唐沢寿明は、1963年6月3日生まれの俳優です。1980年に本名の「唐沢 潔」としてデビューしますが、なかなか芽が出ず、特撮番組のスーツアクター、スタント、裏方などの長い下積みを経験した後に1992年の連続ドラマ「愛という名のもとに(CX)」で大ブレイクした苦労人です。其れ以後は、映画、ドラマ、舞台、声優、CMなどで常に第一線で活躍しています。
ブレイクしてからの所属事務所は研音で、夫人の山口智子(デビュー作であるNHK朝ドラのヒロインを演じた「純ちゃんの応援歌(1988年〜1989年)」で唐沢と初共演した)も所属しています。ゆえに、夫婦揃って「片瀬那奈の直属の大先輩」でもあります。大河ドラマで共演した天海祐希を研音にスカウトしたのは彼ですし、唐沢をブレイクさせるキッカケ(爽やか路線への転向)を勧めたのは、元・研音の浅野ゆう子です。名実共に、研音の看板を背負うトップ俳優と云えるでしょう。余談ですが、片瀬クンの大親友である内山理名ちゃんはデビュー当時「山口智子・2世」とも云われておりました。
片瀬那奈ちゃんとは、唐沢さん主演ドラマ「小早川伸木の恋(2006年、CX)」の夫婦役で共演し、同じく唐沢さん主演映画「20世紀少年(2008年、2009年、東宝)」三部作で再共演しています。「小早川伸木の恋」では、片瀬クン演じるエキセントリックな妻・妙子との格闘シーン、キスシーン、片瀬クンにとって初のベッドシーン、同じく初の結婚式シーンなどを、タイマン勝負のガチンコで共演をしております。小早川妙子は片瀬クンの女優歴で大きなエポックメイキングな役柄となりましたので、其れを支えた大先輩である唐沢さんの存在は大きいと思います。さらに、映画「20世紀少年」で片瀬クンが演じた敷島ミカの「マトモな演技」が観れるのも、唐沢さんが演じた主人公ケンヂとのシーン(第1章、2008年)だけです。
下積み時代のエピソードなども包み隠さず語る大らかなサービス精神や演技に対する真摯な態度から人望も厚く、共演者やスタッフを始め多方面で慕われ、多くの交友関係を持っています。一時期「沢尻会男子部」のリーダーとも噂されましたが、単純明快に其れは元々在った「唐沢会」が「エリカも、いいんじゃないの」と推してただけだと思われます。エリカ様は確かに才能がありますけど、そんなに力持ちじゃないでしょ。
筆者は映画「20世紀少年」のロケで何度かお目に掛かりましたが、最初に参加したロケで炎天下の野外で四時間も待機して撮影現場に入れた我々エキストラに労いの挨拶する為に壇上へ登場し、いきなりだナァと「コマネチ!」とやらかして場を大いに和ませて下さいました。御本人にお逢いするまでは「キャラ」とか「きよしちゃん」と呼んでいたあたくしですが、其のキャラクターに実際に触れて以来「唐沢さん」と敬意を込めて呼んでいます。
さて、唐沢さんの代表作のひとつである「白い巨塔」で演じた財前五郎の義父「ヌー」じゃなくって「又一」を演じたのが、(つづく)
(小島藺子)