nana.812.png

2010年09月20日

「片瀬那奈ちゃん名セリフ集」#021

AS TIME GOES BY(テレビ朝日系ドラマ「天国のKiss」主題歌)


「お願い、櫂をあたしに返して。櫂があなたのことを好きなのは知ってる。あなたも櫂のことを。だけど、櫂への想いはあなたに絶対負けない。あたしはあなたよりずっとずっと櫂が好きなの。それに、あたしはあなたみたいに櫂に寄りかかったりしない。櫂はあなたを庇うためにいつも巻き添えになってる。あなたはいつだって櫂に頼るだけ。守ってもらうだけ。それって櫂のためになってるの?負担になるだけじゃない。それがあなたの愛し方なの?好きな人に対してそれでいいの?あたしならそんなことは絶対にしない。あたしは櫂を幸せにしたいの。これから先も、ずっとずっと櫂を愛しつづける。あたしなら、いつでもいつまでも櫂のそばにいて支えてあげられる。あなたにそれが出来る?出来るの?もしも、本当に櫂のことを想っているなら、あたしに櫂をください。(突然、土下座)お願いします。お願い、お願い!」

(「天国のKiss」1999年)


片瀬那奈ちゃんの連続ドラマ初出演作であります「天国のKiss」で演じた「桂木礼奈」は、典型的な「苛め役」です。主人公の「明日美(奥菜恵サン)」と恋人の「櫂(藤原竜也クン)」を巡って対立し、徹底的に明日美を苛めまくります。改心した振りをして罠に嵌めたり、バスケ部員の明日美に対する評判も落とし、バイトへ行く明日美をトイレに閉じ込め水をかけるとか、エスカレートしてゆくのです。

ところがですね、終盤になりまして最終手段として繰り出したのが「土下座して嘆願」だったのですよ。櫂から明日美への気持ちを聞いた礼奈は、登校する明日美を玄関で待ち伏せして、橋の上に来たところで今回取り上げた長セリフを一気に捲し立てます。其の間、明日美はずっと黙って聞いているだけです。

最後には唐突に土下座してですね「お願い」を繰り返すのです。道ばたですよ。橋の上ですよ。朝っぱらから、一体何をやってんのよさ。すると、明日美はそんな真摯な礼奈を置き去りにして、ひとこと「イヤーッ!」と絶叫し逃げ出してしまいます。「待って!」と追いかけた礼奈ちゃんは、なな、なんと車に轢かれて死んでしまうのでした。もう、こうなると其れまでの「苛め」なんかお釣りが来ちゃいますよ。何で礼奈ちゃんが死ななきゃならないのよさ。余りにも破天荒なシナリオだっ。

死体になった礼奈を、叩いたり揺さぶったり、土下座の時には黙りこくっていたのにここぞとばかりに罵倒しまくる明日美は「鬼」ですよ。「何で死んじゃうのよぉーっ!」って、お前が逃げたから死んじゃったんじゃまいか。そもそも櫂と礼奈は恋人同士だったのに、幽霊の明日美が現れて滅茶苦茶になってしまったわけですよ。明日美が死んだのは、ビジュアル系の歌手の追っかけをしていたからで、其れが偶然にも櫂の亡くなった姉(主題歌担当のhiroちゃんが特別出演)の恋人だったとか、明日美と櫂が幼馴染みだったとか、そんな事は礼奈ちゃんには全く関係がないのです。恋人を奪われて死んじゃうなんて、礼奈ちゃんは此のドラマの壱番の被害者ですよ。

「ご臨終です」と死亡宣告されたものの、どーゆーわけか明日美と櫂に呼び掛けられただけで礼奈は蘇生するのですけど、マンガじゃないんだからさぁ。ま、原作はマンガなんですけどね。「苛め役」で在り乍ら、明らかに礼奈ちゃんの方が魅力的ですし、憎み切れない役どころになっています。現在までつづく片瀬那奈ちゃんの「ライバル、敵役、苛め役、悪役」路線の基礎が築かれた名演技です。


(小島藺子/姫川未亜)


posted by 栗 at 21:45| ERENA | 更新情報をチェックする