w & m:MORRISON / RUSSELL
P:ジョージ・マーティン
E:ノーマン・スミス
2E:フィル・マクドナルド
録音:1965年6月17日(take 13)
MONO MIX:1965年6月18日
STEREO MIX:1965年6月18日
1965年8月6日 アルバム発売 (「HELP !」 B-1)
パーロフォン PMC 1255(モノ)、PCS 3071(ステレオ)
アルバム「HELP !」のB面は、リンゴの唄で始まります。レノマカがリンゴに書いた「IF YOU'VE GOT TROUBLE」は、2月18日に録音されミックスまで完成していたのです。事実、2月23日の段階で後に「HELP !」と呼ばれる新作は一旦完成します。4月13日に「HELP !」が録音されるまで、彼等は「題名も主題歌も決まっていない映画の撮影」をやっていました。ところが、「HELP !」が完成しポールも覚醒し、当初のアルバム構想とはかなり違ったモノに変わってしまったのです。アルバムに壱曲は入れなければならない(そんな必要は全く無いのですが、彼等はそう決めていました)リンゴの唄「IF YOU'VE GOT TROUBLE」は、敢え無く「ボツ」になりました。
其処で、翌日にアルバムの最終ミキシングを控えた前日、前作「BEATLES FOR SALE」と同様の展開ですけど、リンゴの唄を録音し直しました。其れが此の「偉大なるカントリー歌手:バック・オーウェンス」の全米C&Wチャート首位(1963年)を獲得した名曲のカヴァーです。おそらく、カントリー好きのリンゴの十八番だったのでしょう。全13テイク中12テイクは演奏のみで、リンゴの唄は最終13テイクのみの一発録音です。オリジナルを聴けばお分かりでしょうが、此れは「完全コピー」です。但し、全米カントリー・チャートのほぼリアル・タイムでのヒット曲すらもビートルズはそっくりに真似出来たってのが凄いのです。他のどのロケンロール楽団がそんな事をやったでしょう?此のカヴァー録音を最後に、彼等は崩壊前夜の悪夢の「THE GET BACK SESSIONS(通称:ゲバ)」まで、他人の曲を封印してしまいます。
陽気で楽しい名演ですが、アルバム「HELP !」の流れとは少し違っています。故に、此の楽曲が収まるべき場所は「B面の最初」しか有り得ないわけで、絶妙な並べ方です。CDだと、其の辺の匙加減が分かり難いですね。ジョン・レノンをボスとする楽団は、同日に録音し翌日にミックスまで完成したレノマカの強力な合作ナムバー「WAIT」をあっさりとボツにし(結局、次作「RUBBER SOUL」に収録されます)、リンゴの出番を作りました。此の「バンド内完全民主主義」が、1970年代に彼等が解散状態になった時に「メムバー四人全員がソロ歌手でも大成功!四人ともシングル曲で全米首位を獲得!!」等と云う前人未到の奇跡を起こすのでした。
リンゴの近年発売された「オールタイム・ベスト」で在る「PHOTOGRAPH THE VERY BEST OF RINGO」には、本家:バック・オーウェンスとの楽しいデュエットも収録されました。映画「HELP !」の主役も「演技派:リンゴ」です。リンゴの実演は、とっても楽しかったナァ。あたくしが行ったのは1995年で、ビリー・プレストンは観れるわ、ラスカルズやTHE WHOやグランドファンクとか全部聴けちゃって、てんこ盛りで最高でしたよ。また来日しないかナァ。今やゾンビーズも聴けるんでしょ?シーラE、観たいナァ。ハッキリ云って「お得」です。ま、主役だけじゃレパートリーが少なくって保たないから苦肉の策で始めた「オールスター楽団」なんだけど、もうキラ星の様な楽団員が素晴らし過ぎるんですよ。はい、お約束の科白を御唱和下さい。
「おいおい、リンゴの立場って、一体、、、」
(「隠れリンゴ・ファン」:小島藺子)
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