2000年の片瀬那奈ちゃんを思い返す時、僕らは彼女を「アイドル」と呼びます。当時の那奈ちゃんは、正真正銘、本物のアイドルでした。初めてのカレンダーも発売され、グラビアでも席巻し、ダイドードリンコの「MIU」や「葉の茶」のCMも始まりました。「スポコン!」への出演もあり、二冊目の写真集「ナナノナツ」も発売されます。ドラマ出演も前述の通り、年間に半分の2クールはレギュラー出演するローテーションが確立されました。ファンは圧倒的に男子が多かったと記憶しております。犯罪的な程に、那奈ちゃんは可愛いアイドルでした。
翌2001年には、いよいよ「三代目きれいなおねえさん襲名」が控えていたのですが、其の前夜であった此の時代こそが「アイドル・片瀬那奈」の全盛期でした。「きれいなおねえさん」になってからの那奈ちゃんは、明らかに変わった。其れは、一躍メジャーになった事によって感じるヲタの習性でも在ったのでしょう。でも、其れだけではなく、確かに「那奈ちゃんは変わった」と感じました。僕らは、其の目紛しい変化に置いてけぼりにされない様に追い続ける事になります。
でも、2000年の那奈ちゃんは、すぐそばにいました。壱度も逢ったことなんか無かったけど、いつもそばにいてくれたと思います。僕にとっては、後に本人と逢ってからよりも此の頃の方が、那奈ちゃんは近くにいる様な気がしていました。其れはきっと、完全に偶像として捉えていたからでしょう。「ナナノナツ」で天真爛漫な笑顔を魅せる天使の様な那奈ちゃんを、僕たちは、うっかり愛してしまったのです。繰り返しますが、2000年の那奈ちゃんは「底抜けに可愛い」のです。惚れてまうに決まってるのですよっ。だから、僕らは彼女をアイドルと認識したのです。那奈ちゃんは、僕のアイドルでした。今でも最高のアイドルだけど、意味が違う。未だ、神様じゃなかった。当時の那奈ちゃんは、愛くるしい天使だったのです。
其の後の怒涛の展開など、20世紀には全く予測不能でした。21世紀が始まり、僕たちはようやく気付くのです。「那奈ちゃんって、ヤバイかも、、、」と。
(姫川未亜)