片瀬那奈ちゃんの映画出演に関しては、既に何度も検証して参りましたが、最新作が「荒川アンダー ザ ブリッジ(2012年)」になると云う危機的状況に陥った今、再び振り返ってみましょう。いえ、其れほどまでに「荒川」がダメなわけでは在りません。今年(2011年)の役柄としては「マリア様」はベストでしょう。然し乍ら、より高見を望むのがファンです。
さて、片瀬那奈ちゃんの銀幕デビューは「冷静と情熱のあいだ(2001年、東宝)」でした。此れは長く黒歴史とされ公式プロフィールなどからも抹消されておりましたが、理由は出番が僅か数十秒しかない「カメオ出演」だったからでしょう。ゆえに、片瀬那奈の銀幕デビューは「デスノート the Last name(2006年、松竹)」とされるのが一般的になっています。其れは、マンガ原作を大いに改変して片瀬クン演じる「高田清美」を事実上のヒロインにしてしまった「ガメラ・金子」監督の執念が感じられる「片瀬那奈の為の映画」となった怪作で御座いました。
「デスノート the Last name」の撮影は、クランクインもクランクアップも片瀬那奈ちゃんの出演場面であり、ガメラ・金子は撮影期間中ガッツリと片瀬クンを拘束しやがったわけです。そんな中、片瀬クンはチャッカリと別の映画の撮影にも臨んでおりました。其れが「きみにしか聞こえない(2007年、ザナドゥー)」です。あくまでも推測ですが、「デスノート the Last name」と「きみにしか聞こえない」は、2006年7月に三浦海岸で併行して撮影されていたと思われます。「きみにしか聞こえない」に関しては、実写撮影は壱日でアフレコが壱日の合計二日間で片瀬クンの出番は終わったのでしょう。出番は少ないものの「きみにしか聞こえない」は、名作です。先日またDVDで観たら、スタッフに原桂之介さんのお名前を発見しました。おっと、うっかり「荒川」と繋がってしまったぞ。
さて、此処からは「20世紀少年(2008年、2009年、東宝)」三部作から「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル(2010年、東宝)」と四作連続で堤カントク作品へ連投する悪夢が始まりました。「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」は兎も角として「20世紀少年」は「カメオ出演」でしかないので、銀幕出演歴に堂々と居座っているのは「インチキ」です。個人的にはエキストラ出演して「片瀬那奈ちゃんと同じ映画に出た!」と自己満足に浸れる作品ですが、映画は駄作でした。片瀬クンは「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」では鬱憤を晴らすかの様な怪演をやらかしますが、如何せん映画がつまらない。然し、片瀬クンは同時に「裁判長!ここは懲役4年でどうすか(2010年、ゼアリズエンタープライズ)」と「ジーン・ワルツ(2011年、東映)」と三本の映画に挑み演じ分けておられたのでした。公開は別々になりましたが、此の三作は全て2009年11月頃に同時進行で撮影されています。
公開順では最新作となる「ジーン・ワルツ」は「カメオ出演」と云える作品でしたが、特筆すべきなのは「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」でしょう。個人的には、片瀬那奈ちゃんが出演された映画で現時点での最高傑作だと断言します。近年の那奈ちゃんが演じた役柄でのベストはドラマ「闇金ウシジマくん(2010年、毎日放送)」での「大久保千秋」だと思いますが、「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」で演じたマリリンこと「長谷部真理」も新たな魅力を伝えて下さいました。ところが、公開時期は同じ頃だったものの「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」の撮影は2009年だったのです。つまり「マリリン」が先に在ったからこそ「大久保千秋」が出現したのでした。
「マリリン」や「大久保千秋」こそが、此れからの片瀬那奈が新たな当たり役としてモノにすべき方向性を示していると思います。かつて「西豪寺エレナ様」で爆裂した那奈ちゃんは「エレナ様は暫く封印する」と云い放ち、事実、其の後は「ここぞ!」と云う時に「年に壱度」くらいしか披露しませんでした。そんな伝家の宝刀が「美月うらら」や「高瀬リコ」だったから活きたのです。然し乍ら「テレビでスペイン語」の「姫様」で半年もハイテンションな定番技を出し惜しみなく炸裂させ、現在の「RINA」と「マリア様」も其の「十八番路線」を求められる侭に魅せて下さっております。其れは那奈ちゃんの必殺技ですが、些か連発されると「晩年の猪木の延髄斬りか?」と思えてしまうのでした。片瀬那奈ちゃんは、もう其れだけでは無く多くの技をお持ちなのですよ。
来るべき銀幕作品として公表されているのは前述の通り「荒川アンダー ザ ブリッジ(2012年)」です。撮影はドラマと併行して行われ、春には終了しています。例えスットコドッコイな映画でも、大スクリーンで片瀬那奈ちゃんが拝めるのは嬉しいですし、お約束の舞台挨拶も在りますのでドドンガドンドン!と銀幕にも出捲くって頂きたいっ。さっさと、映画「闇金ウシジマくん」のキャスティングも公表して欲しいですね。「マリア様」も好いけど、矢張り「大久保千秋」に大スクリーンで再び逢いたいです。
(小島藺子/姫川未亜)