w & m:CHUCK BERRY
P:ジョージ・マーティン
E:ノーマン・スミス
2E:リチャード・ランガム(7/30)、ジェフ・エマリック(8/21、10/29)
録音:1963年7月30日
MONO MIX:1963年8月21日、STEREO MIX:1963年10月29日
1963年11月22日 アルバム発売(「WITH THE BEATLES」 B-1)
パーロフォン PMC 1206(モノ)、PCS 3045(ステレオ)
レノンの「♪うえあみに、うえたみに、おーいぇー!ゆがた、うえ、うえっ!」で「A面の大団円」を迎え、
レコード盤、ひっくり返せば「B面」へ。(大瀧師匠声で)
「WITH THE BEATLES」では、ジョージが三曲も歌っています。此れは、他には「REVOLVER」と二枚組の「THE BEATLES」位しか実現しない事態です。ジョージは多くても三曲、リンゴは一曲ってのがお約束でした。然し乍ら「デッカ・オーディション」でも溌剌としていた様に、初期のジョージはカヴァーが得意でした。ゆえに、B面トップと云う好い位置に、此のチャック・ベリーの名曲カヴァーが収められました。後の「FOR SALE」でも、ジョージのカヴァー曲はB面ラストに収録されます。
アルバムで最も目立つのは、A面トップ&B面ラストです。次がA面ラストとB面トップなのです。「WITH THE BEATLES」に関してだけなら、其の四つのポジションを得たのは「ジョン:3」「ジョージ:1」なのです。リード・ヴォーカル担当もポールと同じ三曲だし、珍しいジョンとのデュエットまで入っていますので、正直、ポールよりも目立っています。てか、「WITH THE BEATLES」は、最もポールが目立たないアルバムです。ジャケでの顔の大きさも、ジョンやジョージに負けていますし、「ビートルズ史上最大のへっぽこ曲」である「HOLD ME TIGHT」をゴリ押しで収録しちゃってます。繰り返しますが、此の愚挙に関しては、次回いよいよ徹底的に叩きまくりますですよっ!ぜいはあ、、、
さて、此のチャック・ベリー作品を最初に歌っていたのは、当然「ジョン・レノン」でした。ジョンは、可愛い弟分のジョージに譲ったのです。其の憧れの兄貴の期待に、ジョージは応えました。「おい、ジョージ。今日から此れはお前が歌え」と云われた時のジョージの心情は、計り知れません。つまり、ジョンに認められたわけですからね。嬉しかったでしょう。たったひとりでギターを弾いていたポールとは違い、ジョージは「クオリーメン」に加入を許される前に、自分で「レブルズ」なるバンドを結成していました。未だ若干13才のギター少年だったジョージは、既に自分のバンドを持っていたのです。そんな早熟な少年が、スクールバスでポールに出逢い、ジョンに辿り着いてしまいます。当時のジョンは、もう完全に出来上がっていました。大人、いや、完璧なる「不良のボス」でした。ジョージは憧れた。そして、どんなに嫌がられても追っかけます。ジョージがジョンのバンドに加入を許されたのは、出逢って半年近く経ってからなのです。
1991年12月に来日したジョージを、あたくしは初日の横浜アリーナと最終日の東京ドームの二回行きました。洋楽の同一公演ツアーを二回観たのは、其の時だけです。其のライヴのアンコールの最後が此の曲でした。つまり、生で観て聴いた最後のジョージは此の曲なのです。当然の事ですが、おんなじ体験をした「多くのレコスケ」が居るでしょう。僕らにとって、大切な忘れられない名カヴァーとなりました。そして、其れを彼が最後に歌ったのは、憧れのジョンに貰った曲だからなのだと思います。チャック・ベリーをカヴァーしたんじゃないんだよ。ジョージは、ジョン・レノンをカヴァーしたのです。
其れは「ベートーベンをぶっ飛ばせ!」と連呼する途中に、こっそりと「ビートルズをぶっ飛ばせ!」なるフレーズを忍ばせている事でも明白でしょう。確かに、ジョンもそう歌っていました。如何にも「レノン」らしい「自己批判精神」で、其れを唯一共有した「ビートル」が「ハリスン」でした。此の「斜に構えた」感じが、其の「暗さ」こそが、「リズム隊で天然のマッカとスター」には無い彼等の魅力でも在りました。ジョージだけは観ていたんです、ジョンの陰を。そして、其の「残忍で底意地の悪い悪魔:ボス・ジョニー」に憧れたのでした。だから、追っかけた。ジョージは、健気です、可愛いです、苦労人です、日本人好みです。
「ジョージ、愛してる」
(小島藺子/姫川未亜)
初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-24
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-25
(and this is REMIX-2 by 小島藺子)
初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-24
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-25
(and this is REMIX-2 by 小島藺子)
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