w & m:LENNON / McCARTNEY
P:ジョージ・マーティン
E:ノーマン・スミス
2E:ケン・スコット、マイク・ストーン(9/29、30)
録音:1964年9月29日(take 4)、30日(take 9)
MONO MIX:1964年10月27日
STEREO MIX:1964年10月27日
1964年12月4日 アルバム発売(「BEATLES FOR SALE」 B-4)
パーロフォン PMC 1240(モノ)、PCS 3062(ステレオ)
ポール・マッカートニー作の「恋愛賛歌」の快作が登場します。リード・ヴァーカルを担当するのは、何故かジョン・レノンであり、通例から考えればジョンが書いたとなりますが、ジョンもポールも「ポールが書いた」と証言しており、紛れもなくポール作と断定されています。何ゆえ、ポール作なのにジョンが歌ったのか?しかも、ポールの出番が少ない「BEATLES FOR SALE」で何故そんな事が行われたのかは謎です。ポールは、マスオさん状態で住んでいた婚約者のジェーン・アッシャー宅で此の曲を書いたそうです。
編成も凝っていて、ジョンのアコギを中心に、ポールは当然ベースと絶妙のコーラスで盛り上げ、好い処でリンゴが初めて叩くティンパニーで決めますし、マーティンによる鍵盤も目立ちます。故に、此の曲にはリード・ギターの出番が無いのです。其れで「此の曲にはジョージは参加していない」とか「ジョージが寝坊したから彼抜きで録音した」なんて説が罷り通っていたもんだった。まあ、其処までは許しましょう。此の楽曲には、苦い想い出が在るのです。
そんな風説を英文ライナーで書いて、真しやかに「実は其れは嘘で、ちゃんとジョージは居て(此処までは本当だから始末が悪い)、其のギターは編集で消されたのであるが(もう、妄想です)、遂に我々は其の編集前の音源(そんなもんは初めから無いんだから、捏造だろーがっ!)を入手し全てのビーヲタへ贈ろう!」なんて詐欺に引っ掛かってですね、高価な海賊盤を買って聴いたら「おいっ!明らかに重ね録りした電気式ギターじゃん!大体、此の音色はジョージが使っていなかった機種だし、てか、下手過ぎるだろーがっ!!舐めとんのかっ!!!何処の素人が重ねたんだよ〜んっ!!!!」と、当時は正規盤の倍位の価格で「白いジャケットにコピーが貼付けてあるだけ」って「貴重盤」なんて書いてある「妖しげなブツ」を買わされて涙に暮れた「いたいけな青春時代」が在ったわけですよ。其の中のひとつが、此の曲でした。
更に云えば、1997年頃に、当時18才のガールフレンド(ヴォーカル)と27才の鍵盤奏者のボーイフレンドとバンド(制作、作編曲、コーラス、他の楽器は全部当然乍ら未亜が担当)を組んだのだけど、まずはカヴァーでも演奏しますかって事で「宅録で仮オケを作るから、何が好い?」って訊いたのよさ。そしたら、当然の如く若い二人が、
「そりゃ、ELT でしょ。」
とか云い出すから、あらら、少しは知ってるんだけど間違ってるナァと思いまして、
「其れを云うなら、ELP でしょ?」
って正してあげたらさ、二人は呆れて、
「えぶり・りとる・しんぐ、で、いーえるてぃーなんだよ、オッサン!」
とヌカしやがりましてですね、
「はあ?何其れ?エマーソン・レイク&パーマーじゃないの?ビートルズなの?イエスなの?おせーてよっ!!」
って訊くしか無かった洋楽者の未亜(だが、何故か、ヴァーカルの持田ちゃんの事だけは、おそらく若い二人よりも前から知っていた)は、身銭で「ELT」の CD とスコアを買って、全楽器を演奏してオケを作ったのですよ。嗚呼、、、
「勿論、此れは、実話です。」
(小島藺子/姫川未亜)
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