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2010年10月27日

FAB4-098:I'M LOOKING THROUGH YOU(君はいずこへ)

Train a Comin レット・イット・ビー・ロバータ


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス
 2E:ケン・スコット(10/24、11/6、10、11)、リチャード・ラッシュ(11/15)
 録音:1965年10月24日(take 1)、11月6日(リメイク:take 3)、
    11月6日(リメイク2:take 4)、11月6日(take 4 へ SI)
 MONO MIX:1965年11月15日
 STEREO MIX:1965年11月15日

 1965年12月3日 アルバム発売 (「RUBBER SOUL」 B-3)
 パーロフォン PMC 1267(モノ)、PCS 3075(ステレオ)


ポール・マッカートニー作。彼の作品としては珍しく、非常に個人的な心情を吐露した楽曲です。前述の「YOU WON'T SEE ME」と同じで、テーマは当時の恋人・ジェーン・アッシャーに対する想いを歌ったものですが、「YOU WON'T SEE ME」が締め切りギリギリで捻り出して一気にポップな楽曲へと持っていったのとは違い、此の「I'M LOOKING THROUGH YOU」は結構手こずって完成させています。最初にレコーディングされたテイクは、現在では「アンソロジー 2」で容易に聴けますが、其の時には未だメロディアスなミドル8は無く、代わりに荒々しいギター・ソロが入っていました。元々は結構ハードでストレートなロケンロールだったわけですが、リメイクして中間部を加えて「変幻自在なポール節」へと昇華しています。

話を蒸し返しますけど、ポールはジェーンに対する不平不満を「YOU WON'T SEE ME」と「I'M LOOKING THROUGH YOU」でグダグダと歌っているわけです。「なかなか逢ってくれなくて、ボクはさみしいよん」とか「ボクは、喧嘩したからキミが見えなくなっちゃた」とか、もう勝手にやってろ!としか云えない痴話喧嘩がネタです。其れでポールの曲だけ聴くと、何やらジェーンが悪者みたいに思えてきます。でもですね、何度でも繰り返しますが「悪いのは、ポールです!」(断言)正に鬼畜の所業をやらかして、ポールはジェーンと別れるのだよ。其の後も、ポールはトンデモな事をやらかしますからねっ。例えるなら「サザエさんに浮気が原因で離縁されたマスオさんが、腹いせとばかりに、波平とフネを借金地獄に落とし、カツオの受験を妨害し自殺に追い込み、ワカメを風俗に売り飛ばし、ノリスケさんを失業させてタイコさんを奪い、磯野家を崩壊させる」みたいな信じ難い行動に出るとお考え下さい。

さてさて、楽曲の話に戻しましょう。またしてもジョン・レノンの名曲に挟まれて、アルバム「RUBBER SOUL」では地味な印象を受ける楽曲ですが、後の「ポール・マッカートニー節」の片鱗が確かに在ります。アメリカ盤の「RUBBER SOUL」ステレオ盤では、イントロのギターを間違えるミックスが聴けます。でも、データだとステレオ・ミックスはひとつしか作られていないわけで、何ゆえ「イントロを間違える部分を含めたミックス」が存在するのか分りません。此のミックス違いは「かなり有名」なのに、何故違うのかは説明されていないのです。こんな事があるから、未だに研究は続けられているのでしょう。


(小島藺子)



posted by 栗 at 00:07| FAB4 | 更新情報をチェックする