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2010年06月08日

「夢みる歌謡曲」第那奈章: 片瀬那奈がきこえる
シークレット・トラック:「ヴァージョン違い徹底考察」

Babe(通常)  (CCCD)


「片瀬那奈全曲解説」のオマケとして、ヴァージョン違いを大いに語ります。それぞれの楽曲解説で言及した事を簡潔にまとめてみました。個人的には最も嬉々として書いたのですけど、平穏な日々を送るオーデナリー・ピーポーの方々は「おまいは一体、何をやってんのよさ?」とドン引きされるでしょう。悪い事は云いませんので、コアな片だけ読んでケロヨン。


01:GALAXY
片瀬那奈のデビュウ曲と認識されている此の楽曲は、北京語「DUN DUN DUN」と英語「Dangerous To Me」との三ケ国語競作作品です。ほとんど同時多発され謎が解明しきれてはいませんが「Dangerous To Me」のカヴァー作品だったと断定していいでしょう。オリジナルを凌駕した片瀬による日本語版は「Groovediggerz Remix」と「Dub's Find Frontier Remix」の別リミックスも公表され、ドラマ「逮捕しちゃうぞ」のオープニング曲であった為に「TV version」もあり、コンピ盤用に抜粋を編集された音源もあります。オリジナル仕様の「GALAXY」には、市販されたミックスの他に「ラフ・ミックス」が存在します。其れはプロモ盤でのみ聴けますが、大きな違いは片瀬の歌唱がより生声に近い点で、要するに未完成なカタチで出回った音源です。一般的に未完成状態のプロモ音源は容易には聴けませんが、デビュウ盤だった為か「GALAXY」と「TELEPATHY」のラフ・ミックス二曲入りプロモ盤は公式盤発売前にタワーレコードの視聴コーナーに堂々と配置されておりました。シングルとアルバムではシングルの方が1秒長く、シングル・ヴァージョンが「Reloaded」で初めてCDDA化されました。「RELOADED 〜Perfect Visuals〜」では、テレパシー・ヴォイスの謎を明かす録音風景や、銀色レザー姿での別テイク実演も観る事が出来ます。また、最初期実演では赤いレザー姿で「GALAXY」と「TELEPATHY」を歌っておりましたが、其の模様は「真夜中の王国」で放映されています。

02:TELEPATHY
トリプルA面デビュウ盤の二曲目に収録され、片瀬那奈の唯一無二のフル・アルバムのタイトルにもなった重要な楽曲です。別リミックスとして「Groovediggerz Remix」と「Dub's Bootable Re-build Remix」があり、前者は片瀬那奈音源で唯一のアナログ盤「TELEPATHY ep.」でしか聴けません。同作には正調版「TELEPATHY」と「GALAXY Groovediggerz Remix」も収録されていますが、オリジナル・ミックスの「GALAXY」は収められていません。ゆえに、片瀬音源でオリジナル仕様を針を落として聴けるのは「TELEPATHY」だけです。此の楽曲に対する片瀬の思い入れの深さが伺えます。「GALAXY」同様に未完成な「ラフ・ミックス」も出回りました。シングルはアルバムより3秒も長く「Reloaded」に収録されたのはシングル・ヴァージョンですが、1秒短い初CDDA音源です。シングル「Babe」初回盤DVDに収録されたPVでは「GALAXY」と「TELEPATHY」を繋いだレアなメドレー・ミックスが聴けます。

