未亜:銀河系那奈億人の勇敢な片瀬那奈ちゃんファンの皆さん、こんばんは!「第壱回・片瀬那奈・怪優グランプリ」も準々決勝の最後を迎えようとしておりますがぁ、実況は姫川、解説は小島藺子さんでお届けいたしますっ。小島さん!先ほどの試合は藤田千秋の頑張りで白熱した名勝負となりましたが、勝者である大久保千秋が試合終了後にまさかの暴走をしましたっ。
イコ:全く解せない「不可解な行動」でしたね。大久保選手は準決勝へ進出しましたが、孤立無援となってしまったでしょう。確かに此の大会は個人戦ですが、此れまでの流れを見ますと「如何に援軍を得るか」も勝敗のポイントとなっていると思えます。準決勝、決勝と進めば、敗退した多くの選手たちが「どちらかの援護に付く」と予想されますが、先ほどの暴走によって、おそらくもう誰も大久保選手の味方にはならないでしょう。
未亜:さて、その大久保千秋と準決勝で対戦する相手がコノ試合で決まります!狂乱ファイトで一回戦を突破した小早川妙子と、「美月うらら姫を大逆転で撃破したものの負傷により無念のリタイアとなった小野未来」に代わってリザーバーとしてチャンスを得た手塚モモコが相対しますっ。ゲスト解説としまして、美月うらら姫をお迎えする予定ですがぁ、案の定、うらら姫はやって来ませんっ。小島さんっ、うらら姫は何をやっているのでしょうっ。
イコ:うららちゃんは、今度はレフェリーをやりたいと云い出しましてですね、さっきレフェリーを務めた高瀬選手も大久保選手の思わぬ攻撃で負傷しておりますので、此の試合は美月うらら選手に特別レフェリーとして参加してもらう事になったのですよ。いくらエースとは云え、うららちゃんの我侭にも困ったもんです。
未亜:おおっと、確かに美月うらら姫がお相撲の行司姿でリングに登場だっ。物凄く目立っておりますっ。会場のチビッ子は大喜びですがぁ、おっとマイクを持って歌い始めた!またしても「美月うらら姫オンステージ」が始まってしまったぁ!お客さんもノリノリだっ。コレでは試合が台無しになってしまいます!うらら姫が大会を乗っ取ったのかぁ!!小島さんっ、トンデモナイ事態になりましたねっ。
イコ:そりゃまぁ、お客さんは片瀬那奈ちゃんのファンですから、大人気キャラクターである美月うらら選手が歌えば熱狂しますよ。此れは、妙子選手と手塚選手にとって大きなプレッシャーとなりますね。うらら選手は、本来なら自分が妙子選手と対戦するべきだったと思っているでしょうから、レフェリーとしてでも大いに目立って、己の強さや人気をアピールしたいんじゃないですかね。
未亜:どうにもとまらない「美月うらら姫の童謡ショー」が続くリングへ、今、小早川妙子が愛娘みーちゃんと共にお揃いのピンクのドレス姿で入場だっ。おっと、みーちゃんはうらら姫に熱狂してぇ、母である小早川妙子を置き去りに走ってリングへ向かっているぞ!観戦していた大輝くんや他の子供たちもワラワラとうらら姫の元に集まってゆきますっ。うらら姫はクラリネットを吹いて子供たちを先導し花道を去ってゆく!子供が連れ去られた花輪倫子、三浦純、森瑠衣、鳴海京子、三浦真由、A教師たちが追いかけるっ。小早川妙子もぉ、みーちゃんを連れ戻そうと後に続いたぁ!おおっと、そこに手塚モモコが呑気に入場だっ。
イコ:手塚選手は相手の心を読めますが、妙子選手は心と行動が一致しない無軌道な攻撃を得意としていますから、興味深い対決になるでしょう。しかし、此れはマズイですね。レフェリーが居なくなったんじゃ試合になりませんので、プロデューサー権限で警備に就いている木田敦子選手をサブ・レフェリーとして任命します。
