Lyrics:Makoto Atozi
Music:Hiroko Shigezumi
Arrangement:k-muto
Mix:Tuyoshi Inoue(I to I communications, inc.)
Programming:k-muto
Chorus:Junko Hirotani
品番:AVCD-17291/B、AVCD-17292(アルバム「TELEPATHY」11)
発売日:2003年6月25日(オリコン最高位17位)
テレビ東京系TVアニメ「人間交差点」オープニング・テーマ
アルバム「TELEPATHY」の本編ラストを飾るのが「REVENGE〜未来への誓い〜」です。片瀬本人も解説で「寝る前に聴いて、リセットして生まれ変わって」と語っておりますので、あたくしは持論に大いなる自信を持っておりますよっ。収録されたのは、シングルと完全なる同一音源だと考えられます。僅か乍らも時間差が確認出来る他のシングル既発楽曲とは違い、此の曲はシングルもアルバムも「5'10''」です。ちなみに、シングルにカップリングされたインストは「5'08''」で、なな、なんと後の「Reloaded」収録は「5'09''」なのです。本当に那奈ちゃんが好きなら、是非、此の辺の「ビミョーな違いを楽しんで下さいね☆」(小野未来声で)
ところで、此のアルバムの解説で何かと例えに出している「ジョンの魂」をアナログ盤で今聴き乍ら書いています。僕が此の作品を初めて聴いたのは、中学生で14才の頃でした。勿論、未だジョンは生きているどころか、隠居前の最新作「心の壁、愛の橋」が出た頃で現役バリバリだったのです。「真夜中を突っ走れ」や「夢の夢」がヒットしていました。いや、でも其れは異国の話で、洋楽を聴いてる子供なんて珍しかった時代です。学内でも数少なかった「ビートルズ好き(クラスに一人か多くて二人でした)」でレコードを貸し借りしてて(1970年代中頃にはレンタル店なんてなかったのだよ)、在る時に小学生の時から洋楽を聴いていた「K」クンが「コレもビートルズなんだから聴いてみろよ」と、メアリー・ホプキンのシングル盤「グッドバイ」と一緒に貸してくれたのが「ジョンの魂」でした。
14才だった僕は、吃驚した。まず、英語なのに「何を歌っているのかが分った」のです。田舎の中学生の英語力で意味が分ったのです。其れまでは、英語ってよく分らなかったけど、一気に理解出来る様になりました。だってさ「MAMA DON'T GO ! DADDY COME HOME」で「LOVE IS REAL REAL IS LOVE」ですよ。分るじゃん。分るって、面白いんだよ。きっと、僕が後に英米文学科に進んだ未来を決めた瞬間だったと思います。其れに楽器の編成が基本的に単純な「ギター、ベース、ドラム」の三人で、僕は初めてバンドをやろうとも思ったのでした。
でも、何よりも僕は最初に「こんな気持ち悪い音楽を初めて聴いた」と思ったのです。特にシャウトする「I FOUND OUT」とか「WELL WELL WELL」とかに強烈な嫌悪感を感じました。ビートルズの曲でも、初めて聴いた時にはサイケなジョンの曲はコワかったんです。気持ち悪かった。でも、其れ以上に「裸のレノン」は不気味でした。もう当然乍ら当時大流行のハードロックだって聴いていたんです。なのに「ジョンの魂」ほどの衝撃は受けなかった。後のパンクですら、此処までは驚かなかった。「何故にこんなに叫ぶのか?一転して優しく歌うのか?単純な3ピースなのに、どうしてこんなにも心を打つのか?」クラシック少年だった僕は、只只、驚いた。今、僕はまたしても驚いている。「あれれ、『ジョンの魂』って、結構遊び心も満載な優れたポップ作品じゃん!構造的に『SGT. PEPPERS』とおんなじ事をやらかしてんじゃん!流石、レノン、役者だナァ」なんて余裕も在るけど、「演技者・レノン」の叫びは「真実」でも在り続けるのです。レノンはシリアスを演じていたのだけど、其処には確かな「生身のジョン」がいたのです。永遠に他者の心を打つ魂の叫びが込められた眞の芸術作品です。此れが「虚構」だ。凄いよ、やっぱり。
「ジョンの魂」は、ジョン・レノンが「ビートルズを創り常に中心に居た存在だった」からこそ成立しています。リンゴが「僕はビートルズを信じない」と歌っても「あ、そう。そりゃ、そうだよね」でお終いですけど、レノンが云ったからこそ「おいおい、そりゃないぜ!」となるわけです。創始者でリーダーだった「ビートルズ時代」や其れ以前の幼少期まで遡った自分史を全て明かせる彼自身にしか絶対に創れない作品だからこそ、当時のチャート位置(英国13位、米国6位、と元・ビートルズの解散後初ソロ作では最悪の成績)などを超えて「永遠の名作」となったのです。其の真摯な姿勢は、正に片瀬那奈の音楽活動にリンクします。アルバム「TELEPATHY」は、片瀬那奈が自分史を込めた作品でした。彼女以外には、絶対に創れない作品です。其れをパーソナルなモノに留まらせずに、万人の共感を得ようと試み成果を得たのですから、独自の素晴らしい芸術作品と断じて好いでしょう。
片瀬那奈が歌う「REVENGE〜未来への誓い〜」に、僕が涙しない理由など無いのです。僕も今では確かに未来を信じている。だって、其れを作るのは僕たち自身だからさ。僕は、片瀬那奈ちゃんに出逢うまでは、そんな簡単な事すら知らなかったんだ。那奈ちゃんが僕たちに与えて続けているのは「愛」です。僕たちは、那奈ちゃんに愛されている。そんな絵空事みたいな不思議な気持ちにさせてくれる「虚構」は、なかなか居ない。洋楽とかマンガとか映画とかでしか、僕は知らなかった。片瀬那奈ちゃんに出逢うまでは、何にも分かっていなかった。
(小島藺子/姫川未亜)