w & m:LENNON / McCARTNEY
P:ジョージ・マーティン
E:キース・グラント
2E:エディ・クレイマー
録音:1967年5月11日(take 1-12、take 12 を編集し take 1-2)
MONO MIX:1967年5月11日(take 2 より 1)
STEREO MIX:1971年10月22日
1967年7月7日 英国シングル発売
パーロフォン R 5620(モノ)
ジョンが書いた「One Of The Beautiful People」とポールが書いた「Baby You're A Rich Man」を合体させて作られた、正真正銘の「レノン・マッカートニー」作品です。録音はオリンピック・スタジオで行われ、約6時間ほどでレコーディングからミックスまで行われ完成しました。此の時期のビートルズとしては、異例の早さです。「ALL YOU NEED IS LOVE(愛こそはすべて)」のB面として発表されますが、元々はアニメ映画「YELLOW SUBMARINE」用に提供する為の楽曲であり、映画にも使われています。米国編集盤「MAGICAL MYSTERY TOUR」に収録されますが、ステレオ・ミックスは1971年10月22日まで行われなかった(西ドイツ盤「MAGICAL MYSTERY TOUR」で初出)ので米盤では擬似ステレオとなっています。
ビートルズは、1967年4月25日には「MAGICAL MYSTERY TOUR」の録音を開始し、5月11日には此の曲をアニメ映画「YELLOW SUBMARINE」用として完成させているのです。翌5月12日には「ALL TOGRTHER NOW」を、矢張り6時間で録音からミックスまで行い完成させています。アルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEART'S CLUB BAND」が発売されるのは「1967年6月1日」なのですから、ロックの金字塔と呼ばれる新作アルバム発売前に、既に「MAGICAL MYSTERY TOUR」と「YELLOW SUBMARINE」に向っていたわけですよ。何と云う急激な展開なのでしょう。
ジョンが「ヴォーカル、ピアノ、クラヴィオライン、コーラス」を、ポールが「ヴォーカル、ベース、弦楽器、ピアノ、コーラス」を、ジョージが「ギター、コーラス、手拍子」を、リンゴが「ドラムス、タンバリン、手拍子」を担当する「1967年のビートルズ」による演奏が聴けます。更に、ローリングストーンズのブライアン・ジョーンズが「オーボエ」、ミック・ジャガーが「コーラス」で、そして後にジミ・ヘンドリックス、レッド・ツェッペリン、KISSなどのエンジニアやプロデュースなどで有名になるエディ・クレイマーがセカンド・エンジニアを担当した他「ヴァイブ」で客演しております。豪華絢爛な夢のセッションですが、オリンピック・スタジオの支配人でエンジニアを務めたキース・グラントやエディ・クレイマーが驚嘆したのは「ジョン・レノンの素晴らしい歌声」でした。
アニメ映画「YELLOW SUBMARINE」用にビートルズが提供したと云う事は「たいした曲じゃない」と思っていたのでしょう。彼等はアニメなんぞ莫迦莫迦しいと乗り気ではなく、出来の悪い曲を「よし、コレはアニメに使おう」と云っていたらしいです。ゆえに、サントラ盤の「YELLOW SUBMARINE」には新曲がたったの四曲しか収められず、しかも其の内の三曲は1967年に録音され、もう一曲ですら1968年2月に別の曲のプロモを撮影時に録音されています。此の曲も、たまたま「ALL YOU NEED IS LOVE(愛こそはすべて)」を急遽シングル発売する事になり、上手い具合に完成していたからB面となったのでしょう。然し、そんな「やっつけ仕事」でも実に魅力的な曲となってしまうのがビートルズでした。大金持ちになった自分たち自身やマネジャーのブライアン・エプスタインを痛烈に茶化す内容の「金満ソング」を、「愛こそはすべて」のB面で発表してしまうブラック・ユーモアが痛快です。
(小島藺子)
【関連する記事】
- 「ポールの道」#496「FAB4 GAVE AWAY」#40 「RAVI SHA..
- 「ポールの道」#495「FAB4 GAVE AWAY」#39 「STRAIGHT..
- 「ポールの道」#494「FAB4 GAVE AWAY」#38 「BACK OFF..
- 「ポールの道」#493「FAB4 GAVE AWAY」#37 「NO DICE」..
- 「ポールの道」#492「FAB4 GAVE AWAY」#36 「IT DON'T..
- 「ポールの道」#491「FAB4 GAVE AWAY」#35 「GOD SAVE..
- 「ポールの道」#490「FAB4 GAVE AWAY」#34 「GIVE PEA..