女神を待って居たら、逆方向からいきなり「中田氏くん」が現れた。
中田氏くんは、チビだった。入り待ち誰も居ないじゃん、、、其れよりも、後ろに居た「金ピカおねえちゃん」に目が行った。ゲラゲラ笑ってたんだけど、大勢の人を見て、一瞬で「ツンデレ」モードに表情を変えた。プロだな。でも、もう遅い。あたしゃ、出て来たトコから観てたんだ。
嗚呼、あなた様は「沢尻エリカさま」じゃないですかっ!!
うっきゃーっ!!間近で、エリカさま観ちゃったわよ。てか、誰だか分んなかったっす、、、目の前を通る当たりで、やっと「沢尻エリカさま」だと認識出来ました。で。本人は、絶対に「勘違い」なさって居られた様です。
「あら、まぁ、あたくしの為にこんなに入り待ちしてくれちゃってんの?」
顔に、そー書いて在ったよ。でも、ゴメンね。
「おまえじゃねーんだよっ!!」
特に、ミサミサの戸田恵梨香ちゃんを出待ちして居た連中は、「なんでおまえなんぞがしゃしゃり出てくれちゃってんの?」と「掟破りの逆エリカさま状態」になってしまいましたよ。「オレたちの本物のエリカを、さっさと出さんかいっ!」てなもんです。
そんなことも知らずに、ご満悦で「ごきげん」になった「エリカさま」は、大股開きで「手紙」へと消えますた。
そして、やっと、お待ちかねの「デスノート」軍団の登場です。シュガーちゃんが出て来たのを、あたくしが見逃すわけがないっ!しかも、なんとまぁ、こずえさんまで居るじゃん。
キターーー!!!片瀬那奈ちゃんと戸田恵梨香ちゃんの、スペシャル・タッグが現れますたよぉーっ。あたくし、うっぴーに「行くぞっ!」と声を掛けて、那奈ちゃんに向かい声を掛けました。
「那奈ちゃん、お誕生日、お、おめでとう。」噛んだ。高級シャンパンは、シュガーちゃんの手に渡り、つづいてうっぴーも「那奈ちゃん、誕生日おめでとう!」と旬な苺を、やはりシュガーちゃんの手に、、、が。那奈ちゃんは、しっかりと、あたくしとうっぴーを観て「ありがとう!」と云ってくれましたよ。
じ〜ん
その後、松山ケンイチくんが笑顔で手を振りながら登場し、女性ファンは大喜びの阿鼻叫喚状態になる中、那奈ちゃんを追いました。すると、目の前に藤原竜也くんが仏頂面でいるじゃん。きったねーっ!後輩のマツケンを囮にして、自分は別ルートで出て来やがったんだな。こいつ、カメラが廻ってないとこーなんだ、、、流石は「セックル王子」だぜっ!!てか、邪魔なんで「藤原竜也」だと認識しなかったなら、避けずにぶっ飛ばしてました。
王子さまもチビだった。僕もチビなので、中田氏くんや王子さまは、其の部分では嫌いじゃない。でも、顔がデカかった。ふたりとも、体型的にもアンバランスで漫画みたいなんだけど、つまり「デカイ態度」だったのよ。
王子さまは、明らかに「やってらんね〜よ」って顔をしていて、出待ちまでするコアなファンへも「にこやかに応対する」マツケン(若い方)や戸田恵梨香ちゃん、そして「ぼくらの片瀬那奈ちゃん」と、比べたくなくても比べてしまう。さっきまでの、あのファンに優しい「竜也くん」は何だったんだ?
な〜んてこたぁ、本当はど〜だっていい。ぼくらは、那奈ちゃんがどの車に乗り込んだのかを、見失っていたのだ。あまりの感動に、一瞬出遅れてしまったのだ。ふうこさんに「よかったね、でも那奈ちゃん行っちゃったよ」と声を掛けられて、慌てて我にかえり追跡したので御座居ます。
確かに、彼女たちは左に曲がった。其処には三台のワゴン車があった。でも、すべて窓は曇りガラスで中が見えない。其の時だ、僕とおんなじお誕生日の彼が云った。「真ん中の車に、さっきうっぴーさんが渡した袋が見えますよ」
「ジョッジ、、、GJ!!」
間違いないっ!!此れだ。でも那奈ちゃんらしき人影は反対側に座って居た。其の時、信じられないことが起きた。なんと、其の人影が隣のこずえさんを乗り越えて、反対側のぼくらが立って居る方の、
「窓を自ら開けた」
現れたのは、片瀬那奈ちゃんだった、、、ふうこさんを見つけた彼女は「ひさしぶり〜!」と屈託の無い笑顔で云った。そして、僕とうっぴーの「緑那奈キャップ・ハーフ四天王」をじっとみつめて、云った。
「毎日、ありがとう!」
一瞬、何のことか解らなかった。すると、片瀬那奈は、しっかりと僕を観て云った。
「イチオー、ありがとう!」
窓を閉めて、曇りガラス越しに最後まで手を振って去って行く彼女を見送って、僕はどーにかなりそーになっていた。ふうこさんが「未亜さんっ!毎日、ありがとうって那奈ちゃんが云ったよ。良かったね、やっぱり那奈ちゃん知ってるんだ。」と云うのを聴いて、やっと状況が呑み込めて来た。「彼女は、僕が誰なのかを知っている。」
片瀬那奈ちゃんに出逢えて、彼女を好きになって、本当に良かった。あんな素敵な瞬間を演出してくれるなんて、夢にも思っていなかった。
うっぴーとジョッジと三人で祝杯を上げて、部屋にもどってから、僕は泣いた。何度も何度も号泣した。僕の顔に、ポカンポカンと止めどなく雨粒が落ちて来た。でも、ちっともイヤじゃなかった。僕はずぶ濡れになって、ずっとずっと、泣きながら笑っていた。
初出「さかさま」:(小島藺子/姫川未亜)