03:FANTASY
デビュウ盤の三曲目は、アニメ「ヒカルの碁」の主題歌です。シングルはアニメに使われたヴァージョンの完全版で、アルバム「TELEPATHY」には別ミックスが収録されました。其の二つのヴァージョンは明らかに片瀬の歌唱にも違いが在ります。様々な別ヴァージョンが存在する片瀬音源で、異なるスタジオ・テイクの歌唱が音盤になったのは「FANTASY」だけだと思われます。此れがスタジオ録音では唯一の「テイク違い」で、他の楽曲は「ミックス違い」です。「ヒカルの碁 主題歌全集」にはシングルと同じヴァージョンが収録されましたが、エイベックスのアニメ主題歌集で「TV version」がまさかの音盤化されています。タイアップが多い片瀬楽曲で「TV version」が公式に発売されたのは「FANTASY」だけです。「Reloaded」に収録されたのはシングル・ヴァージョンですが、2秒短い初CDDA音源です。シングル盤「Necessary / EVERY***」初回盤DVDには「SHiNY Girls Summer Party」での別テイク実演映像が収録されています。

04:Babe
オリジナルの他に「Huge remix」と「club mix」が公式盤で聴けます。「Huge remix」は数在る片瀬音源のリミックスでも最高傑作と呼んで好いでしょう。オリジナルとは全く異なる片瀬の歌唱が聴けますが、元のテイクは同じです。テレパシー・ヴォイスの破壊と創造を試みた素晴らしいリミックスと云えるでしょう。また「Huge remix」には実演でのみ流されたPVも存在します。前言を覆しますが「Huge remix」の筆者が目撃した限りでは3種あるPVは「RELOADED 〜Perfect Visuals〜」にも収録されていません。「club mix」は基本的にはオリジナルと同一で、より重低音を強調した出来映えです。此のヴァージョンはアナログの存在も大いに想像させ、おそらく「白盤」が在ると思わざるをえません。プロモ盤では未完成の「ラフ・ミックス(公式シングルより7秒も長い!)」も聴けます。シングルがアルバムよりも1秒長く「Reloaded」に収録されたのはアルバム・ヴァージョンの初CDDA音源です。「2003 vodafone W杯モーグル」テーマソングで使用されたのはシングル盤と同一音源です。「RELOADED 〜Perfect Visuals〜」に別テイク実演映像が収録されていますが、本来のカラフルなミニワンピ姿ではありません。其れは「真夜中の王国」でのスタジオ・ライヴと「ミュージック・ステーション」での生出演ライヴで放映されました。片瀬が初めてTVで披露したのが「Babe」です。当然乍ら片瀬の歌唱は二番組共に生歌ですので完全なる別テイクですが、公式音盤は存在しません。

05:MY LIFE
片瀬那奈の人生観を高らかに歌った此の楽曲は、実演での定番曲のひとつで「RELOADED 〜Perfect Visuals〜」で地団駄を踏む愛らしい別テイク映像が観れます。片瀬のステージ・アクションでは最高のパフォーマンスでしょう。「Reloaded」で初CDDA化されたのは、同じく「Babe」のカップリングだった「for you」も此の楽曲もシングルと同じヴァージョンです。ゆえに「for you」に関しては項を設けませんが、同一ヴァージョンがCCCDとCDDAでは全く違う見本になっておりますので、是非聴き比べて下さい。

06:Shine
オリジナルの他に、ドラマ主題歌として流れた「TV version」、アルバムに収録された「MAD FAT PAD MIX」、プロモ盤の「ラフ・ミックス(公式シングルより5秒も長い!)」があります。但し、其れ等は全て同一テイクからリミックスされた音源です。「MAD FAT PAD MIX」は大胆にもバラードを2ステップに変えたリミックスですが、片瀬の歌唱はオリジナルのバラード版とピッチを若干変えただけで同じテイクです。シングルよりアルバムが1秒長く「Reloaded」で初CDDA化されたのはアルバム・ヴァージョンです。PVではドラマ仕立ての映像に合わせて前後にSEが加えられた7分を超える長尺版が聴けます。此の楽曲は多くの音楽番組でも披露されており、其れ等の歌唱は全て生歌で音盤とは違っています。そして、公式には最後に実演で歌ったのも「Shine」でした。僕が初めて逢った時に聴き、被せの無いまっさらな片瀬那奈の生歌を聴けたのも「Shine」です。シングルにカップリングされたインスト版を聴けばお分かりの通り難易度が高い此の名曲を、いつの日かふたたび生で聴きたいと願っています。

