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2010年05月15日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
act 025「高田清美」

DEATH NOTE デスノート the Last name [DVD]


 出演作:『DEATH NOTE the Last name』(日本テレビ、松竹、日活、他)
 公開日:2006年11月3日

 映像作品:DVD「DEATH NOTE the Last name」(バップ VPBT-12687)
      2007年3月14日発売

 (撮影:2006年6月2日〜7月31日)


「ビバ!山田バーバラ」での「はっちゃけた怪演」で主演作でも遂に輝いた片瀬那奈は、いよいよ銀幕でも本格的に活躍します。人気漫画が原作の「デスノート」続編への登板です。片瀬は前述の通り既に2001年に「冷静と情熱のあいだ」でスクリーン・デビューを果たしていたものの、其れは僅か数十秒しか出番のない端役でした。ゆえに此の「DEATH NOTE the Last name」が実質的な銀幕デビューと云っても好いでしょう。「小早川伸木の恋」〜「ビバ!山田バーバラ」に続き、またしても漫画が原作です。前二作に関してはビジュアル的には原作に忠実なコスプレに近いものでしたが、此処での「高田清美」は原作とは掛け離れた設定及びビジュアルで登場します。

脚本自体が原作後半を大胆にアレンジし「L/竜崎(松山ケンイチくん)」と「夜神月(藤原竜也くん)」の対決に絞った展開に変えられました。ゆえに片瀬那奈が演じた高田清美も、ニュース・キャスターである事以外は原作とはかなり異なる役柄になっています。「L/竜崎」にも云える改変ですが、映画での「高田清美」は原作での複数のキャラクターを合体させているのです。片瀬那奈が高田清美を演じると公表された時に、研音公式BBSには原作の熱狂的なファンが荒らし目的でやって来て「髪を切れ!」などと謂れの無い罵詈雑言を書き立てました。アノですね、片瀬は当然乍ら原作を読んで、金子監督に自ら「漫画の高田さんはショートカットだから、髪を切りましょうか?」と打診したのですよ。するとガメラ金子は「いや、そのまま髪の長い片瀬那奈で演じて下さい」と却下したのだよ。原作と映画は別の作品なのです。全員がコスプレして原作をなぞっただけじゃ、素人の学園祭じゃん。ぜいはあ、、、

金子カントクは、只只、片瀬那奈を撮りたかったのです。ハッキリ云って、公私混同ですよ。ま、映画監督ってのはそんなもんですけどね。物語の中盤で死んでしまう高田清美ですが、クランクインもクランクアップも高田の場面だったと後に明かされます。デスノートを得た高田が事前に名前を書いた女性が死ぬ現場で待ち構えて路上でレポートをする場面が撮影初日で、高田がさくらテレビにおびき出されて車で向かい白バイの警官を殺す場面が最終日です。撮影期間中、まるっと片瀬クンを拘束したわけです。挙げ句に片瀬クンの美脚ばっか撮りまくっていたのですから、羨ましいかぎりですねっ。「何で高田清美は無意味に脚を出し捲くってるの?」と素朴な感想が多く寄せられておりましたが、そんなもん別に那奈ちゃんが好き好んで演じたわけじゃないじゃん。監督の金子が演出し編集したから、そーなったのよさっ。「映画って監督のモノでしょ?それぞれの役割があるでしょ?片瀬クンの役割は何?」と上原さくら声で云っちゃうぞっ。ぜいぜい、はあはあ、、、

果たして片瀬那奈は、デスノートを手にするまでの地味な印象と「第三のキラ」となってからの悪女振りの変貌を、見事に演じ切りました。追い詰められた時に拘束され目隠しをされた状態で、魅力のひとつである「目力」を禁じられ乍らも不敵に笑う演技にはゾクゾクします。絶命する場面での悶え苦しむ様は肉感的で、なるほどエロ金子が撮りたがったわけだと思わされます。徹底的なシリアス演技でも、片瀬那奈は充分に通用すると感じられました。

片瀬クンの宣伝隊長振りも際立ってきており、先行試写会では全国行脚します。特に、博多で夜に舞台挨拶した翌日の昼には札幌で舞台挨拶をしてしまったのには驚かされました。個人的には此の映画の初日舞台挨拶に駆けつけた時に、片瀬クンから此処を読んでいる事を知らされたのも衝撃的過ぎました。真っ昼間に友人たちと祝杯を上げて、自宅に戻りひとりになった途端に止めどなく涙が溢れました。其れで筆が鈍って提灯記事しか書けなくなったかと云えば、真逆で「おいおい、本人が覗いてくれてるんじゃ、益々過激に行かなきゃイカンぜよっ」と燃えてしまったのですけどね。


(小島藺子/姫川未亜)



posted by 栗 at 01:07| ERENA | 更新情報をチェックする