

w & m:LENNON / McCARTNEY
P:ジョージ・マーティン
E:ジェフ・エマリック、フィル・マクドナルド('69-12/5)
2E:リチャード・ラッシュ(7/10-15)、フィル・マクドナルド(7/11)、ニール・リッチモンド('69-12/5)
録音:1968年7月10日(take 1-10、take 10 を編集し take 11-13、
take 13 に SI 「歌 X 2」、編集し take 14-15)、
7月11日(take 15 に SI し編集した take 16 に SI 「エレクトリックピアノ、ベース」)、
7月12日(take 16 に SI 「リード・ギター、ベース」)
MONO MIX:1968年7月12日(take 16 より 10-13)、7月15日(take 16 より 20-21)
STEREO MIX:1969年12月5日(take 16 より 1)
(1968年9月4日 プロモ撮影)
1968年8月30日 英国シングル発売
アップル(パーロフォン) R 5722(モノ)
(1968年8月26日 米国シングル発売、アップル 2276)
ジョン・レノンの作品で「HEY JUDE」のB面として発表されました。1968年5月30日から始まったアルバム「THE BEATLES(ホワイト・アルバム)」のセッションで最初に取り上げられたのが「REVOLUTION」でした。然し、其の初期ヴァージョンはスロー・テンポで10分以上も続く上に後半は混沌としたジャム状態となってしまいます。ジョンはシングル化を強く希望しましたが、ポールとジョージに「長ぇし、ダルイ」と却下され、7月9日にリハーサルをした翌日からアップテンポで録音し直してシングルB面に捻じ込みました。元のスロー・ヴァージョンは「REVOLUTION 1」と「REVOLUTION 9」に分解され共に「ホワイト・アルバム」のD面に収録されますが、ジョンはヨーコの影響で作った「REVOLUTION 9」をシングルにするなんぞと云い出したりもしたそうです。おいおい、「REVOLUTION 1」でもダメなのに、「REVOLUTION 9」なんて他の連中が認めるわけないじゃん。でも、ジョンは「此れからのビートルズはこーゆー革新的なサウンドで行くべきなのだ!」なんぞと、完全にマジでした。(ジェフ・エマリック 談)
アルバムのセッションで最初に取り上げたと云う事は、すなわちジョン・レノンの自信作なわけでして、ジョンは何としてでもシングル化したかったのです。そこで、ポールとジョージの意見を聞いてリメイクしたのは立派ですね。流石は、天下のビートルズのリーダーです。でも、問題の初期「REVOLUTION」を二つに分けて両方共アルバムに入れてしまいますから、ただでは転びません。分けられる前の初期「REVOLUTION」が発表されていたなら、かなりの問題作となったでしょう。「REVOLUTION 9」は大問題作ではありますが、完全なるサウンド・コラージュであって、大衆音楽の範疇から逸脱しています。然し、初期「REVOLUTION」は何とか楽曲として成立させようとするレノンが感じられる出来栄えでした。其れを却下されたので、やけっぱちになってしまったのかもしれませんね。
シングル・ヴァージョンには、ニッキー・ホプキンスがエレクトリック・ピアノで参加しています。ところが、1968年9月4日に撮影されたプロモーション・フィルムでは「ニッキーがいないからエレピが入れられない」となります。例によって擬似演奏を禁じられていた為に、わざわざ前日(9/3)にニッキーのピアノを消した音源を作ってヴォーカルだけ生で収録したのです。でもさ、だったら元のヴォーカルも消せば好かったのにね。てか、エレピもバッチリ残っているではありませんか。こんなんじゃ、到底、誤魔化せませんよっ。其のプロモや「REVOLUTION 1」では、ジョンが「count me out」の後に「in」と優柔不断などっちつかずモードで歌っています。プロモではポールとジョージが「REVOLUTION 1」と同じ様なコーラスを加え、冒頭のシャウトもポールが担当しております。此のプロモの時のポールのスタイリングが「天才バカボンのパパ」にそっくりなのですけど、プロモ映像にシングル音源をリンクさせたモンなんてのも世の中にはありましてですね、するってぇと「ポールがシャウトしたりノリノリでコーラスを映像ではやらかしているのに、音は無しですよっ」と云うマヌケ過ぎる展開となってしまうのでした。
例によってシングル曲ですので、ステレオ・ヴァージョンは1970年2月26日発売の米国編集盤「HEY JUDE」まで発表されません。よーするに、ビートルズは二枚組で30曲入りにも関わらず、先行シングルであった「HEY JUDE / REVOLUTION」をアルバムに収録する気が「端からなかった」のです。二曲共、始めからシングル限定と考えて録音されています。ジョンとしては前述の通り「REVOLUTION」のシングルA面を想定してのリメイクだったのでしょう。でもですね、「REVOLUTION」が完成した後にポールが書いて来た「HEY JUDE」を認め大いに協力して完成させているのです。前述の通り、プロモ撮影時にリンゴが戻って来たし、ジョージも「HEY JUDE」のレコーディングでブチキレ寸前だったのに、映像ではしっかりと「ビートルズ」しているのですよ。崩壊寸前と云われる「ホワイト・アルバム」のセッションですが、まだまだ彼等はバンドでした。それにしても、「REVOLUTION」のプロモで最後に元のヴォーカルが被ってなければ完璧なんだけどナァ。ケン・スコットよ、何故、残してしまったのだ?答えは簡単で、コピーしたのは「take 16」からなので「take 15」の段階で入ってしまったジョンのヴォーカルは完全には消せない状態だったのでしょう。なにせ「4トラック」なんだもんナァ。
(小島藺子/鳴海ルナ)
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