07:REVENGE〜未来への誓い〜
アニメ主題歌で「TV version」が存在しますが、音盤化はされていません。作曲した重住ひろこサンが在籍するスムース・エースによる異名同曲のセルフ・カヴァー「SHINE」は、彼等のアルバムで聴くことが出来ます。シングルとアルバムは同一ですが「Reloaded」で初CDDA化された音源は1秒短くなっています。

08:Change this World
アルバムの冒頭を飾り、ライヴでの不動のオープニング曲でもあった此の楽曲は「RELOADED 〜Perfect Visuals〜」で別テイクの実演映像が観れます。

09:Communication
「あたしの歌は難しいけど、コレはみんなもカラオケで歌えます」と、上から目線で片瀬姫様がぬかしやがった此の曲は「RELOADED 〜Perfect Visuals〜」に別テイク実演映像が収録されています。

10:A・I・O
別テイク実演映像が「RELOADED 〜Perfect Visuals〜」に収められました。作曲したRAM RIDERさんがセルフ・カヴァーした異名同曲の「ミラーボール」を彼のソロ作品で聴けます。

11:The Wings
可愛い振り付けで実演の定番曲だった此の楽曲は、シングル盤「Necessary / EVERY***」初回盤DVDと「RELOADED 〜Perfect Visuals〜」で、それぞれ違う二つの別テイク実演映像を観る事が出来ます。

12:Necessary
自ら出演したCMでの「TV version」と「真夜中の王国」での別テイク実演が存在します。公式盤では「RELOADED 〜Perfect Visuals〜」に別テイク実演映像が収められていますが、残念乍ら其れは所謂ひとつの「此の格好なら何を歌うか分るよね?」スタイリングでは在りません。「拓殖大学 紅陵祭ライヴ」での実演も収録され、僅か数秒乍ら「此の格好なら何を歌うか分るよね?」スタイリングで熱唱する姿が「速報!歌の大辞テン」で放映されました。「Reloaded」で初CDDA化されたのはシングルと同一ヴァージョンです。但し、此の楽曲は発売が延期された為に、未発表の別テイクや関連音源が存在するかもしれません。シングル曲は全てPVが制作され「RELOADED 〜Perfect Visuals〜」にほぼ完璧に収録されておりますが、文句なしに「Necessary」PVが最高傑作です。理由は単純明快で、其処には「片瀬那奈しか映っていない」からなのだ。

13:EVERY***
「RELOADED 〜Perfect Visuals〜」に別テイク実演映像が収録されましたが、渋谷eggmanで公開録画され放映されたBS日テレ「Bring Back! MUSIC!」での別テイク実演がラフなスタイリングも含めて素晴らしいです。「もしも体感バラエティ if」エンディングテーマに使用されたのはシングル盤の流用で、「Reloaded」で初CDDA化されたのもシングルと同一ヴァージョンです。「Necessary / EVERY***」は片瀬那奈の最強シングル盤ですが、発売延期や初回盤DVDのインタビュウ映像で分る通りスタジオ録音時は最悪の体調で声が枯れています。其れは其れで魅力的なのですが、体調が回復してからの実演映像との歌唱の違いをハッキリと聴き比べる事が出来ます。

14:ミ・アモーレ
「エクステンデット・ダンス・ミックス」がシングルにカップリングされ、別テイク実演映像も「RELOADED 〜Perfect Visuals〜」に収録されています。多くの音楽番組でも披露され、毎回ダンサーの人選が異なっていますし、歌唱は生歌の別テイクです。カセット版のプロモでは未完成の「ラフ・ミックス」が聴けます。片瀬も生出演した「汐留スタイル!」のStylish Playで流れたのはシングル盤の流用です。オリジナルは御存知の通り中森明菜さんのレコード大賞受賞曲で、御本人も沢山の別ヴァージョンを発表されております。あたくしが認識する限りでは「Extended」発表時に、片瀬がカヴァーした事に対して感謝のコメントを公式に出されたオリジナル歌手は、中森明菜さんだけです。「NANA KATASE WEEKEND FEVER 777 Vol.2」では「DJ:NANA」によるリミックスも披露されましたが、残念乍ら公式音盤としては遺されておりません。シングルとアルバムは同一ですが「Reloaded」で初CDDA化された音源は1秒短くなっています。

