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2012年06月08日

浜辺で「シルビー!シルビー!」とジュリーが叫び、UFOは飛び去った。

ザ・タイガース 世界はボクらを待っている [DVD]


片瀬那奈ちゃんが「歌って踊る桜井玲奈さん」を演じておられるドラマ「カエルの王女さま」は、残すところ二話となりました。此の作品での「桜井玲奈さん」は、片瀬那奈ちゃんを愛するファンにとって「待ってました!」と云うべき適役です。デビューから14年の歴史に裏打ちされた、正に「片瀬那奈にしか出来ない演技」を見せ付けて下さっております。然し乍ら、ドラマとしては大絶賛すべき作品とは云えないのです。確かに楽しく見させて頂いておりますし面白いと思っておりますが、グダグダな展開もありツッコミどころも沢山あります。

此のドラマは、ショークワイアが売りです。ゆえに毎回、多くの楽曲がシャンソンズによって披露され、ストーリーも其の歌詞に沿って展開したりもしております。合唱団が主役なので、歌うのは自然です。が、然し、重要な時に解決するのが「歌のチカラなのだ」とする為なのか、ヘンテコリンな事が何度も起こりました。第3話では、元・ゼルエルを陥落させる為に公開処刑を澪コーチがやらかした後にシャンソンズが「終わらない歌」を歌うのですが、あたくしが一希くんだったら「はあ?おまえら、何やってんの?」と思いますよ。何ゆえ歌うのか、分からんのだ。第4話で南さんが「せっかく、歌ってやったのに」とか云ってましたけど、アノですね、ゼルエルは頼んでないっすから。第6話で澪コーチを呼び戻す為に「何度でも」を市内放送するのも、かなり強引なチカラ技でした。

第7話では、散々引っ張った不倫ネタを「ウエディング・ベル」を歌って解決ってトンデモ展開となり、第9話でも最大の敵と思われたサリーを「たしかなこと」を歌って陥落させてしまいます。「ゼルエルの加入」も「忠子さん、ぼんくら亭主、玲奈さんの三角関係」も「サリーの改心」も、全てが物語を引っ張って来た重要な事なのに、其れが全部「歌で解決」って何だ?いえ、歌で解決でも構わないしテーマとしてはそうしなければならないのでしょうけど、思いっきり無理矢理なのです。「ウエディング・ベル」なんて、玲奈さんに「くたばっちまえ!」と云わせる為だけに選曲したわけでしょ。アレで「めでたし、めでたし」って、那奈話も引っ張って如何なものか。

昨夜の第9話で「たしかなこと」をいきなりだナァと歌われてサリーが心を揺るがす場面は、もう「カエルの王女さま」の世界に慣れてしまった方々にとっては感動的としか云えない名場面でした。でもですね、忠子さんが説得するのはリアリティがありますけど、何ゆえ歌うのよさ。しかも、ガッツリとレッスンしてシャンソンズがハモるわけですよ。あたくしがサリーなら、それこそ憤慨して「ふざけるな!」と去りますよ。何でサリーは、黙って座って聴いて感動しちゃってんのよさ。サリーは熱演でしたけど、笑いを堪えるのに大変だったんじゃまいか。こんなの現実じゃ有り得ないでしょ。必死に語っていた娘が、いきなり歌い出して合唱しちゃうって、ファンタジーではありませんか。

此の「カエルの王女さま」と云うドラマは、ミュージカルではありません。でも、突然に歌い出す事もあり、其れがかなり重要な場面で行われています。あたくしが想起したのは、クレイジー・キャッツの映画です。植木さんは、何の脈略もなく、唐突に歌い出すのですよ。社長の家に勝手に行ったら社長の息子たちがバンドの練習をしていて「一寸、拝借」とか云ってギターを奪いいきなり歌い出すなんてのは序の口で、歩いていたら気分が高揚して踊りながら歌ったりもするのです。そうそう、アキラも歌うんだよね。敵陣に乗り込んで行くのにギターを背負っていて、階段の上に登場するとギター弾いて歌っちゃうのですよ。敵はアキラが歌い終わるまで待っているのだ。う〜む、「カエルの王女さま」って深いぞ。


(小島藺子)



「カエルの王女さま」フジテレビ公式サイト


posted by 栗 at 04:14| ACTRESS | 更新情報をチェックする