w & m:LENNON / McCARTNEY
P:ジョージ・マーティン
E:ジェフ・エマリック
2E:リチャード・ラッシュ
録音:1967年2月17日(take 1-7、take 7 を編集し take 8-9 、take 9 に SI 「歌」)、
2月20日(効果音制作)、3月28日(take 9 に SI 「ハモニカ、オルガン、ギター」)、
3月29日(take 9 に SI 「オルガン」)、3月31日(take 9 に SI 「オルガン」)
MONO MIX:1967年2月17日(take 9 より 1)、3月31日(take 9 より 1-7)
STEREO MIX:1967年4月7日(take 9 より 1-8)
1967年6月1日 英国アルバム発売 (「SGT. PEPPER'S LONELY HEART'S CLUB BAND」 A-7)
パーロフォン PMC 7027(モノ)、PCS 7027(ステレオ)
ジョン・レノンの作品で、アルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEART'S CLUB BAND」のA面は此の楽曲で終ります。此のアルバムはポール・マッカートニー主導と云われ、実際にタイトル曲や全体の構成も彼が考案しました。構成に関しては、ジョージ・マーティンの色もかなり強く、「LET IT BE」以外の全てのアルバムをプロデュースしたマーティンですが、此処まで「我を出した」って作品は他に在りません。然し乍ら、ジョン・レノンが大人しく其の「マッカートニー / マーティン」路線に屈服したのでは無いのです。アナログだとA面ラストは此の曲で、B面の最後も「A DAY IN THE LIFE」が配されています。「A DAY IN THE LIFE」は合作ですが、ジョン・レノン色が全体を占めているとも云えます。大事なトコは、しっかり、ちゃっかりとジョンが押さえているわけですよ。
此の楽曲は、完全なるジョンの単独作品です。本人は「捨て曲」とか「ポールがドンドンと勝手に曲を書きまくるから、仕方無く捏ち上げた」とか云ってます。でも、其の制作法が実に「ジョン・レノン式」なのです。彼は骨董屋で見つけた古い(1843年)サーカスのポスターから、ほとんどの歌詞を引用しました。ポスターを眺めて、其処に書いてあるコトノハを繋ぎ合わせて曲を書いてしまったのです。一見、簡単な様に思えますが、トンデモな発想でしょう。
さらに、ジョンはマーティンにまたしても無理難題を押し付けます。マーティン曰く「ポールは具体的にしっかりとした編曲を頼んでくれるから楽だった。でも、ジョンは非常に抽象的なイメージを求めたから、彼の要求を満足させるのには苦労したよ」。此の曲でも、ジョンはマーティンに「床に敷き詰めた大鋸屑の匂いがするサーカスみたいな感じな音」を望みました。何じゃ、そりゃ。マーティンは「もう少し、具体的に教えてくれないか」と返すと、ジョンは「スティーム・オルガンを使いたい」と云うわけです。しかし、もうそんな古い楽器はなかったのだ。
そこで、マーティンは古いスティーム・オルガンの音源を録音し、そのテープを1フィートずつに切り刻み、エマリックと二人でバラバラになったテープを放り投げて、順不同に繋ぎ合わせたのでした。此の楽曲の間奏やエンディングで聴かれる幻想的な音は、そうやって作られたのです。頼むジョンも、そんなリクエストに必死で応えるマーティン&エマリックも、完全にイカレてますね。でも、其れこそが「1967年のビートルズ」でした。
(小島藺子/鳴海ルナ)
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