15:禁断のテレパシー
「エクステンデット・ダンス・ミックス」がシングルにカップリングされています。一部で別の楽曲が告知された為に「Necessary」発売延期事件に続いて「幻の音源」を想起させる事となりました。オリジナルは工藤静香さんのソロ・デビュウ曲で、本人も何種類もの別ヴァージョンを発表しています。シングルよりアルバムは2秒短く「Reloaded」で初CDDA化されたのはアルバム・ヴァージョンです。原曲を知らず歌わされた片瀬は実演で一度もマトモに歌い切る事が出来ず、其の悲惨な映像は封印されました。

16:淋しい熱帯魚
別テイク実演映像が「RELOADED 〜Perfect Visuals〜」に収録されています。オリジナルのWinkには、1980年代末期ならではの前時代的なリミックスも存在します。「Extended」に関して、原曲の関係者が公式に批判したのは此の曲だけと思われます。作詞者の及川眠子せんせいが、片瀬盤と、同時期にカヴァーしたW盤を、「アレンジが酷く聴くに耐えない!船山基紀は偉大だっ」と感情的に斬り捨てたのです。原作者ならではの楽曲への愛ゆえの発言なのでしょう。でもさ、片瀬クンのカヴァー企画自体に批判的なあたくしですけど、「大昔の楽曲を旬なアイドル達にカヴァーされて、何にもせずにたんまり印税をもらっといて感謝の言葉もなく、おまいは何をぬかしとんじゃ、ボケ!」とだけは云って置きますです。

17:RELOADED MEGA-MIX
シングル集「Reloaded」用に新たにリミックスされた音源です。単に既成シングルを繋いだのではなく、マスター・テープまで遡って再構築された秀逸な作品で、万華鏡の様なPVも見応え充分です。スタッフの「歌手・片瀬那奈」に対する愛情が感じられるフィナーレでした。

オマケ:OTHERS
片瀬那奈が公式に歌ったと云う事ならば、他にもあります。実質的な女優デビュウ作「GTO ドラマスペシャル」でポイズンの前で「ポイズン」を熱唱したのに始まり、CMでは歌手デビュウ以前に「トマトプリッツ」で山口百恵さんの「プレイバック part2」の替歌を歌い、「きれいなおねえさん」でも♪ぬけちゃうぬけちゃうぬけちゃうの〜♪さらに♪わたしはきれいなおねえさん〜♪と「自分で云うか?」とツッコミたくなる自惚れ歌を披露します。歴代の「きれいなおねえさん」の中で、片瀬クンほど自分で「あたしはきれいなおねえさんなのだ!」と宣言した人はいません。ゆえに片瀬クンが「永遠のきれいなおねえさん」になったのは、自業自得なのです。歌手時代にも「アセロラドリンク」のCMで♪みどり〜もゆる〜♪と呑気に口ずさみました。其れは、本来の歌手としての路線からは掛け離れた歌唱で在りました。2004年に女優回帰してからはなかなか美声を披露して下さらなかったものの、2008年にはまさかの壱曲限定歌手復帰を果たし、2009年の「歌のおにいさん」での「美月うらら姫」でたっぷりとオペラ風童謡を歌い踊る姿を魅せて下さいました。こーなったら、「もっと歌ってよ、那奈ちゃん☆」と叫びたいっ。


(小島藺子/姫川未亜)



posted by 栗 at 00:07| YUMEKAYO | 更新情報をチェックする