nana.812.png

2005年06月13日

「ワシは牛とやったから、前田くん、
 君はライオンとやりなさい。」

空手バカ一代(7) (講談社漫画文庫)


かつて金曜8時で20%を超える栄華を誇った「ワールド・プロレスリング」が、現在の様な状況にまで堕ちたのは、昨日今日でってことじゃーない。「新日本プロレス」にも浮き沈みは何度も在って、其れでも「業界ナンバー1」としての地位は揺るぎなかった。「K-1」や「PRIDE」が出現しよーが、其のすべてを呑み込む力が在った。其れは元々其の源流が「新日」に在ったからだ。なのに、堕ちた。堕ちた過程を語ると長くなるので、此の一年の「IWGP王者」の変遷を見てみよう。

一年前の王者は、なんと「ボブ・サップ」だったのよ、覚えてないでしょ?3月に、ケンスキーからベルトが移動した時のサップは、まだまだボロが出てなかったので5月には中邑をもくだして「永久王者」とまで云われていたのです。ところが「太陽の天才児」との防衛戦を前に行われた5月、K-1主催の「ROMANEX」で、「ガチで藤田がサップに勝ってしまった」のよ。ただ勝つだけじゃなく、正に「完膚無きまでに叩きのめして」しまいまして「心を折って」しまったんですな。ほらね、プロレスラーは強いんだよ。

此の試合は総合ルールですからタイトルはかかってなかったけど、到底サップにタイトル戦をやる気なんかなくなります。其の後も連敗し、株は大暴落。サップを潰したのは、ミルコ(「目が折れた!」)じゃなく、藤田なんだけどなぁ。此の時は「ガチで新日がK-1に全勝」してるんですよ。なのに、バーターでやったドームの方は仲良く引き分けになってて、しかも「シナリオ通りのプロレス」だったんだから話になりません。ま、ガチでも柴田が武蔵に勝てたかどーかなんて分りませんけどね。其れにしたって、ファンを莫迦にしてますね。

ま、そんで6月に藤田がサップの代わりに棚ちゃんとやるんだけど、此れはもー「悲惨な試合」でした。一応ブックは在ったとは思うけど、藤田ってぇのは恐ろしい奴です。てか、棚ちゃんのこと嫌いなのかな?こないだのドームでも、子供あつかいにして、はり倒してたしなぁ。「アノコの件」と関係あったりしてな。7月には柴田と防衛戦、こっちも半分ガチで藤田はやりたい放題。挙げ句に「俺は新日所属じゃねーよ」ってんで巡業なんかには付いて行きませんし、防衛戦もやりゃしない。

此れじゃ興行の目玉にならねーってんで、10月に再びケンスキーにベルトを移動させよーと、「総合慣れした藤田が両肩を付けた状態でスリーパーをかけ続け、プロレス・ルールでフォール負けする」と云う、とんでもないシナリオを考えて実行させます。よーするに、ガチではやらせられんってことですよ。藤田、勝ちゃいますから。で、藤田にも傷が付かないでベルトだけ返してくれと、んでもって其れが所属選手だと批難轟々なんで外様の便利屋さん「ケンスキー」にやってもらおーと。もう国技館は暴動寸前ですよ。だからこそ、あの時「北斗」はすべて承知のうえで大暴れしたんですからね。流石は「女・猪木」と呼ばれただけあります。ケンスキーは、ええ嫁をもらったね。其の後、ケンスキーは11月に棚ちゃんとみのる相手に防衛し、12月には、しっかり天山に返します。ええ仕事をした御褒美にMVPももらいました。立派なプロレスラーだと思います。

ところが、ところが、満を持しての今年2月、天コロコロすけが大事なトコで脱水して滅茶苦茶。小島が仕方無く預かって、3月に中邑と60分やってから、5月に返したと。此の返す時の試合が、藤田にしろ小島にしろ、如何にも「やる気ねーっす」って顔で来るから、新日も舐められたもんですな。其の点、高山やケンスキーなんかは生活が掛かってるとは云え、大人だったなぁ。小島は大好きなので一寸ガッカリな展開だったけど、アレは天山が「ボケナスちゃん」だったとしか云えません。流石の小島も呆れたんでしょう。

よーするにアレだ、今の新日は、プロレスなのかガチなのか、迷いが在るんですな。そりゃ、ガチじゃ興行は成り立たないけどさ。だったら「ノアだけはガチ」でええじゃんと、TV中継にチャンネルを合わせたら、WWEにもはるかに及ばぬ三文芝居(女子レスラーにリング上でプロポーズして振られる、髪切りマッチで御約束のロートルが丸坊主)なんかを見せられて、げんなりですよ。で、K-1もPRIDEも、明日は我が身だと思うよ。

「嗚呼、、、」(ぐだぐだ、つづきそう。)


初出「COPY CONTROL」 (小島藺子)



posted by 栗 at 22:31| KINASAI | 更新情報をチェックする