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2012年07月12日

FAB4-138:MAGICAL MYSTERY TOUR

マジカル・ミステリー・ツアー Water Me マジカル・ミステリー・ツアー [Blu-ray]


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ジェフ・エマリック(4/25〜27、5/4、11/6、7)、マルコム・アデイ(5/3)
 2E:リチャード・ラッシュ(4/25〜5/4)、ケン・スコット(11/6)、グレアム・カークビー(11/7)
 録音:1967年4月25日(バスの音のテープ・ループ、take 1-3、take 3 を編集し take 4-8)、
    4月26日(take 8 に SI 「ベース、パーカッション、コーラス」後、編集し take 9)、
    4月27日(take 9 に SI 「歌、コーラス」)、
    5月3日(take 9 に SI 「ブラス」)、
    11月7日(STEREO MIX 4 及び MONO MIX 7 に SI 「歌、効果音」)
 MONO MIX:1967年4月27日(take 9 より 1-4)、5月4日(take 9 より 1-7)、
       11月7日(SI した 7 より 8-10)
 STEREO MIX:1967年11月6日(take 9 より 1-4)、11月7日(SI した 4 より 5-6)

 初出:1967年11月27日発売 (「MAGICAL MYSTERY TOUR」 A-1)
 キャピトル MAL 2835(モノ)、SMAL 2835(ステレオ)

 1967年12月8日 英国EP発売 (「MAGICAL MYSTERY TOUR」 A-1)
 パーロフォン MMT-1(モノ)、SMMT-1(ステレオ)


ポール・マッカートニーの作品で、1967年12月26日にBBCで放送されたTV映画「MAGICAL MYSTERY TOUR」のテーマ曲です。アルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEART'S CLUB BAND」の録音を4月1日に終えたポールは、4月3日から11日までアメリカへ行って、ジェーン・アッシャーといちゃついたり、ブライアン・ウイルソンにプレッシャーをかけたりしたのですが、帰りの飛行機でまたしてもうっかり天然バカボン丸出しの「MAGICAL MYSTERY TOUR」の構想を思い付いてしまいます。其れはビートルズが参加するバス・ツアーを描くものですが、キチンとした脚本はなく、行き当たりバッタリで作ってしまおうと云う「トンデモ作品」でした。天下無敵のザ・ビートルズでしたが、発表当時には音楽は評価されたものの映画はボロクソに貶されます。然し「MTV」を先取りした様な映像の評価も、後にはスティーブン・スピルバーグが影響を受けたと語ったりして絶賛される事となりました。個人的にも好きなTV映画ではありますが、内容は出鱈目で何の意味もありません。そんな事を云い出せばアルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEART'S CLUB BAND」にも意味などないのですけど、映画にしちゃうと叩きやすかったのでしょう。

発案者のポールはサラリと此のテーマ曲を書いてしまい、4月25日から録音が開始されます。5月4日にはモノ・ミックスも完成しているのですが、11月7日(片瀬那奈ちゃんと内山理名ちゃんのお誕生日!)に新たな録音とリミックスが行われました。ちなみに、5月3日のセッションだけジェフ・エマリックが不在なのは、彼が其の日にサマーセットでワーゼルズの録音に立ち会っていたからです。ところが、いきなりだナァと録音を決めたビートルズは「ビートルズを差し置いてサマーセットくんだりまでワーゼルズ如きのレコーディングに行くのかよ!」と「俺様節全開」でエマリックを責めたそうです。エマリックは「とっくに予約が入っていた仕事なんだから、仕方ないだろ!」とキレてしまったらしいのですが、そりゃそーだ。もう此の時期になると、誰もビートルズの我侭に逆らえずに振り回されていたのでしょう。

1967年8月27日に、ビートルズを管理していたマネジャーのブライアン・エプスタインが亡くなります。1966年8月にライヴ活動を休止してからは飼い殺し状態とも思えたエプスタインでしたが、彼の死後に初めて発表されたプロジェクトとなったTV映画「MAGICAL MYSTERY TOUR」の惨状を見ると、やはりエプスタインの手腕は凄かったのだと思わされます。英国では6曲入り二枚組のEPで発売されますが、「そんなもんは売れん!」とばかりに米国キャピトルはA面に其の6曲を入れB面に当時シングル盤のみで発表されていた5曲を加えた11曲入りのアルバムにして、英国でのEP発売よりも前に発売してしまいました。英国でも輸入盤が売れたので、1976年にはパーロフォン盤も発売しました。現在CDで聴けるのも、其の米国編集盤の曲順を元にしたアルバムです。米国盤と英国盤のステレオではB面後半の3曲が擬似ステレオでしたが、1971年に発売された西ドイツ盤ではステレオになっています。ゆえに、全編で様々なミックス違いが公式盤で発表されました。

「MAGICAL MYSTERY TOUR」と云う楽曲は、ポールらしいお気楽なポップ・ソングです。ジョンとジョージによるコーラスも楽しく、特にジョンはノリノリです。ジョンはポールが書くポップ路線を「くだらん!」と云いつつ、何故かいつもノリノリでサポートしているのでした。映画で使われたヴァージョンは、効果音やナレーションなどが大きく異なります。ビートルズでのライヴは行われていませんが、作者のポールがソロ・ツアーで何度も演奏しています。ポールが近年でもライヴで弾くサイケデリックな模様のピアノは、此の曲や同名映画をイメージしたものでしょう。


(小島藺子/姫川未亜)



posted by 栗 at 00:07| FAB4 | 更新情報をチェックする