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2005年04月23日

「炎のファイター」

私、プロレスの味方です (新風舎文庫)


プロレスを好きになったきっかけは「村松本」を読んだからだった。既に二十歳を超えていたんじゃないかな。だから当初からいわゆる「暗黙の了解」を意識して、あたくしは「プロレス者」になったので、わりと稀有な奴だと思う。プロレスは、他の競技と違って「結末が決まっている」らしく、其れを世間では「八百長」と云うらしい。

プロレス者になったあたくしは、TVを録画し何度も観たり、プロレス雑誌や新聞を愛読したり、毎週の様に後楽園ホールで観戦したりした。最近は全く行かなくなったけど、一時期は年間50興行くらい生観戦したので観ていない団体や東京近郊で行ってない会場はないと思う。で、知れば知るほど「裏側」が見えてしまうのだけど、実は其れこそが面白かったのだ。

立ち技世界一と謳う「K-1」や総合格闘技と謳う「PRIDE」が人気になって、プロレスは「もうだめぽ」だって時代になったけど、心あるプロレス者は理解しているはずだよね。プロレスが総合に負けたのではないんだよ。だって、総合もプロレスだからね。語弊があるとしたら、プロレスがなければ総合は存在しえなかった、と云う。確かに今の新日なんかバカバカしくて観ていられないけれど、其れは「八百長」だからではなく、単純に「つまらない」からだ。

桜庭が「プロレスラーはホントは強いんです」と云ってブレイクしたことを、あたくしは忘れない。彼は、今でもプロレスラーなんだよ。


初出「COPY CONTROL」 (小島藺子)



posted by 栗 at 22:06| KINASAI | 更新情報をチェックする