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2009年05月15日

FAB4-050:ANYTIME AT ALL

Code of the Road Code of the Road: Greatest Hits Live


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス
 2E:ケン・スコット(6/2)、リチャード・ランガム(6/4)、ジェフ・エマリック(6/22)
 録音:1964年6月2日
 MONO MIX:1964年6月4日、22日(英米盤用2種)
 STEREO MIX:1964年6月22日

 1964年7月10日 アルバム発売(「A HARD DAY'S NIGHT」 B-1)
 パーロフォン PMC 1230(モノ)、PCS 3058(ステレオ)


「ジョン・レノンのソロ作品集」(断言!)で在る、アルバム「A HARD DAY'S NIGHT」のA面は、先行シングルだったポール作の「CAN'T BUY ME LOVE」で終わります。ジョンは「美味しいトコ」を、ちゃんと相棒に用意していました。最新ヒットです。ポールの曲です。映画のサントラ面のラストです。A面の那奈曲は、リード歌手としてなら、「ジョン&ポール:2、ジョン:2、ポール:2、ジョージ:1、リンゴ:0(此処が重要!試験に必ず出ますよっ!)」と、絶妙のバランスを取っています。完璧です。然して、其の作者は、「ジョン:5、ジョン&ポール:1、ポール:1」と云うカラクリになっているわけです。此れじゃ「レノマカ」じゃないじゃん。「レノマ」でもないじゃん。「ジョン・レノン、マ」くらいなモンじゃん。

そーやって、対外的には「三人でやってますよ、ええ、僕らは均等な関係です。(おいおい、リンゴは?)」と見せかけつつ、実権を完全に握って居たのが「1964年のジョン」でした。他の連中は「下僕」です。そんでもってだ、映画のサントラって事で、レノンは敢えて「我を捨てた」わけです。でもね、B面は「映画とは関係の無い新曲集」なのだよ。

「最早、ジョン・レノンの独壇場ですっ!」

現在では大好きな曲になったポール作の「THINGS WE SAID TODAY(今日の誓い)」を、中学生だった僕は捨てた。此のアルバムのB面は、真ん中の三曲目を飛ばして聴いていました。すると、其れは、つまり、

「ジョン・レノンのソロ・アルバム」になっちまうのだよ。

其の最初が此れです。「タン!」で「えにたいあとおー!」です。其の後にポールが「えにたいあとー!」と高音で返しますが、彼の出番は其れのみなのでした。其の後は「今日の誓い」まで全く出番無しですよ。一曲だけ歌わせてもらったら、其の後もずっと、ジョンだけです。ジョンの声しか聴こえないのです。掛け値無しの名曲である「ANYTIME AT ALL」は、1964年6月2日に録音されました。其の日は、三曲が録音され、最初に此の曲を「那奈テイク」、次にポールB面唯一の貢献「今日の誓い」を「たったの3テイク」で完成し、「WHEN I GET HOME(家に帰れば)」を「11テイク」もやらかして、再び此の曲の「8〜11テイク」を録音し完成させ、家に帰ったのです。

何故、此の曲は「昼休みまで挟んで、二曲も別の楽曲を録音してから最終テイクへと向かった」のでしょう?なな、なんと、午前中の初めの「那奈テイク」時には、、、

「ジョンはミドルエイトを書いてなかったのだよっ!」

未完成の曲を、那奈回も手下どもに演奏させていたのです。そしてポールの自信作に付き合ってやる親分肌を見せつけた振りをして、昼休みになってから慌てて「ミドルエイト」を書き足し、そんな素振りすら見せずに自作の「家に帰れば」を録音した後で、

「じゃあ、最初に途中までだったアレも、やっつけちまおうか?」

とばかりに、さも最初から全部出来ていたと思わせて初めて完成作を披露したのでした。実際に、ポール、ジョージ、リンゴの下僕どもは、本気で「ジョンのペテン」に完璧に騙されていたのですよ。まさか未完成だなんて思ってなかったのです。つまりだ、此れは「時間を隔てた二つの曲を別々に書いて録音しひとつにまとめた楽曲」なのです。なのに、此の一貫した疾走感は一体何なんでしょう?

「ジョニー、恐るべし。」


(小島藺子/姫川未亜)


初出:「COPY CONTROL」2008-10-18

(REMIX by 小島藺子)



posted by 栗 at 03:07| FAB4 | 更新情報をチェックする