「コロッケ、汁につけんなって?最初に言えっつーの。小銭出す時に言えっつーの。コロッケ作る前に言えっつーの」
(「アベレイジ2 立ち食い蕎麦屋の女」2008年)
オムニバス・ドラマ「アベレイジ」は2008年にフジテレビ系で2作放映されましたが、片瀬那奈ちゃんは両方に連投しております。一作目では黒子がひとつの焼肉店店員を演じ、二作目では黒子がふたつに増えて立ち食い蕎麦屋の店員と彼女の分身?の二役を演じています。
今回取り上げたのは二作目の「アベレイジ2」で、無口な「立ち食い蕎麦屋の女」が昼食で回転寿司屋に行った時に居合わせた「瓜二つなのにファッショナブルで饒舌な女」が、「立ち食い蕎麦屋の女」の心の声を代弁するかの様に捲し立てるセリフの後半部分です。分身は言葉だけではなく、気に入らない客に生卵をぶつけ憂さを晴らします。お話もシュールですが、二役のどちらも奇妙な役柄で「女優・片瀬那奈」の真骨頂が観れるドラマでした。
最初にタクシーに生卵をぶつけられ餌食になるタクシー運転手は忍成修吾くんが演じていますが、彼は古くは2000年の「FLY 航空学園グラフィティ」に始まり、「新宿暴走救急隊(2000年)」「ショコラ(2008年)」「リセット(2009年)」と、片瀬クンとの共演が多いです。「アベレイジ」でも二作共に片瀬クン主演作に登板しておりました。
「めんどくさい客」である彼が矢継ぎ早に「今日はソバとうどん、どっちが出た?」とか「今度、休みいつ?」等と誘いを掛ける場面で、ずっと無視していた「立ち食い蕎麦屋の女」が、「映画とか好きなの?」と畳み掛けられてひとこと「キライ(ぼそっ)」と云うのも好きなんですけど、「キライ」だけじゃ名セリフとして弱いかと思いましてこっちにしました。此処でポイントが高いのは「コロッケ作る前に言えっつーの」ですね。アノですね、コロッケは出来てますからっ。作る前には言えねーつーの。(【注】コレって、実は「コロッケつける前に言えっつーの」と云っています。つまり「完全なる聞き間違い」をネタにしております。)
一作目では「いらっしゃいませ〜」ってセリフが最高なんですけど、此れも文字だけでは独特のイントネーションが伝えられません。選んだセリフも「言えっつーの」を三連発する部分の言い回しが素晴らしいので、あくまでも此の連載は紹介テキストにして頂いてですね、是非とも実際に作品を堪能して下されば幸いです。
さて、本日(9/10)は、ミルコ・クロコップと松田翔太くんのお誕生日です。御目出度う御座居ます。力道山と昭和巌流島対戦で色々あって敗れたものの、実は「元祖・グレーシー・キラー」だった木村政彦七段も此の日に生まれました。猪木の異種格闘技戦が柔道家のルスカだったのは、意味があったんですよね。木村とルスカが負けた理由も、おんなじだったりするのですよ。
(小島藺子/姫川未亜)