w & m:LENNON / McCARTNEY
P:ジョージ・マーティン
E:ノーマン・スミス
2E:ケン・スコット(2/16、2/18)、ジェリー・ボイズ(2/16)、マルコム・デイヴィス(2/23)
録音:1965年2月16日(take 14)
MONO MIX:1965年2月18日
STEREO MIX:1965年2月23日
1965年4月9日 シングル発売、パーロフォン R 5265(モノ)
「此のB面を聴けっ!」
と萩原健太氏声で怒鳴りたくもなる、ジョン・レノン作の傑作ロッカ・バラッド。此の楽曲は、長い間、オリジナル・フォーマットでは「TICKET TO RIDE(涙の乗車券)」のシングル盤B面でのモノラルしか聴けませんでした。彼等は、アルバム「HELP !」には此れも、後述するシングル盤「HELP !」のB面曲で在る「I'M DOWN」も収録しなかったのです。潔いぜ、ビートルズ!当然乍ら守銭奴キャピトルはそんな事は知らぬ顔で「BEATLES VI」なる編集盤に疑似ステレオを捩じ込みます。そんな経緯から、此の楽曲のリアル・ステレオ・ヴァージョンは、なな、なんと制作されてから23年後に「PAST MASTERS VOL.1」で初めて公開されたのでした。「PAST MASTERS VOL.1」には此の楽曲の兄弟みたいなレノン作の「THIS BOY(こいつ)」のリアル・ステレオ・ヴァージョンも初収録され、其れは事件でした。現在では容易に聴けますが、僕たちは其れまで血眼になって探したのです。有り難みが全く違います。
録音に5時間!も掛けた入魂作で、其の内の3時間を費やしたのが「ジョン、ポール、ジョージによる三声コーラス」です。ジョン・レノンの「THE BEACH BOYS」への、いやさ「ブライアン・ウイルソン」への赤ら様な対抗意識が伺えます。ジョージによるトーン・ペダル・ギターも哀愁に満ちて素晴らしいです。当初よりシングル候補として「TICKET TO RIDE(涙の乗車券)」と争った名曲なのですが、両面を制してしまったボス:ジョニーは「こっちはボツな」と敢え無く「只のB面のみ収録作」へと決断し実行しました。ジョンって、すげえ、、、理由は単純明快で「TICKET TO RIDE(涙の乗車券)」の方が断然革新的なサウンドだと確信したからでした。
ジョン・レノンと云う奇才は、平気で自作をボツにします。後の「ACROSS THE UNIVERSE」やアノ「JEALOUS GUY」の原曲で在る「CHILD OF NATURE」すらも、ポールやジョージの曲を世に出す為に捨てたのです。驚くべき事に「CHILD OF NATURE」は、2009年の現在でも公式音源では未発表です!そんな未発表音源が、未だ未だ沢山あるのですよ。「小野洋子さん、何卒、宜しく!」此の佳品もそんなジョンの審美眼から「埋もれた名曲」にされました。「ポールは確かに美しい旋律を書くけど、俺だって昔から『THIS BOY』とか『YES IT IS』とか書いたんだぜ。ま、たかがB面だから聴いた事ないだろうけどさ」と生前のジョン・レノンは悪戯っぽく笑って語りました。カッコいいナァ。
(小島藺子)
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