リンゴが新作を出すので、サー・ポール・マッカートニーに「さっさと新作ださんかいっ!」と云ったら、「ライヴ・イン・レッド・スクウェア」が出るんだってさ。でもまたライヴDVDなんだよね。此れは確かに歴史的なコンサートだし、TV放映はあたしも観て感動しました。エミー賞も受賞した優れたドキュメンタリー作品です。でも本篇20曲中、ビートルズ・ナムバーがなんと15曲!おまけに収録される「サンクト・ペテルブルク(KANちゃん!)公演」も11曲中8曲がビートルズ!!うーむ。
いや、此のツアー初演って曲も在る。其の「TWO OF US」「I'VE GOT A FEELING」「HELTER SKELTER」なんかもしっかり押さえてあるから、買ってしまうんだろうな。で、2003年に「TWO OF US」や「I'VE GOT A FEELING」がセットに加わったのは、明らかに「LET IT BE... NAKED」のプロモーションだろう。定番の「GET BACK」「THE LONG AND WINDING ROAD」「LET IT BE」も当然演奏しているので、つまりポールの曲は全部やったのだ。なんと云うサービス精神!!ポールのライヴに行って、ビートルズのCDをお土産にするってのは可能なんです。例えば「1」の27曲中、半分はポールが書いて歌っているし、ちゃんとライヴでも歌ってくれるんですもの。此れがリンゴだと、しつこいけど1曲なんですよ。しかも其れを書いたのもポールなんだなぁ。
そーなるとビートルズの新作が出たら、ポールの其れはいらないって話になってしまうのね。ズバリ云って「リンゴとポールでどっちが未だに創作意欲に燃えているのか?」なんて冗談にもなりません。また山程未発表音源が増えて居るのでしょう。「あー、新録の新作も出したいなぁ、リンゴはええなぁ。」てな感じかな。でも今やビートルズをプロモーション出来るのは、ポールしかいないのです。ビートルズなんて何もしなくとも売れるって?甘い!!かつてポールはこう云いました。「今回のアルバムが発売して一週間も経つのに、たった300万枚しか売れてないんだって。ショックだね。また世界ツアーをやって、もっともっと売らなきゃね。」
其れで、リンゴの新作を買いにわざわざCD屋さんまで行ってみた。すると、amazon価格で買える「R」には息子が太鼓を叩いてるオアシスの新譜が山になってんのに、肝心の親父さんのが無い!!おー、なんてこったい。で、「D」へ向かった。此処は輸入盤の新作が高い。でも、折角遠回りしてんだから弐阡円くらいまでなら我慢してやろーじゃないか。しかしだ、なんだよ!此の値段は、amazon価格の倍近いじゃねーか。日本盤より高いぞ。ふざけんなっ!と思ったら、両面仕様でCD+DVDだってさ。こんなの初めてだけど、絶対日本盤じゃ出ないから買おうかと思ったよ。
でもね、リンゴだけ買うわけにはいかないっ!ポールも買わなきゃって探してたら、ビートルズの米盤リール落とし「マジカル+ヘイ・ジュード」が、たったの千弐佰円ですよ。買いだねっ!いや、やっぱり流石はポールだよって、更に探すと、前から気になってたビートルズのロシア盤デジパックが一枚800円で投げ売りされてたんですよ。うわぁ、こりゃ絶対買いだよ。三枚もあるじゃないか、すげーすげー、こっちの「2 on 1」と合わせて5枚分だよ。それで四千円もしないんだから堪らんよ。えっ?リンゴの新譜?何だよ、其れ。天下無敵の「ザ・ビートルズ様」が5枚も買える程の価値が、そんなモンに在るわけねーだろ。何?リンゴは新録で未聴なんだし、ビートルズなんて全部どころか何枚も持ってんだろって?おまえは、何を云い出すんだぁ?
いいか、説明してやろーじゃないか。米盤リール落としなんて未来永劫、絶対に商品化されないんだよ。此の音と通常CDが如何に違うか、聴いて驚けっ!で、ロシア盤はな、音は盤落としなんだけど体裁が凝ってるんだよ。こんなお宝を前にして、なんでamazon価格の倍出してリンゴ如きの新譜なんかを買わなきゃいかんのだ?大体だな、リンゴだけはねーだろ?ポールも買わなきゃいかんだろ?其れはつまりビートルズだろ?間違ってないし、一点の曇りもない。いやぁーええ買い物したなぁー、ホクホク。
特定の音楽家を好きになったら、とりあえず其のひとの公式盤は押さえて置きたくなるよね。いや、一寸だけ好きだからベスト盤でいいや、なんて思っても好いんだ。でも、ベスト盤で満足出来るよーじゃ、所詮其の音楽家は「きみにとって大した存在じゃない」よな。はい、じゃ此処でさよならだ。さて、やっぱりベスト盤なんかじゃ物足りないよって、きみ、そう、きみだよ。ようこそ。当然、お気に入りのひとの公式盤はすべて揃えたんだよね?え?まだ?「でも、此れから必ず集めます。」そう、そう、其れでいいのだ。まずはじっくりと公式盤を聴かなきゃ話にならないよ。
そんな在る日のことでした。ある曲が流れて、聴き馴染んだ曲が何か妙な感じなんです。ありゃ?此れっておかしいよ。何か気持ち悪い、けど気持ちええかも。あたくしの場合、其れが米盤「ヘイ・ジュード」に入っていたステレオ版の何曲かだったのね。これって、絶対に違うよ!って厨房のあたくしは思ったのよ。現在では、其れがミックス違いだってことが研究されているけど、本で読んだ知識なんかじゃダメなんだ。例えばジョンの「スターティング・オーバー」は最初にFMで聴いて、当然エアチェックしたんだけど、いざ発売されたシングルを聴いたら違うんだ、短いんだ、何回もテープで聴いていたのはエンディングがもっと長いんだよ。此れはずっと不思議で、一体なんなんだろう?って思ったんだ。
だから、あたくしは今でもミックス違いにこだわってしまうのね。ポールの「RAM」と「WILD LIFE」なんかを聴いちゃってます。此れらのモノ盤は大して面白くなかったのですが、それでも買って聴いたから云ってるんです。だから、もっともっと面白いレコードを出せよ、ポール。
(小島藺子)
初出「COPY CONTROL」
「ポールはレコードを売る」(2005年6月18日)
「続・ポールはレコードを売る」(2005年6月19日)
「兎に角、ポールはレコードを売る」(2005年6月20日)
「ポールはレコードを売る」(2005年6月18日)
「続・ポールはレコードを売る」(2005年6月19日)
「兎に角、ポールはレコードを売る」(2005年6月20日)
(編集:鳴海ルナ)
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