NHK 22:00〜22:50
何とか「バッティング女王」の妨害もなく、無事に本放送での最終回まで辿り着けた「マドンナ・ヴェルデ」です。此処と致しましては、片瀬那奈ちゃんがカメオ出演だったにも関わらず多くの番宣や舞台挨拶に御出陣された映画「ジーン・ワルツ」の姉妹編ドラマだからこそ全話を記録しました。
主役が娘の「理恵」だった映画「ジーン・ワルツ」と、母親「みどり」目線の「マドンナ・ヴェルデ」では、其れだけで大きな違いがありましたが、他にも随分と脚本が異なっていました。此の最終回では、まさかの「妙高さん」の過去と反旗が描かれました。映画では双子だった赤ちゃんはひとりになったし、其の父親を謎とした映画とは違いドラマでは前夫となっています。「マドンナ・ヴェルデ」で活躍した「みどりを愛する丸山」が死んでしまう悲恋も描かれます。
他にも多くの差異が在りますが、其れは脚本で大きく変えたと云うよりも原作に既に存在する矛盾なのだと思います。大筋では「娘の代理出産をする55才の母親」との整合性はあります。映画「ジーン・ワルツ」でも、ドラマ「マドンナ・ヴェルデ」でも、理恵は母親のみどりを代理母にして自分の子供を生ませるのです。
ならば、何ゆえ大きく違う展開が在るのでしょう?おそらく、どちらの話も「真実」なのです。「事実」が語り部によって微妙に変わってしまったのでしょう。映画では台風で来れなかったはずの「妙高さん」が居るのも、それぞれの記憶が食い違っているからでしょう。こんなにも分かりやすい基本的なストーリーでの乖離が生じたのは、わざとです。よーするに「藪の中」って事だと思えました。
そんでもって、ドラマ「マドンナ・ヴェルデ」には映画で片瀬那奈ちゃんが演じた田中美紀は、最後まで登場しませんでした。映画公開から僅か二ヵ月後にドラマ化されたのですから、確実に連動した思惑が在ったとは思います。全く別の作品として観ることも可能ですが、比較したり繋げたりするのも「観客」の愉しみなのです。
(小島藺子)
「マドンナ・ヴェルデ〜娘のために産むこと〜」NHK公式サイト