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2012年07月06日

FAB4-132:SGT. PEPPER'S LONELY HEART'S CLUB BAND(REPRISE)

Blue Wild Angel: Live at Isle of Wright (Dig) Sgtpepperslonelyheartsclubbandsinglecover.jpg スマイル


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ジェフ・エマリック
 2E:リチャード・ラッシュ
 録音:1967年4月1日(take 1-9)
 MONO MIX:1967年4月1日(take 9 より 1-9)
 STEREO MIX:1967年4月20日(take 9 より 1-10)

 1967年6月1日 英国アルバム発売 (「SGT. PEPPER'S LONELY HEART'S CLUB BAND」 B-5)
 パーロフォン PMC 7027(モノ)、PCS 7027(ステレオ)


アルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEART'S CLUB BAND」をコンセプト・アルバムと錯覚させるのは、オープニングとエンディングに此のテーマ曲が登場するからです。其れは作者であるポール・マッカートニーが意図した事で、アルバム全体を架空のバンドによるショーにしようと企んだわけです。此のアルバムは曲間がほとんどなく全ての楽曲が繋がっている様に構成されていますが、実際にメドレーとなっているのは最初の二曲(「SGT. PEPPER'S LONELY HEART'S CLUB BAND」「WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS」)と最後の三曲(「GOOD MORNING GOOD MORNING」〜「SGT. PEPPER'S LONELY HEART'S CLUB BAND(REPRISE)」〜「A DAY IN THE LIFE」)だけです。更に、全ての楽曲に統一したテーマはありません。つまり「架空のバンドによるショー形式」と云うポールの天然バカボン的な思い付きだけがコンセプトでありまして、深い意味など全くないのです。

此のリプリーズも、アルバム完成が迫られた時期にギリギリになって決まった事で、しかもポールは4月3日からアメリカへ行く事が決まっており、此の曲を録音した4月1日がポールにとってアルバムの最後のセッションでした。余談ですが、アルバムの裏ジャケットでポールだけ後ろを向いているのは、実はポールがいないからマル・エヴァンスが代役を務めているのです。そんな事情からなのか、矢鱈と凝っているアルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEART'S CLUB BAND」の中でも此の曲は「4トラック」のみで作られています。いえ、此のアルバムは全て「4トラック」で録音されているわけですけど、ビートルズは4チャンネルに全て録音してしまった音源を別のレコーダーに移して更に音を重ねてゆくと云うトンデモな「ピンポン作業」を行っていたのでした。

時間的な制約もあった為か、此の曲ではそんな手間は掛けていられなかったので、ビートルズは11時間ぶっ通しのセッションで完成させてしまいました。ベーシック・トラックを録音して、ジョン、ポール、ジョージのヴォーカルを加え、さらに楽器も重ねますが、基本的には一発録音のライヴ感が出たストレートなロケンロールに仕上がっています。スタジオに篭って箱庭的な世界を作っていた1967年のビートルズですが、此の「SGT. PEPPER'S LONELY HEART'S CLUB BAND(REPRISE)」を聴けばライヴでもイケテると分かります。前曲の「GOOD MORNING GOOD MORNING」も、前述の通り「アンソロジー2」で聴けるダビング前の状態だとライヴ感が溢れるビートルズがいます。

モノラルとステレオでは、ポールのアドリブ・ヴォーカルなどが明らかに違っています。同じ「take 9」からリミックスされているのに、思いっきり違うのですから面白いですね。モノラル・ミックスは録音された当日に行われております。つまり、冒頭で「GOOD MORNING GOOD MORNING」のエンディングのニワトリの鳴き声とギターが見事に重なるのは、ニワトリの鳴き声の方を後で合わせたわけですね。ちなみに、此の曲のステレオ・ミックスにはジョージ・マーティンが関わっておりません。ポールは、最近のライヴでは此の曲から「THE END」へ繋ぐのを最後に演奏するのがお約束になっております。でも、残念ながら、冒頭でニワトリは鳴きません。


(小島藺子)



posted by 栗 at 03:54| FAB4 | 更新情報をチェックする