未亜:ええっ?何で都合よくあっちゃんが警備してるのですかっ。おおっと、何だか事情が飲み込めていない手塚モモコがポカンと立っているリング上にぃ、あっちゃんこと木田敦子が代理のレフェリーとして入った途端に試合開始のゴングが鳴ったっ。何だ、何だぁ!木田レフェリーがいきなりだナァとカウントを取り出した!おいおい、それはないでしょっ。みーちゃんを追いかけていた小早川妙子が気付き、みーちゃんを抱いてリングへダッシュしているがぁ、もう時すでに遅し!20カウントが数えられリングアウトで、何もしないで手塚モモコが勝ってしまったぁ!!場内騒然だぁっ。余りにも期待ハズレな展開に怒号が飛び交っておりますっ。小島さん!確か、小島さんは小早川妙子を贔屓されていたはずですから、コレは完全なアクシデントですよねっ。お客さんもコレじゃ納得しませんよっ。
イコ:う〜ん、試合は成立してしまいましたからね。妙子選手は、試合放棄したとも云えますね。
未亜:おっと、小早川妙子とみーちゃんが放送席へやって来たっ。当然、小島さんに抗議して試合のやり直しを求めるのでしょう!何だ?小島さん、何をやってるっ。今、アンタ、何を渡したんですかっ。小早川親子はニンマリしてぇ、意気揚々と退場だっ。ボキは見たっ。小島さん!アンタ、買収したでしょっ!!八百長だよっ。皆さんっ、姫川は確かに小島プロデューサーが小早川親子に小切手を渡す現場を目撃しましたっ。しかも、チラリと「西豪寺グループ」との署名が見えたっ。
イコ:姫川さん、残念だったね。さっきから、音声切ってますよ。よし、此処で再び音声を入れろ。
いやぁ〜、驚きました。
未亜:小島さん、、、アンタってぇ人はっ。
イコ:姫川さん、一寸待って下さい。勝者の手塚モモコ選手がマイクを持ってますよ。
未亜:タナボタ勝利を得た手塚モモコがぁ、マイクを持ったっ。ココは潔く再戦要求でしょうかっ。おっとぉ、何もしないで試合が決まってしまったので気付いておりませんでしたがぁ、ボキの目が確かならば、アノ選手は手塚モモコではないっ。手塚モモコを名乗る選手がマイク・アピールだっ。「大久保千秋さん、聞こえるかしら?今どき、アナタの様なスタイルは、流行らなくってよ!」コノ科白回しとアノ尊大な立ち居振る舞いはっ。小島さん!西豪寺エレナ様ですよね!おいおい、エレナ様は準々決勝で敗退しているじゃまいかっ。こんな滅茶苦茶な事が許されていいのでありましょうかっ。
イコ:えっとですね、あたくしが調査しましたトコロ、どうやら「一回戦でマリア選手に勝って準々決勝で柏木選手に負けた西豪寺エレナ選手」が「手塚モモコ選手」だったとの事です。どうも、エレナ選手がお見合いをしていてですね、手塚選手を代役にしていたみたいなのですよ。つまり、現在リングに立っているのが本物の「西豪寺エレナ選手」でありまして、手塚選手も「此れまでは代役をした」と認めておりましてですね、準決勝は「大久保千秋 VS 西豪寺エレナ」となるわけです。いやはや、参りましたナァ。あたくしも、まんまとエレナ選手の策略に騙されておりましたよ。ニヤニヤ。
未亜:はあ?何じゃそりゃっ。小島さんっ、アンタ、西豪寺グループに(ピー!)されてるんじゃないんですかっ。おおっと、しかし場内は思わぬビッグ・カードである「大久保千秋 VS 西豪寺エレナ」が実現する事に狂喜乱舞となっておりますっ。手塚モモコを名乗っていた西豪寺エレナ様も御満悦の御様子でぇ、再びマイクを持ち「絶対に、優勝いたします!ありがとう、子羊ちゃんたち」と満面の笑顔で花道を退場して行きますっ。そりゃ、ボキもエレナ様が蘇ったのは嬉しいのですがぁ、それではこのブロックで争って来た「小早川妙子、山田バーバラ、小野未来、美月うらら姫」は、一体何だったのか?とも思えてなりません!さて、いよいよ「第壱回・片瀬那奈・怪優グランプリ」は次回から準決勝となりますっ。それでは皆さん、ごきげんよう!
(小島藺子/姫川未亜)