボツ(「アンソロジー3」で聴けます)にして、リメイクするも納得せず、再リメイクしたにも関わらずリメイク版に戻し、歌も何度も歌い直して完成させます。イントロのピアノは、余りにも何度も「OB-LA-DI, OB-LA-DA」を演奏させられるのにぶち切れたジョン・レノンがドラッグでトランス状態となりスタジオにやって来て、やけくそで叩いたものです。其れを「此の早いテンポが最高だね!」とポールがオッケー・テイクにしてしまったのですから、ジョンも呆れ返ったでしょう。リメイクの際には、わざわざ外部ミュージシャンを何人も雇いながら演奏させなかったと云われています。「暴君・ポール・マッカートニー、此処にあり!」ですね。ジョージ・ハリスンが「SAVOY TRUFFLE」で歌い込んでいますが、別に好きな曲だからではなく「何度も何度も録音させられて、うんざりした」から皮肉で入れたのでしょう。

7月16日の「CRY BABY CRY」のセッション中にジェフ・エマリックがエンジニアを辞めてしまうのも、前日(7/15)にしつこくポールが「OB-LA-DI, OB-LA-DA」に拘って何度も繰り返し歌入れをしている時に、ジョージ・マーティンがアドバイスしたら、ポールが「だったら、こっちに来てアンタが歌ってみろよ!」と悪態をついたのが原因だと云われています。尊敬するマーティンにまで横柄な態度を取るポールに、ポール派のエマリックも遂に切れてしまったのですね。リチャード・ラッシュも「何度も同じ曲をやり続けて、こっちもウンザリしたけど、リンゴが可哀相でした。毎日毎日「OB-LA-DI, OB-LA-DA」を何時間もぶっ続けで叩かされていたんですからね」と語っております。

挙句にポールは再リメイク(結局、ボツになる)の時には自分でドラムも叩いたとも云われており、8月22日の「リンゴ脱退事件」に繋がったと思われます。ジョンも此の曲を激しく嫌っておりますが、レコーディングの経緯を知れば当然でしょう。然し、曲はキャッチーで親しみやすかったので代表曲となってしまいました。ビートルズは英国ではシングル・カットしなかったのですが、マーマレードのカヴァー盤が英国チャートで首位になりました。日本ではシングル・カット(オリコン総合7位、洋楽1位のヒット)された上、ザ・カーナビーツなどの日本語カヴァー・ヴァージョンまで発売されています。


(小島藺子)



posted by 栗 at 00:07| FAB4 | 更新情報をチェックする