w & m:ROY LEE JOHNSON
P:ジョージ・マーティン
E:ノーマン・スミス
2E:ロン・ベンダー(8/14)、ジェフ・エマリック(10/18)、
ケン・スコット(10/27)、マイク・ストーン(11/4)
録音:1964年8月14日(take 4)、10月18日(リメイク、take 8)
MONO MIX:1964年10月27日(take 4&8を編集し、2種制作)
STEREO MIX:1964年11月4日(take 4&8を編集し、2種制作)
1964年12月4日 アルバム発売(「BEATLES FOR SALE」 A-6)
パーロフォン PMC 1240(モノ)、PCS 3062(ステレオ)
ポールの「太陽女性賛歌」に続くのは、ジョンのカヴァー「月男よ今夜もありがとう」と来るのが「レノマカ」の絶妙なコムビネーションです。されど、此の楽曲の評価は欧米と日本では全く違っております。多くの欧米での研究家は「ビートルズ史上、最も凡庸なカヴァー作で、駄作である」と云います。アルバムの穴埋めに、「PIANO RED」が変名の「DR.FEELGOOD & THE INTERNS」で1962年に発表したオリジナルを模倣しただけだと断じます。確かに、彼等にとっては急場しのぎのカヴァーに逃げるしか無かった事情ゆえに録音された楽曲だったのでしょう。他のカヴァー曲が「基本的には一発録りで決められた」のに、此の曲は出来が悪くリメイクまでして、二つのテイクを繋いでミックスされました。
ところが、日本では「此れぞ初期ビートルズの傑作だっ!」と讃える人が多いのです。其の理由を、あたくしは1970年代末に「たった壱度だけの再放送!」と謳われ日本テレビが放映した(実際にはライヴ部分は再放送では無く、本邦初公開映像だったのですが、、、)「1966年の来日公演映像」を観て納得しました。彼等が来日し羽田空港からパトカーに先導される場面で、サイレンを打ち破るかの如くジョン・レノンの絶唱「みすたぁぁあ、むーんらい!」が流れるのです。余りにもカッコいい演出でした。ゆえに、日本でのみシングル化もされてヒットしたのでしょう。いや、何故か本国では一曲もシングル・カットされていない「BEATLES FOR SALE」から、日本では14曲中10曲もシングル化され、更にもう2曲も視聴盤まで出来ていました。おいおい、14曲中12曲をシングル・カットするって、何じゃそりゃ?
オリジナルは、なかなか入手困難な物件です。昨年に待望のCD化が告知されたものの、発売延期になってしまいました。あたくしが此の曲の原曲を最初に聴けたのは、兄弟子「山下達郎さん」が惜しげも無くNHK-FMで流してくれたからです。ゲストで出演して居た大瀧師匠は「山下クンは優しいねぇ、僕もコレは持っているんだけど、かけた事ないよ」と云い、クマは「流石、大瀧さんだナァ」と呆れ返りました。何せ、大瀧師匠はかつてお逢い出来た時(もう30年前の出来事です)「ロネッツのレコードが欲しいんですけど、、、」と訊いたら「君ね、そんなもんはさ、もう無いよ。入手出来ない!」と云い放ったのです。其れで「いえ、何とかテープを手に入れて聴いているんですけど、やっぱりレコードが欲しいんで、、、」と返したら、こう云ったのです。「何だ、持ってんのかよ!だったら其れで満足しなよ。聴けるんじゃん。持って無いのかと思ったら、持ってんのかよ。君ね、其れはさ、贅沢だよ。みんな持って無いんだからさ。な〜んだ、ロネッツ持ってんのか、ふ〜ん、、、」とね。そして「多羅尾伴内」名義のサインをしてくれました。悔しくってさ、鬼の様にロネッツのレコードを探しましたよ。其れで、壱年後に見つけた時は、本当に嬉しかったナァ。多羅尾伴内師匠は、生意気な田舎の一回りも年下のファンに「自分で求めて探して身銭を切って手に入れなきゃダメなのだ!」と教えてくれたのです。
「師匠、有難う!」
(小島藺子/姫川未亜)
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