「猪木サンは箒を相手にしてもプロレスが出来る」と語ったのは現在は全日の社長になった武藤ちゃんです。相変わらず「アントニオ猪木全集」を観まくっていますが、此の10巻目「闘魂ロード〜未知の強豪達〜其ノ壱」を観る時、武藤ちゃんの発言は事実だと思えるのです。
本当に猪木は、誰が相手でも面白い試合にしてしまいます。中には「インフェルノ2号」なんてしょっぱいレスラーもいるのに、相手の良さを最大限に引き出したうえで倒すのです。シン、ハンセン、ブロディ、アンドレ、ホーガンなどの御馴染みの強豪相手では、試合時間も20分を超える熱戦になりますが、此の「闘魂ロード〜未知の強豪達」は、それぞれ16試合と17試合も収録されているわけでして、其れは、ほとんどが10分以内で決めてしまうモノばかりだからです。メインではなく、セミファイナルで行われた試合も多く収録されていて、在る意味、最も貴重なパートかもしれません。
実況アナも語る様に「猪木は、力のある相手には力で、技のある相手には技で対抗して来ました」なのです。猪木は完全なるオールラウンド・プレイヤーでした。そして、ミスター高橋が暴露本でいみじくも書いた様に「猪木さんは本当に強かった!」なんです。
其れにしてもだ、やはり遠藤幸吉の解説は面白いです。
(ブルート・バーナードが凶器攻撃をして)
アナ:遠藤さん!酷いことをしますねー、どーですか?
幸吉:いやぁ、こりゃ、たまりませんなぁ〜!
お茶、吹いた。10巻目のハイライトと云える20分を超える激闘の「パット・パターソン戦」は、大阪府立体育会館で行われました。リングサイド最前列のプレス席に、故・井上「週刊ファイト」編集長の姿が在ります。猪木の一挙一足を僅かでも見逃すまいと、ネットリとした眼差しで見つめております。頻繁に映り込むので、気になって試合に集中出来ませんよっ。
初出「COPY CONTROL AGAIN」 (小島藺子)