

w & m:HOLLAND / GARMAN / DOBBINS / BATEMAN / GARRETT
P:ジョージ・マーティン
E:ノーマン・スミス
2E:リチャード・ランガム(7/30)、ジェフ・エマリック(8/21、10/29)
録音:1963年7月30日
MONO MIX:1963年8月21日、STEREO MIX:1963年10月29日
1963年11月22日 アルバム発売(「WITH THE BEATLES」 A-7)
パーロフォン PMC 1206(モノ)、PCS 3045(ステレオ)
A面の最後もカヴァーです。そして、名演です。相棒ポール(未だ力量の差は歴然としていましたが、ジョンは対等だと認めていました)の名唱を、正に叩き潰すかの様な「絶唱」で対抗!容赦の無い、本気度「200 %」の、
「カヴァーの王様:ジョン・レノン」が、ぶちかましますよっ。
オリジナルのマーヴェレッツ盤が1961年に、更にカーペンターズのカヴァー盤が1975年に、全米首位を獲得した名曲です。しかし、本国ではシングル・カットすらされなかったビートルズのヴァージョンが最も有名で名演なのです。日本では、ちゃっかりシングル盤も出ていました。「キャピタル(昔の名前で書いてます)、氏ねっ!」などと云えるのは、英国人だけです。敢えて名は伏せますが、某「東芝音楽工業株式会社」は、おそらく、
「世界壱、ビーレコを発売していますよっ!」
彼らが得意とする「ガールズ・グループ」のカヴァーですが、兎に角、ヴォーカルが素晴らしい!リードのジョンに、コーラスのポール&ジョージ。此の「三人やろこ」の歌唱が、如何なる「三人娘」よりも「色っぽい」のです。エロ杉なのでつ。ぜいはあ、、、特に、ジョンですね。本当に、歌が上手い!正に「歌う為に生まれた」のがジョンでした。彼の歌は、おんなじ旋律を繰り返しません。其の歌詞に合わせて、一番と二番ではフレージングが全く変わるのです。最後の「うえたみに、うえたみに、うおおお」の自由奔放さこそが、ジョンの真骨頂です。完全にオリジナルを凌駕している。此れが「うた」です。
ジョン・レノンは「天才・歌手」でした。
此の連載を書きながら、あたくしはよく「彼らがカヴァーした原曲を編集した音源集」を流しています。其れを聴くと、ビートルズは演奏に於いて「オリジナル版の完全コピー」をやらかしていると云う事実が発覚します。山下達郎兄さんが、かつて(もう四半世紀以上も前)NHK-FMで「ANNA(Go To Him)」と「MR. MOONLIGHT」のオリジナル盤を流してくれて、初めて其れを聴けました。感動したよ、タツロー。でも、一緒に居た「鬼の大瀧師匠」は云った。「山下クンは優しいねぇ、僕はこんなの全部三枚ずつ持ってるけど、壱度もラジオで流した事無いよ。勿体無いじゃない?」タツローは、口は悪いけど優しいのです。全部かけちゃうんですよ。手に入れたのが嬉しくて仕方ないんでしょう。でもね、あたくしも「大瀧師匠」の弟子として苦言を呈します。
「兄さん、後輩が自分で探す楽しみを奪っちゃダメよ」
「レア音源」とは、簡単に手に入れられたら「レア」でも何でも無くなっちゃうのよさ。そんな事よりも重要なのは、楽譜なんて無い時代にレコードを聴いただけで、いやおそらくラジオで繰り返し聴いただけで、耳だけで、
「ビートルズは、完コピ出来たのだっ!」
ジョン、ポール、ジョージの三人は、恐るべき耳と技量を持つ「秀才演奏家」だったのです。更には、同じオケを演奏しながらも、彼らが歌うと「ロック」になってしまうのです。勿論、彼等の性急なビート感も大きな要素では在りました。されど、アレンジは「オリジナルに忠実」なのですよ。そして原曲は、あくまでも「ロケンロール」や「ポップス」に過ぎません。いや、だからこそ永遠に美しいスタンダードなんです。時代を超えて聴ける楽曲です。でも、呑気なんですよ。チャック・ベリーなんて鼻唄じゃん。其処がサイコー!なんだけどね。でもでも、同じアレンジで、ジョンが歌い、ポールとジョージがハモルと、其れは、立町田舎村都道府県、全く別の得体の知れない何かになったのです。僕らは、其れをこう呼ぶ。
「ROCK」
彼らが「ロック」を創造したのです。あっ。リンゴの太鼓も好いですよ。
(小島藺子/姫川未亜)
初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-23
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-24
(and this is REMIX-2 by 小島藺子)
初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-23
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-24
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