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2009年06月04日

FAB4-070:TICKET TO RIDE(涙の乗車券)

キープ・ミー・ハンギング・オン 涙の乗車券


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス
 2E:ケン・スコット(2/15、2/18)、ジェリー・ボイズ(2/15)、マルコム・デイヴィス(2/23)
 録音:1965年2月15日(take 2)
 MONO MIX:1965年2月18日(英国用)、3月15日(米国用)
 STEREO MIX:1965年2月23日

 1965年4月9日 シングル発売(最高位英米1位)
 パーロフォン R 5265(モノ)

 1965年8月6日 アルバム発売 (「HELP !」 A-7)
 パーロフォン PMC 1255(モノ)、PCS 3071(ステレオ)


1965年第壱弾シングル曲で、ジョン・レノンの作品。結果的に、主演映画第二作「HELP !」にも印象的に使われ、其れに連動した彼等にとって英国オリジナル五作目「HELP !」のサントラ面で在るA面のラストも飾った傑作です。アノ矢沢永吉さんも此の曲をラジオで聴いて音楽を志したと公言する程に、1965年の世界では衝撃的な「ヘヴィー・メタル」の創造でした。当然、通例通りに「ボス:ジョニーの自信作から録音」ってなわけで、「HELP !」セッションも此の曲から始まりました。

「流石はジョン・レノン!」と云いたい処ですが、此れは「レノン・マッカートニー」の眞の幕開けとなった曲でも在ったのです。確かに、書いて歌うのはジョンだ。しかし、此の恐るべきサウンドを生み出したのは、つい三ヶ月前までは寝ぼけていた「ポール・マッカートニー」でした。印象的過ぎる「いたいけジョージの12弦イントロ」を「邪魔だっ!どけっ!!」とばかりに、高らかにリード・ギターを奏でるのも、重厚で饒舌なベースを弾くのも、モノラル盤で聴けばハッキリと分る「ジョンの絶唱を後方から援護する高音ハーモニー」も、全部ポールです。リンゴによる太鼓も「おいおい、此れがリッチーかよ?」と耳を疑う程に凄まじく「歌っている」のですが、其れすらもポールが指導したのでした。しかもだ、たったの「2テイク」でやらかしたのですよ。後の「THE BALLAD OF JOHN AND YOKO(ジョンとヨーコのバラード)」での「摩訶不思議(ジョンとポールだけでビートルズの音を奏でた)」は、もう此処で出来上がっていました。

「怪物:ポール・マッカートニー、覚醒!!」

此処に、新たなるビートルズが出現しました。其れは、簡単に云う事が出来ます。

「ジョンとポールでビートルズ」になってしまったのです。

レノンが待ち望んでいた時が、遂にやって来ました。相棒が、肩を並べたのです。当時の最新技術は、既に録音だけなら「ジョンとポール」だけで可能な状況に在った。「ビートルズで最も上手いギタリストで、リンゴよりも太鼓も上手で、ベースも鍵盤も管楽器も何でもかんでもこなせ、曲も書けて歌えて編曲も出来る」音楽バカボンの出番がやって来ました。バンド内パワーバランスをも覆す未来を、此の楽曲はしっかりと記録しています。前作ではあんなにも疲れ切って居たはずのジョンの魂の絶唱が、其れを祝福します。

更に云うなら、ジョン・レノン作の楽曲が素晴らしいのです。其れは、此の曲の有名なカヴァー作品で在る「ヴァニラ・ファッジ」盤や「カーペンターズ」盤を聴いて頂ければお分かりでしょう。どんなアレンジを施されても、ジョン・レノンの美しい旋律は残ります。そして、如何なる名唱もジョン・レノンの歌に敵わないのだよ。矢張り、ジョン・レノン恐るべし!そして、彼を慕い続けたポール・マッカートニーが全身全霊でサポートしました。最強タッグ「レノン・マッカートニー」、此処に完成。

余りにも感動的な、歴史的名曲名演です。


(小島藺子)



posted by 栗 at 00:07| FAB4 | 更新情報をチェックする