テレビ東京 14:00〜15:55
(撮影:2007年5月/京都、奈良ロケ)
■ キャスト
藤田まこと:猪狩文助(弁護士)
片瀬那奈:夏目理恵子(新人弁護士)
小林正寛:野口耕一(事務員)
勝村政信:本間 博(被害者の夫)
白井 晃:青山義信(検察官)
大路恵美:本間景子(被害者)
田中 実:辻武/鈴木益夫(被告人)
大寶 智子:辻 伊都子(辻武の妻)
尾美としのり:岩本隆明(ショッピングモール社長)
北見敏之:森本泰史(法医学主任教授)
芦川よしみ:松子(料理店女将)
綿引勝彦:室伏直造(元刑事)
■ スタッフ
原作:和久峻三
(告発弁護士・猪狩文助シリーズ「時の剣」より/講談社文庫刊)
脚本:古田 求
監督:岡屋龍一
懐かしい作品が再放送されました。本放送は約二年前の2007年11月ですが、実際に撮影されたのは2007年5月で、時期的には「奇跡の初舞台!」と賞賛された「僕たちの好きだった革命」初演(2007年2月〜4月)の直後に撮影されたドラマです。
2006年10月〜12月に放映された「鉄板少女アカネ!!(TBS 2006)」での「西豪寺エレナ様」役で「女優開眼!」を果たし覚醒した片瀬那奈は、奇跡の初舞台を経て更なる高見へと進んだのでした。名優・藤田まことサンとのガチンコ共演で関西と東京を行き来してのハードな撮影でしたが、明らかに一皮むけた「女優・片瀬那奈」が其処には居ました。
2004年10月に「ラストクリスマス」で華々しく女優回帰を果たしたものの、其れは「歌手時代」以前のキャリアを全て無かった事にされた様な残酷な現実でした。二年半の歌手専念時代は、2002年には準主役級まで登って居たかつての栄光を帳消しとし、「女優・片瀬那奈」は「壱から出直し」を強いられたのです。月9連投と状況的には最高だった復帰作の「ラスクリ」&「ジーン」を観て、「こんな役は、誰でも出来るじゃん!」と思える役柄に、僕は大きく失望しました。「こんな役をやる為に音楽活動を捨てたのか?裏切り行為じゃん!」と、歌手転向時と同じ苦い気持ちを味わったのです。其れでも那奈ちゃんが好きだから、追いました。那奈ちゃんのファンって、ホント、辛抱強いよね。
光明が見えたのは、翌2005年の「離婚弁護士 II」から始まった「離婚三部作(「リコベン2」〜「熟年離婚」〜「小早川妙子の恋」)」からです。特に、過剰にエキセントリックな「小早川妙子」は、各方面で評価を上げます。そして迎えた2006年に、片瀬那奈は覚醒しました。「小早川妙子」で何かを掴んだ片瀬は、主演作「ビバ!山田バーバラ」での怪演でコメディエンヌとして開眼します。本編「デスノート」や「きみにしか聞こえない」の撮影も2006年の初夏に行われました。更に、実在の人物「夏目雅子さん」や「横田めぐみさん」を演じる機会も得て、初の時代劇「信長の棺」では梨園の大御所・松本幸四郎さんの相手役を務めました。そんな芳醇な経験が「西豪寺エレナ様」で爆発します。
「コメディなら片瀬は盤石だっ!」と満天下に知らしめ、完全に主役を食ってしまいました。辛口で知られる「2ちゃんねる」でさえ絶賛された「西豪寺エレナ様」は、2009年に遂に「助演女優賞」を獲得した「史上最強キャラ・美月うらら姫」へと直結する「女優・片瀬那奈の金字塔」です。其の作品が例えいきなり決まった急場しのぎの打ち切りドラマでも、片瀬は真摯に取り組み「彼女にしか出来ない当たり役」をモノにしたのです。多くの「那奈ちゃんファンでは無い友人」からも「エレナ様って面白い!」と云われる様になりました。嬉しかったナァ。世間が遂に那奈ちゃんを認めた時でした。ファン冥利に尽きるとは、そんな時を云うのです。以前から那奈ちゃんファンの仲間内からは「ゼンキロをもっとメジャーにして大いに那奈ちゃんを啓蒙すべきだ!未亜サンはアングラ志向が強いからイカンぜよっ!!」と嗾けられて居た僕も「時は来た!」と橋本真也声で宣言し、銀河系へ向けて広く「ゼンキロ」を公表したのでした。
さて、其処で安住しないのが片瀬那奈です。つづく初の二時間ドラマ出演となった「らんぼう2(2007 日テレ、撮影は2006年末)」と、初舞台を経てからの此の作品では、明らかな演技の違いが在ります。舞台で全方位から観られ常に演技を求められた経験から、片瀬那奈は「背中で演技が出来る女優」になったのです。更に「指先だけでも何かを表現出来る」技をも会得しました。元々、表情の豊かさでは定評の在った片瀬が、体全体での表現を自分のものにしたのです。其れは、決して女優としての道程からだけで生まれた表現では在りません。歌手として、常にファンの前に立ち続けた日々が片瀬を類い稀なる女優へと導いたのです。
DVD化されて居ない作品ですので、こうして再放送されるのは大いに意義が在ります。期待通りに「ジョージア:リングサイド編」CFも番組内で放映されましたので、那奈ヲタにとっては至れり尽くせりの二時間でしたね。本放送時には地デジが壱回しかDVDに落とせなかったのですけど、今では10回まで可能になりましたので「本当に感謝してますよ、愛しのテレ東ちゃん☆」
片瀬那奈の様な表現者を追うのは、芸術を愛する者にとって「至上の喜び」です。何故なら、彼女は常に経験を無駄にせず成長し続けるからです。あらゆる活動が其の後へと繋がってゆきます。だからこそ「片瀬那奈全記録」が成立するのです。此処が存在するのは、片瀬那奈の才能と弛まぬ努力ゆえなのです。僕は「只、其れを観て居るだけ」だよ。君の記録を続けられる事は、僕の存在意義と云っても過言では在りません。此処の更新を怠ると、心配してメールや電話をくれたり実際に部屋まで訪ねてくれる仲間まで居るんですよ。其れじゃ、生涯ヤメられませんね。もしも那奈ちゃんが結婚引退しても、此処は遺る。「明かせないネタ」は山程在るんだ。本当の研究は「引退後」に始まるんだよ。だってさ、ジョン・レノンが殺されて30年近く経ったのに、全米チャートには彼が創った楽団の再発CDが全部ランクインしちゃったんだよ。那奈ちゃんが17才の時に誓った様に、君は「沢山の好い作品を遺した」んだ。そして、今も新たな作品に取り組んで居る。「君なしじゃ、生きてゆけない」なんてピート・ハムみたいに大仰な科白は云えないけど、「君が存在しない世界だったら、きっと此の10余年は、ずっとつまんなかったよ。」(チャーリー・ワッツ声で)となら本気で云える。那奈ちゃん、有難う。此れからも宜しくね。
(小島藺子/姫川未亜)
過去記事
本放送:2007年11月18日(BS)BSミステリー「法廷荒らし 弁護士 猪狩文助」
本放送:2007年11月21日(地上波)水曜ミステリー9「法廷荒らし 弁護士 猪狩文助」