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2010年04月19日

「僕の怪物くん」

The Beatles 1962-1966 The Beatles 1967-1970


1973年4月19日に発売された「The Beatles 1962-1966」と「The Beatles 1967-1970」に出逢わなかったなら、僕の人生は間違いなく違って居たでしょう。

ジョージ・ハリスン入魂の選曲で解散後に初めて発表された通称「赤盤、青盤」によって、僕は「THE BEATLES」と云う名の魔境に誘われました。当時は現在とは違って「日本先行発売!」なんて特権も無く、と云うよりも僕は「ビートルズってヒッピーの俗称」と誤解していた子供だったのです。

中学生になって「基礎英語」を学ぶって名目でラジカセを買い与えられた僕は、当然乍ら音楽番組をテープに録音する楽しみを知ってしまいます。童謡やクラシックが音楽だって習って居た少年少女合唱団所属だった僕は、歌謡曲やフォークにトキメキました。そんな時に、怪物集団の音楽を、うっかりラジオで聴いたのです。其れは、天地がひっくり返る程の衝撃でした。最早「基礎英語」なんて聴いてらんないです。幸か不幸か、僕のラジカセは短波も受信出来る機種だったので「FEN」なんてトンデモな放送局を見つけてしまいます。

さて、此の「赤盤」と「青盤」ってのは、1972年に大ヒットしちゃった「beatles AΩ」と云う四枚組の海賊盤に対抗する為に米キャピトルが「いたいけジョージ」に選曲を依頼して発売されたのだそうです。其の海賊盤は持ってますけど、箱のジャケットはヘンテコなイラストで、音もアナログ落とし(疑似ステレオも混じってるからソースはおそらく米盤)だし、選曲もソロまで含むハチャメチャなモンでして、「珍盤、奇盤」って類いのアイテムでしょう。そんなモンが何故に爆発的に出回ってしまったのか?と云うと、其れは「1972年当時に、ビートルズを総括するベスト盤が存在しなかった」からでありまして、更に云えば「未だビートルズって解散してないんじゃまいか?再結成するんじゃまいか?」なんて甘い期待も大いに在ったからとも云えるでしょう。

事実、幾らジョンが「俺はビートルズを信じない」と叫ぼうが、ポールがウイングスしようが、ジョージが我が世の春とばかりに台頭しようが、其処には「元・ビートルズ」なる呪縛が在りました。ジョンとジョージとリンゴの交流は続いて居て、それぞれのアルバムで普通に共演して居ましたし、決定的だったのは「赤盤」&「青盤」と同じ「1973年」に発表された「RINGO」でしょう。四人揃っての共演こそ無かったものの、おんなじアルバムに四人が集まってしまったのです。そうです、信じられないかもしれませんが、当時は「ビートルズ再結成」って話題が頻繁に出て居たのでした。

そんな事を考える様になるのは、ハッキリ云ってしまえば「1980年12月8日」以後の世界です。友人から借りて、初めて「赤盤」と「青盤」を聴いた時に、僕は只只、呆然となっただけでした。どんなに音源がリマスターされても、此の2セット四枚のアルバムには思い入れが在ります。確かに、当時を知らない若いファンにとっては物足りない作品でしょう。でも、僕が初めて出逢ったのは此の四枚の怪物くんだったのです。


(小島藺子)


posted by 栗 at 01:28| FAB4 | 更新情報をチェックする