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2009年04月18日

FAB4-028:YOU REALLY GOT A HOLD ON ME

The 35th Anniversary Collection シング・スモーキー(紙ジャケット仕様) 33 1/3


 w & m:SMOKEY ROBINSON

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス
 2E:リチャード・ランガム(7/18)、ジェフ・エマリック(8/21、10/29)
 録音:1963年7月18日
 MONO MIX:1963年8月21日、STEREO MIX:1963年10月29日

 1963年11月22日 アルバム発売(「WITH THE BEATLES」 B-3)
 パーロフォン PMC 1206(モノ)、PCS 3045(ステレオ)


スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズの、ほぼリアル・タイムでのカヴァー曲です。ビートルズは、ガールズ・グループと共にこうしたR&Bチャートの動向にも注目し、いち早く最新ヒットをレパートリーに加えていました。古い黒人ブルースのカヴァーを演奏するバンドが多い中で、彼らの「先取り精神」は際立っていた事でしょう。「WITH THE BEATLES」では、タムラ・モータウンのヒット曲を三曲もカヴァーしていますが、時は1963年、英国でようやくモータウンのレコードが流通し始めたばかりでした。其れを、すぐに自分たちのレパートリーに加えてしまったのだ。三曲とも、リード・ヴォーカルは「カヴァーの天才:ジョン・レノン」です。歌が上手い!ミラクルズを速攻コピーして、自分の歌に変貌させちゃうんですよ。何なんだ、ジョン・レノン。正に、底知れぬ才気です。

当然、当時はすべて耳だけでコピーしていたわけです。「凄いナァ、やっぱり。」(小鉄声で) ポールの影が薄い「WITH THE BEATLES」ですが、演奏面での貢献を忘れてはいけませんね。コピー能力の高さや確かなアンサンブルを支えたのは、「天才マルチ・プレイヤー:ポール・マッカートニー」其のひとでしょう。(だから、リンゴの立場は、、、)其れで、此の楽曲は、おそらく唯一の「ジョン&ジョージ」によるデュエットです。「憧れのジョン」と二人っきりでハモる機会を得た「追っかけジョージ」の気持ちは、天にも昇る様だったでしょう。ポールが連れて来た「ギター少年:ジョージ」と初めて逢った時、ジョンは17才、ジョージは14才でした。10代での此の年齢差は「決定的」です。ジョンにとって、ジョージは「只のガキ」にすぎなかった。スクールバス仲間のポールが「君よりも、こいつはコードを知ってるぜ」と推薦しなかったら、ジョージはバンドに入れてもらえなかったでしょう。ジョンは17才にして、既に「圧倒的なスター」でした。ジョージは、追いかけます。どんなに邪魔者扱いされても、ジョンについて行ったのです。そんなジョージの健気さに、いつしかジョンも「可愛い弟」の様に思う事となるのでした。此処でも、ジョンの歌の上手さが際立っています。スモーキーを敬愛するジョージですが、完全に負けています。相手にならない。永遠に超えられない残酷すぎる「壁」が在ります。

「ラベルが違い過ぎるっ!」(「俺はムラタだ、此れはタムラだ」声で)

でも、たった一曲でもジョンと歌えたのだから、ジョージは満足だったでしょう。後に自伝で、ジョージはジョンの事をほとんど書かなかった。ジョンは、怒りました。当然です。ジョンは、ジョージを可愛がっていました。解散間際にジョージ作品が優遇されたのも、リーダー、いやさ「ボス:ジョニー」の提案が在ったからこそです。でも、だからこそ、ジョージはジョンの事を書けなかったのです。其れ程に、ジョージはジョンに憧れていました。其れは「過ぎ去りし日々」と云う曲を聴くだけでも解ります。数多在る「ジョン・レノン追悼歌」の中で、其れを「ちゃんとしたヒット曲」に昇華しえたのは「弟:ジョージ」だけでした。ジョージはジョンを愛し続けました。初めて逢った時から、ずっとずっと、追いかけた。そして、ジョンもジョージを深く愛していました。そうでなければ、ジョージの自伝に自分の事があまり書かれていない事に激怒したりはしません。

映画「LET IT BE」で、1969年の彼らが再び此の曲を演奏する場面を観る事が出来ます。ビリー・プレストンを加えた即興ながら骨太な演奏に乗せて、余裕たっぷりに歌うジョンに対し、ジョージは在ろう事か歌詞を忘れ、「ボキもう何が何だかわかりましぇ〜ん!」状態でカラダを揺らすだけになっちゃうのでした。そもそも、何故かミラクルズのオリジナル・キーで演奏しちゃっているので、ジョンもジョージも高くて声が出ないのだよ。でも、ジョンはテキトーに誤魔化しつつ「おまい、何やってんだよ?」とニヤニヤしながら睨みつけ、知らんぷりして演奏を止めないバンマス・ポール。鬼のレノマカの言いなり状態のリンゴとビリー。屈辱感に耐えるジョージ、、、ジョージは思ったでしょう。「タイトアップだ。雁字搦めだよ。僕はジョンとポールの下僕か?此のバンドにいる限り、僕は生涯、浮かばれないのだ!」と。でも、其れは、まだ先のお話です。


(小島藺子/姫川未亜)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-26
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-26

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



posted by 栗 at 00:24| FAB4 | 更新情報をチェックする