![地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/31nVtyVtnoL._SL160_.jpg)
「ロッキー」シリーズで第一作目が好かったのは「なかなか、ロッキーがボクシングをしない」と云う展開で、其処に至るまでのドラマを丹念に描いていたからでしょう。そりゃ、最後には拳闘してもらわなきゃ困りますけど、次作からは毎回いきなりだナァと前作の拳闘ハイライトから始まるので、初っ端で結構「お腹一杯」になります。メインエベントが最初に来たんじゃ、些か面白くないのだ。
昔の「昭和ゴジラ映画」を観ると、ゴジラがなかなか出て来ません。ほとんどの作品を子供の時に映画館で観ていたのですけど、当然ゴジラが観たくて足を運んだはずなのに、よくこんな内容で納得していたと思える程にゴジラは出て来ないのです。アンヌが出てたから耐えていたのかしらん、と今では思う「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」では、キングギドラとガイガンと云う「最強タッグ」と対戦するゴジラと舎弟のアンギラスが描かれますが、彼らが相対するのは映画が始まって「58分後」です。一時間半弱の映画で、三分の二が経ってようやく世紀のタッグマッチのゴングが鳴るのです。
破壊の限りを尽くすキングギドラとガイガンを尻目に、一時間近くゴジラとアンギラスは何をやっているのかと云いますと、怪獣島から太平洋をひたすら泳いでいるのでした。途中でゴジラはアンギラスに「急げよっ」なんぞとダメ出しし乍ら、結構呑気に日本へ向かいます。やっと現れたかと思えば、20分くらいキングギドラとガイガンにボロクソにやられ捲くります。アンギラスは「あっ。」と云う間に粉砕され、二対一となったゴジラはやられたい放題です。
然し!ボコボコにされたゴジラは突然に復活し、うっかり蘇っていたアンギラスとの絶妙なタッグワークで僅か五分余りでキングギドラとガイガンを倒してしまいます。ゴジラがガイガンに放ったマウントパンチの連打や、キングギドラにアンギラスが連発するヒップアタック!そして、ゴジラがキングギドラの三本の首を束ねてトドメを刺す垂直落下式ブレーンバスター二連発!!など、1972年当時には全く一般的ではなかった「プロレス技」のオンパレードで御座います。焦らした挙句に後半は怪獣四匹が大活躍する展開で「怪獣プロレス映画」と揶揄されましたが、いえいえ、トンデモないです。もうプロレスの20年以上先を行ってました。
(小島藺子)