2010年も数々の名演技を魅せて下さった片瀬那奈ちゃんの女優活動を、ザックリと振り返ります。2009年までで中断している「怪優・片瀬那奈・進化論」は年明けに再開しますが、まずは今年の流れを大まかに辿ってみましょう。
「泣かないと決めた日」1月〜3月
事務所の後輩で「研音東京タワーズ(アンテツ命名)」と呼ばれる榮倉奈々ちゃんとの夢の「ダブル・ナナちゃん競演」となりました此の連続ドラマで、片瀬那奈ちゃんは榮倉サマ演じる主人公を苛めまくる先輩OL「藤田千秋」を熱演しました。
作品は「社会派のシリアス」との前評判に反し、完全なる「ネタ・ドラマ」で突っ込みどころが満載でしたが、珍しく「クールビューティー」な役柄に臨んだ片瀬クンの演技はシリアスそのものです。
尻上がりに数字が伸びて、7月には続編の「絶対泣かないと決めた日」〜緊急スペシャル〜も放送されました。苛めの中心人物で在りながら、コロリと改心して主人公の味方になる姉御肌の「万引き常習蝙蝠女」ぶりは、サディスティックでもあり好事家には堪らなかったでしょう。
「プロゴルファー花」4月〜6月
今年上半期を席巻した天才ゴルファー「高瀬リコ」を片瀬那奈ちゃんが演じました。主役を演じたのは矢張り研音の後輩である加藤ローサちゃんですが、ハッキリ云って此のドラマの主役は高瀬リコです。
所謂ひとつの「西豪寺エレナ様」から「美月うらら姫」へと進化した「怪優・片瀬那奈」の十八番が爆裂した「ブレーキが壊れたダンプカー」ぶりは破壊力抜群で、登場しただけで爆笑の連続となりました。
何故か毎回プロレス技を繰り出したり、変顔や大物芸人のモノマネなども惜しみなく披露しつつも、決める時にはビッシビシ!とシリアス全開にもなってしまう、まさしく変幻自在な「カタセ・マジック」を、此れでもかぁ〜、此れでもかぁ〜っ、とばかりに全身全霊を込めて演じきって下さった!御本人もおっしゃった通りに、「片瀬那奈にしか出来ない」演技です。
同時刻に見事にバッティングしていた「テレビでスペイン語」での「姫様」も、まるで双子の姉妹の様な「切れ味」で御座いました。
「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」5月
昨年(2009年)末に、片瀬那奈ちゃんは同時に三本の映画に挑んでいました。其の中のひとつが此れです。インチキ霊能力者「杉尾園子」を演じた片瀬クンですが、もう佇まいだけで「おかしい」イカレまくった怪演を大スクリーンで炸裂させています。
堤カントクには、幻の映画版「僕たちの好きだった革命」や映画「20世紀少年」で辛酸をなめさせられて来ましたが、全部チャラでいいです。
「ハンマーセッション!」第8話 8月
これまた研音の後輩である志田ちゃん&もこみちクンが主演のドラマに、片瀬那奈ちゃんは「悪女・理恵」役でゲスト出演し華を添えました。
年下も年上も手玉に取る「女ジゴロ」で、ハンマーセッション!されても全く反省せず逆切れする完璧な「ワル」ですが、片瀬クンは基本的に「悪役志向」ですので、嬉々として演じております。
「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」11月
三本同時進行映画の二つ目が此れです。撮影から一年後にようやく公開されました。片瀬那奈ちゃんは、ヒロインの美人鬼検事「マリリン」こと「長谷部真理」役を「サディスティックの女王(スージー・クアトロか?)」の如く熱演しております。
「藤田千秋」に魅了された好事家の方々は、よりパワーアップしたマリリンに「ゾッコン!LOVE☆」となったでありましょう。「シリアスなのにコミカル」って不可思議な魅力がある名演技です。
「検事・鬼島平八郎」第5話 11月
浜ちゃん主演の連続ドラマに、片瀬那奈ちゃんはスリの常習犯「新村慶子」役で友情出演しました。撮影時期は違うものの、同時期に公開された作品で「検事」と「犯人」の両方を演じている姿が見れたわけです。
これまた悪女役ですが、浜ちゃんとの息の合った掛け合いも絶妙で魅せます。そしてエンドロールに「友情出演」と記されていた事に、じわっと感動させて頂きました。
「闇金ウシジマくん」10月〜12月
現時点での最新作である此の作品は、実際に撮影されたのは「プロゴルファー花」と同時期です。片瀬那奈ちゃんは、二つの連続ドラマの主要キャラクターを同時進行で演じ分けていたのでした。
此の作品では、ヒロインで闇金新人社員(元・AV女優)の「大久保千秋」を演じました。津軽弁でほっこりさせつつ、キレルと豪腕も披露してしまう「大久保千秋」は、個人的には今年のベストです。高瀬リコも素晴らしかったのだけど、コメディエンヌとしての片瀬那奈は既に定評があります。此の「大久保千秋」や「長谷部真理」は、新たなる片瀬那奈を大いに感じさせてくれました。
常に最新作こそが、片瀬那奈にとっての最高傑作なのだ。
さて、今年も終わりです。然し乍ら、来年(2011年)に公開される作品が、既に三本も控えております。皆さん、今年も御愛顧のほど、誠に有難う御座いました。来年と云う名の明日からも、何卒宜しくお願い致します。
(小島藺子/姫川未亜)