出演作:『アベレイジ』『アベレイジ2』(フジテレビ系)
放映日:2008年3月29日(土曜日 1:05〜2:05)、10月11日(土曜日 1:05〜2:00)
映像作品:DVD「アベレイジ」(フジテレビ)
2008年10月8日発売(壱作目を収録)
2008年3月に「女優・片瀬那奈」は電撃大作戦をぶちかましてくれました。3月3日に映画「20世紀少年」へ敷島ミカ役で出演する事が公表されたのを皮切りに、翌4日には舞台「フラガール」への主演が発覚!!其れらの詳細情報が日々明るみになり「えらいこっちゃ、えらいこっちゃ」と那奈ヲタが沸き立つ中で、22日に前述の「いのちのいろえんぴつ」が、28日から29日に掛けて「未来遊園地2」が放映され、引き続き深夜に「アベレイジ」が放映されます。
「アベレイジ」は、それぞれの話が微妙に絡み合いつつ進行するオムニバス形式のドラマで、半年後に続編も制作されました。一作目と二作目に出演する俳優陣もほとんど被っています。但し、二作を通して同じキャラクターを演じるのは、「BAR」の場面での狂言回しの笑福亭鶴瓶さん(本名を姓名でわけた二役)&平岡祐太くん(バーテンダー役)、サラリーマンを演じる劇団ひとりサン、そして「黒子の店員:加藤絵里」役の片瀬那奈クンです。フジテレビ深夜で「片瀬・ひとり」と来れば「フェイク・オフ」を思い出しますね。二作で主演のエピソードが在ったのが「ネオ・スープレックス:劇団・那奈ちゃん」の二人だけだった事からも大いに「フェイク・オフの逆襲」を感じさせます。
ま、片瀬クンの役柄も、一作目での「売り切れの憂鬱」では「黒子がひとつの焼肉屋店員」で、二作目での「立ち食い蕎麦屋の女」では「黒子が二つの立ち食い蕎麦屋店員&如月ハニーみたいな彼女のドッペルゲンガー?」と変化しておりますので、其の二人(もしくは三人)が同一人物とは云えません。便宜上「加藤絵里」とまとめて呼んでいるだけです。「アベレイジで演じた黒子の店員さん二人と謎の黒子の変なおねえさん」の総称と考えて下さい。
一作目では眼鏡をかけて頬をピンクに染めた冴えない風貌で「売り切れたレバ刺しの注文にオドオドしまくる焼肉屋店員」を演じ、二作目では黒子が増えただけでさほど変わらぬ風貌ながら「無口で不貞腐れた態度で客の好みを見透かす立ち食い蕎麦屋店員」と、彼女の鬱憤を代弁しイヤな客に生卵を投げつける「お洒落過ぎな分身?」を演じます。エピソードを繋ぐ「BAR」の場面にも二作とも登場し、二作目ではオープニングから続く最初のエピソードとして「立ち食い蕎麦屋の女」へ繋がり、他のエピソードが流れた後の「落ち」で再び「立ち食い蕎麦屋の女」のつづきが描かれます。
吃驚する様に地味な風体で演じた不可思議な役柄なのですが、此れが実に好いっ!無愛想な立ち食い蕎麦屋の女振りや、其の分身が生卵を「めんどくさいタクシー運転手(忍成修吾くん)」のタクシーに投げつけた後の異様な歩き方など、全篇に渡って愉快痛快な怪演が観れます。何より、一作目での「いらっしゃい、ませぇ〜」のへんちくりんな焼肉屋店員が面白杉でした。御本尊様も、かなりお気に入りのキャラクターと公言されております。まぁ、子供の頃の夢が叶った様な役柄ですから、宜なるかなでしょう。共演陣もみんな好い味を出し捲くっていて、あたくしは特に「平岩紙ちゃん」にヤラレましたね。好い女優さんだ。一作目はDVD化されているものの、全体の出来としてより面白い二作目のDVD化も是非ともお願いしたいですね。
片瀬クンは面白い役柄を沢山演じていますが、エレナ様とかうらら姫とかリコ様とかは「美人なのに変」って路線なのです。「アンナ美人でスタイル抜群なのに、何をやってんのよさ」って時点で、もう笑えちゃうわけよ。でも、此の役柄はもっと踏み込んで「冴えない風貌で変」って崖っぷちな演技を魅せてくれるわけでして、こりゃ美味し過ぎますよ。是非とも続編を待望して止まない傑作です。
「アベレイジ」INDEX
(小島藺子)