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2009年09月01日

「夢みる歌謡曲」第那奈章: 片瀬那奈がきこえる
#014:「TELEPATHY」Dub's Bootable Re-build Remix

GALAXY/TELEPATHY (CCCD)


 Lyrics:NANA KATASE
 Music:Patric Johansson & Linus Norden
 Arrangement:YASUO KIMOTO
 Remix:Dub Master X

 品番:AVCD-30408

 発売日:2002年12月4日


摩訶不思議な三面A面曲のシングル・ヴァージョンに続いて、デビュー盤には二曲の「Remix」が収録されています。全5トラックでシングル乍ら「ミニ・アルバム並みに長尺」ですが、此れは avex のお家芸でした。片瀬那奈のシングルは僅か壱年半足らずの期間(2002-12〜2004-3)に6作も発売されましたが、其の内の4作が「Remix」をカップリングした仕様になっており、通常のカタチ(両A面曲及び其のカラオケ)で発売された2作の内「Necessary / EVERY***」も当初は「Remix」を収録予定されていた模様です。新たなる「エレクトロ・ダンス・ポップ・ミュージック」を模索し実行した「歌手・片瀬那奈」プロジェクトとしては、ダンス・フロア向けの「Remix」は必須でした。

此の「TELEPATHY」Dub's Bootable Re-build Remix は、先行してDJ仕様で出回った「TELEPATHY ep.」に収録された「TELEPATHY」Groovediggerz Remix とは全く別の、此のシングル盤でしか聴けない新たな作品です。『GALAXY / TELEPATHY / FANTASY』と云う名の片瀬那奈デビュー盤での三曲は、それぞれが最低でも三種の異なるヴァージョンで遺されました。其の仕様も前述通りに市販盤だけでも「那奈種類」にも及び、見本盤やプロモ盤も含めれば(あたくしが確認する限りで)20種類にも及ぶ別仕様が存在し、未だに解明出来ない「謎」も多い「片瀬音源の最大なる宝庫」として、発売から6年を経た2009年に於いても尚、燦然と君臨しております。

あたくし個人の嗜好として、此の「Dub」版はツボでした。青春時代は、モロに「パンク〜ニューウエイブ」の洗礼をリアル・タイムで受けた世代でも在ったからです。19歳の頃に「THE POP GROUP」と云う逆説的な楽団名を持つ連中の「SNOW GIRL」を聴いた時の衝撃を、あのジョニー・ロットンがジョン・ライドンになって結成した「PIL」に魅せられた甘く苦い日々を、まさか片瀬那奈によって思い起こさせられるとは予想だにしなかった。「片瀬は、きっと、マドンナが好きなんだ」とも確信しました。三曲の異なるタイプのデビュー曲と、二曲のリミックスは、決して「突然に現れた音楽」では無かった。其れは、かつて愛した音楽史観をも内包していました。「大好きなアイドル那奈ちゃんが歌ってくれる」って呑気に考えてウキウキと聴いたのに、ザワザワと胸騒ぎがして来たのです。「此れは、トンデモない事になっちゃったぞ、、、」と思いました。そうです、其の通りです。あたくしは「歌手・片瀬那奈」を、過小評価していました。実際に聴いた音盤は、期待を完全に裏切ってくれた。「なんじゃ、こりゃっ!」と、片瀬の街の片隅から咆哮したくなる程でした。

でも、こうも思ったのです。「果たして、こんな片瀬那奈を、一体、誰が求めているんだろう?」と。


(小島藺子/姫川未亜)



posted by 栗 at 00:07| YUMEKAYO | 更新情報をチェックする