Lyrics:kenko-p
Music:Kazuhiro Hara
Arrangement:Kazuhiro Hara
Mix:Dave Ford
Programming:Kazuhiro Hara
Chorus:Junko Hirotani
品番:AVCD-17291/B、AVCD-17292(アルバム「TELEPATHY」06)
発売日:2003年6月25日(オリコン最高位17位)
2003 vodafone W杯モーグル テーマソング
アルバムの前半、所謂ひとつの「A面」は、メイン・テーマで在る「TELEPATHY」を言わば「観念的に提示する世界観」を持つ楽曲で構成されていました。其れは「空想的」とも「SF的」とも「幻想的」とも捉えられる「片瀬那奈の感性」で在り、「あたしは君の元へ飛んでゆくのよ〜〜」と歌われる「TELEPATHY」とか、「銀河色の弾丸をダンダンダン!と撃ちまくっちゃうぞ、莫迦野郎!」と意味不明な中学生男子的な愛の告白をスペーシーな演劇調でやらかす「GALAXY」とか、「デジャヴしてるよ、片瀬」な「Deep Forest」等が描く世界は、「夢見勝ちなロマンチストな那奈ちゃん」の心象風景を鮮やかに映し出しますが、「だから、何?」と問われたなら「ハイ!それまでヨ」な夢物語と捉えられても致し方無いでしょう。壱曲目でガツン!と「世界を変えちゃうかもよっ!」と宣言したわりには、何ら具体性の無い主張に「やれやれ、此れだからアイドルは、、、」と苦笑を禁じ得ない処で、片瀬は必殺の「Shine」を繰り出します。しかし「過去を肯定してこそ未来が輝くのだ!」と確信を持って宣言しても「其れは那奈ちゃんの生き方で在って、自己完結してるだけじゃん!ウチらと交流する気なんて、ないんしょ?どこがテレパシーなんっすか、片瀬サン?」と鳴海も呆れる「お姫様音楽」とも云えるわけです。
アルバム「B面」は、そんな批判を吹き飛ばす「片瀬式:具体的な他者との交流法」が歌われます。一見、「世界変革」とか「以心伝心」とか「銀河」とか「深い森」とか「みんな輝け!インスタントカーマ!!」などと壮大な世界を歌った様に見せかけて、実は非常に内省的な「カタセカイ」を示したのが「A面」でした。アルバムの最初から、片瀬は4曲も自分語りを繰り返しただけだったのです。其れがようやく「ねえ、覚えてる?」と語りかけつつも結局は「想い出語り」と「根拠不明な絶対的な過去現在未来全肯定ポジティブ志向」へと突入する壮大で誇大妄想的な名曲「Shine」で、第一幕は閉じます。其の余韻を切り裂く様に始まる「Babe」からは「外へ向かった片瀬」が出現するのでした。
「さあ、あたしの気持ちは語り倒した!どーする?」と、片瀬姫は僕たちに対峙します。いきなりだナァで「みんなと居るって事がどんなに素晴らしいか、分ってんの?」と歌い出します。踊り歌う片瀬に、意味も無く納得し追従する那奈ヲタ、、、「何もない世界から羽ばたく」とか「だから、123 ! だーっ!!で別世界」とか、全く以て根拠不明で空虚なアジテーションで盛り上がります。最早「宗教」です。一体何をしようって呼び掛けているのか?を抽象的な歌詞から察すれば、ま、よーするに「じゃれあって、うちあって、おちて、わらって、感じあう、よろこび」って事ですから「LET'S GET IT ON ! !」って事なんでしょうけどね。片瀬クンは、マーヴィン・ゲイかよ?
此の曲に限らず「kenko-p」サンが片瀬に提供した詩は、かなりセクシャルです。穿った見方などしなくとも、赤ら様に性的連想を想起させる表現を多様していますが、芸術はエッチじゃなきゃ売れませんからね。ジャケットやピクチャー・レーベル等のビジュアル面をも含めて「歌手・片瀬那奈」の商品価値は在ります。片瀬本人は私生活では「腕白番長」ですから、「セクシー路線」は苦手の御様子で、後の名曲「EVERY***」でのより具体的な「少しキスをして、優しく触って、感じる時」なる「エロ歌詞」を歌わされた時には、相当照れて抵抗していました。
大らか過ぎる性愛を高らかに歌った「Babe」で始まる後半は「愛に溢れた世界」が展開してゆきます。内省的でマイナー進行で進んだ「TELEPATHY」は、一転して攻撃的になるのでした。でも、其れは「いきなりだナァ」ではなかった。前半の最後「Shine」で「素直な心が輝き出す」と片瀬は宣言しているのです。終止和音を拒否したエンディングは、其の侭「Babe」のイントロへと誘っていたのでした。片瀬音源は曲順をどんな風にシャッフルしても繋がるのです。まるで、THE BEATLES みたいだ。
あっ。時間差は、シングル「4'17''」アルバム「4'16''」で、「Reloaded」はアルバムと同じ「4'16''」です。
(小島藺子/姫川未亜)