2004年3月6日(Sat.)@cafe abime / NAGOYA
DJ:NANA
セットリスト
(黒の「テバサキ5」Tシャツ、黒いスリムデニム)
01. FANTASY
02. Every ***
03. ミ・アモーレ
早朝に東京駅から普通列車を乗り継いで向かった僕らは、其れでも昼過ぎには cafe abime の前に辿り着きました。でも、何やら様子がおかしいのです。地下に在るクラブの入り口には「本日、結婚披露パーティーで貸し切り」との告知が在りました。関係者らしい片に「あのぉ〜、片瀬那奈さんのイベントがあると告知が在って来たのですけど、、、」と訊ねたら「やりますよ、はい、其の前に予約が入ってますので、20時まで終って21時から片瀬さんです」なんぞと信じられない回答が返って来たのです。
更に「ウチはドレスコードがあるので、まぁ服装は兎も角、髪を染めているお客様は入場出来ません」と云われました。仲間内ではケンジと人狼が髪を染めていて、僕らは「黒く塗れ!」とばかりに二人の髪を染め直す事にしたのです。それで、ケンジと育美が近くの薬局へ買い物に行きました。帰って来た二人はニヤニヤして居るので訊くと「薬屋に入ったら、那奈ちゃんがいた」と云うじゃないのよさ。道路の向こうを見たら、確かに那奈ちゃん達がホテルへ向かって歩いていました。
20時を過ぎても結婚パーティーが盛り上がって終らない様子で、やっと20時半過ぎに終わり地下からパーティーに出て居た方々が上がって来ました。其の時、那奈ちゃん達がやって来たのです。入り口は一カ所しか無く、21時からのイベントに合わせて当然の如く颯爽と現れた那奈ちゃんに声を掛けると「やあ、ホントにみんな来てくれたんだ」と笑って其の侭何の躊躇も無く地下へ向かって階段を降りてゆきました。「うわーっ!何で?」とか「きゃーっ!那奈ちゃんじゃない?」等と絶叫が響きました。そうです、その通りです。パーティーから帰ろうと階段を上がって来て居た方々とバッティングしちゃったわけです。いきなり目の前から片瀬那奈が降りて来たのですから、パニック状態です。
21時になって入場すると、其処は狭いディスコでした。DJブースはサラダバーと同じ上段に在り、中段がカウンターバーとお立ち台で、下がダンスフロアです。お客さんはほとんどが地元の常連さんで、那奈ちゃんのイベントがある事を知らない様子でした。「こんな処でDJは兎も角、歌は歌えないんじゃないの?」と大いなる不安を覚えずには居られない状況です。
果たして、DJ:NANA は現れた。セキュリティーに守られてブースに向かう姿を発見した僕らは後を追い、DJ:NANA の真後ろに陣取ったのです。偶然サラダバーに居合わせた方々と合わせて10名位が其の場に入れました。高見から「DJ:NANA」がいきなりDJを始めると、其れまで踊って居たお客さんは全員が呆然と立ち尽くし、上を凝視していました。「片瀬那奈だ!」「何で?」暫く、奇妙な風景が展開されましたが、「DJ:NANA」の「みんな、踊ってーっ!」のアジテーションに我に帰って踊り出しました。手応えを感じた「DJ:NANA」もノリノリで、最後には後方に居た幸運な僕らとハイタッチを交わして満足気でした。
興奮冷めやらぬ中で、お立ち台やカウンターバーのお客さんが下のフロアに移動させられたので、僕らは「まさか?」と思いつつもお立ち台の真下へ集ったのです。「此処で歌う気なの?」と俄に信じられない状況で、片瀬那奈はテバサキ5の二名を連れてラフなTシャツとデニムで登場しました。そして、三曲をディスコの中段スペースで踊り歌ったのです。何度も那奈ちゃんが歌う現場に参加し、ほとんどが最前列だった僕ですが、此の時程に間近で観た事は在りません。だって、あーた、ディスコのお立ち台ですよ。手拍子する手が那奈ちゃんの脚にぶつかりそうなんですから。前夜のベルファーレと比べたなら、50分の1位しかない狭過ぎるスペースで躍動する姿は、只只美しかった。どんな状況でも其れを逆手に取って最高のパフォーマンスに繋げる姿勢に感動しました。
数在る歌手時代のイベントの中でも、最も忘れ難いのが「777 Vol.3」です。イベントが終った時には日付を超えていました。僕らは朝まで名古屋で語り合いました。僕にとっては那奈ちゃんのイベントで初めての遠征でも在ったのですが、以後は進んで「逆密航」を敢行し続ける事となります。「777」の未来は明るいと思いました。開催三度目で決して好い条件では無い言わば逆境に在り乍ら、片瀬那奈は確かに一歩踏み出したのです。「此のイベントが継続されていたなら、、、」と叶わぬ夢を悔やんだものです。しかし、歌手・片瀬那奈は未だ終らなかった。2004年の歌手・片瀬那奈は、迷走を繰り返し乍らも走り続けます。
(小島藺子/姫川未亜)